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尾瀬のミニ観察~第22回~

前回は、「ニッコウキスゲ」を紹介しましたが、今回は「カワラハンノキ:雌の赤い穂」についてご紹介します。

(22)「カワラハンノキ:雌の赤い穂」
(花期 5月~6月)

 尾瀬では雪が解けるとすぐ、カワラハンノキの花が咲く。枝先に短い紐のような雄の穂が1-3個つき、風で揺れると、黄色い花粉が煙のように飛び立っていく。
 雌の穂は赤く長さ4-6mmで枝先に立ち、丸い苞と細い柱頭(雌しべの先端)が螺旋状に並んでいる。風媒花なので目立たなくて良いはずだが、雌の穂は真っ赤。この赤い色素が紫外線を吸収して、柱頭で受けた大切な花粉を、紫外線の害から守っているのだ。同じ理由で風媒花の柱頭は赤色や紫色のものが多い。探してみよう。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2015年2月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「レンゲツツジ」についてご紹介します!