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尾瀬のミニ観察~第24回~

前回は、「レンゲツツジ」を紹介しましたが、今回は「ルイヨウボタン」についてご紹介します。

(24)「ルイヨウボタン」

 葉がボタンに似ているとの名だが、似ているのは葉だけ。花は直径わずか15mmほど、しかも黄緑色で目立たないが、出合ったらルーペの出番だ。雄しべのすぐ後ろに、イチョウの葉を小さくしたような蜜腺がある。
 目立たないのに昆虫がくるのだろうかと思っていたら、あるときガガンボの一種が訪れ蜜を吸っていた。その頭部の大きさと、蜜腺と雄しべとの隙間がまったく同じで、ガガンボは蜜を吸えば必ず花粉を擦り付けられ、花粉を運ぶことになるのだ。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2015年12月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ミズバショウ:雪に守られて」についてご紹介します!