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尾瀬のミニ観察~第19回~

前回は、「ノアザミ」を紹介しましたが、今回は「ウラジロヨウラク」についてご紹介します。

(19)「ウラジロヨウラク」
(花期 6月)

 ウラジロヨウラクは本シリーズ⑭のヒメシャクナゲと同様に花が下向きに咲く。下向に咲く生態的理由は「蜜や花粉を雨から守るため」と「蜜を盗むチョウやハナアブの仲間を排除するため」の2つをあげた。
 これらの花は茶筒のような単なる円筒形ではなく、入り口で細くなり、先端は反り返っている。口が細まることで、開口部がつぶれにくくなり、反り返りはハチの足がかりとして機能する。こうして、下向きの花は力学的に合理性の高い形態をとっている。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2013年11月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ヒツジグサ」についてご紹介します!