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尾瀬のミニ観察~第30回~

前回は、「ズミ(別名 コリンゴ)」を紹介しましたが、今回は「アオヤギソウ」についてご紹介します。

(30)「アオヤギソウ」

 7月~8月に長い穂を立てて、多数の花をつける。花は淡緑色で直径15mm前後と目立たないが、花びらの基部に光っている蜜が魅力的なので、ハエやアブの仲間がなめにくる。
 6本の雄しべは放射状に伸び、先端の鮮黄色の葯は下向きに裂けて花粉を出している。そこはちょうど、蜜を舐めにくる虫たちの背に花粉がつく絶好の位置である。アオヤギソウの花は小さいが、巧妙な受粉の仕掛けをそなえているのだ。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2017年6月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、最終回です。「ヤマトリカブト」についてご紹介します!