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尾瀬のミニ観察~第16回~

前回は、「ミズバショウの花に来る昆虫は?」を紹介しましたが、今回は「アケボノソウ」についてご紹介します。

(16)「アケボノソウ」
(花期 8月~9月)

 アケボノソウの名は花びら(花冠裂片)の模様に由来するという。紫色の斑点を星、緑色の楕円を月に見立て、曙の空を連想したのだ。でも、月が2つということは火星の空かな~、などと考えている。
 月は蜜腺だが、アリでは雄しべ雌しべの先端には触れず、蜜はなめられ損だ。花粉を媒介するのはハナアブやシマハナアブで、雄しべ雌しべをまたぐように止まり、口を伸ばして蜜をなめる。そのときアブは運んできた花粉を雌しべにつけ、雄しべは花粉をアブの腹面につける。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2013年1月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ミツガシワ」についてご紹介します!