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尾瀬のミニ観察~第26回~

前回は、「ミズバショウ:雪に守られて」を紹介しましたが、今回は「ヒツジグサ:性転換する花」についてご紹介します。

(26)「ヒツジグサ:性転換する花」

 木道にかがんで花を間近から見てください。黄色い雄しべが四方に広がっている花(写真左)と、花の中央に集まっている花(写真右)があるはずです。
 前者は開花初日の花で、中央に花粉を受ける透明な液があり、雌花の状態です。後者は開花2日目で、花粉を出した雄しべが花の中央に集り、雄花として機能しています。ヒツジグサは、同一の花が雌から雄に性転換して、近親婚になる同花受粉を避けているのです。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2016年6月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ミズバショウと熊」についてご紹介します!