見出し画像

尾瀬のミニ観察~第17回~

前回は、「アケボノソウ」を紹介しましたが、今回は「ミツガシワ」についてご紹介します。

(17)「ミツガシワ」
(花期 6月~7月)

ミツガシワは、雄しべ雌しべの長さが異なる2つのタイプの花を別々の株につける。雌しべが短く雄しべが長い短花柱花、雌しべが長く雄しべが短い長花柱花だ。
 短花柱花の花粉はハナアブの仲間の、あごや首につき長花柱花の雌しべの先に運ばれる。長花柱花の花粉はアブの口吻の中ほどについて、短花柱花の雌しべに運ばれる。このように雄しべ雌しべの長さを変えて、他のタイプの花粉を受けやすくし、自家受粉を避けているのだ。今年は、ミツガシワの雄しべや雌しべの長さにも注目しよう。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2013年3月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)