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ついに出揃った!アルコールストーブALL比較

2022年、エバニューとスノーピークから新作のアルコールストーブが発売された。
もう市場に出尽くしたかと思われたカテゴリーで勝負する二社のアイディアと向上心には感服するばかりで、同じアウトドア製品を扱う企業ながらその姿勢は対極にあり、違ったアプローチからユーザーへ訴求する姿は興味深い。

この先当分マスプロから新作発表は無いと思われるので、ここらで市場に出回る主要アルコールストーブを比較してみたい。

製品を比較するにあたり、
小規模生産のいわゆるガレージメーカー以外の、正規販売品(怪しい物は除く)のみ選定した。
またスペックについてはメーカー説明と信頼の置ける小売店の情報+個人的感想を記載する。

以下素材ごとにまとめた一覧である。

真鍮
①トランギア/アルコールバーナー

アルコールストーブと言えばこれ。永遠のスタンダード

¥2,970(税込)
重量:110g
燃焼時間:70ccで約25分

アルコールストーブと聞いて真っ先に思い浮かぶであろう本製品はオーセンティックなデザインでバーナー本体の他に火力調整蓋と燃料運搬用の蓋が付属する。
昨今の流行からすると重量はやや重たく感じるものの、半世紀以上前からほとんど変わらぬ作りはシンプルで壊れにくく使い込むほど味が出る。
また専用設計されたゴトクやクッカーも豊富に揃い、且つ定番だからこそ他ブランドのアクセサリー類とも互換性が高い。
もはやアルコールストーブの固有名詞にもなっているトランギアは最初の一台に、誰でも使いやすい逸品である。


②エスビット/アルコールバーナー

やけどに御用心。取手が付いて安心です。

¥2,640(税込)
重量:92g
燃焼時間:70ccで約25分

固形燃料が有名だがアルコールストーブがある事はあまり知られていない。
トランギア同様バーナー本体の他に火力調整蓋と燃料運搬用の蓋が付属する。違いとしてはクリップ型の取っ手が付き、火から離れた位置で操作出来る為やけどしにくい安心設計である。これが最大の特徴でありメリットである。
その他真鍮製にしてはやや軽かったり燃費が良いなど聞くが基本設計はトランギアと殆ど同じだと思われる。

③ソロストーブ/アルコールバーナー

ソロストーブはお揃いが良い。

¥2,750(税込)
重量:100g
燃焼時間:不明

ロゴが変わっただけでエスビットのアルコールバーナーと同じである。
メーカーではソロストーブのネイチャーストーブをゴトク代わりに使う方法を紹介している為、薪が切れた際のバックアップとして使える。その場合火力調整蓋は使えないデメリットも発生するが、同ブランドで揃えたければ選択肢に入るだろう。

チタン
④エバニュー/チタンアルコールストーブ

ジャパンクオリティ炸裂!超軽量で高火力

¥4,400(税込)
重量:34g
燃焼時間:30mlで約5分

ジャパンメイドが誇る脅威の軽さと高火力。
燕三条の職人が作り上げたチタン製超軽量ボディにトランギアを模した標準的な作りを踏襲しつつ、バーナーヘッドは中央部分と側面にも配置した事で高火力を実現させた。
更に燃料タンクには30mlと60mlのメモリを付ける親切さ。また専用設計されたゴトクや風防も多数ラインナップしているので汎用性が高く誰でも使いやすい。
ここ数年ハイカーからキャンパーまで売れに売れているニュースタンダードモデルである。


⑤ バーゴ/チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ

トランスフォーム!

¥5,060(税込)
重量:30g
燃焼時間:44mlで約20分

ミニマムなデザインとギミックが男心をくすぐるこちらの製品はこれまで紹介してきたアルコールストーブとは一線を画すオリジナリティである。
バーナーとしての標準的な機能は保ちつつ、ゴトク付きながらコンパクトで軽量、更にバーナーヘッドの上に付属するプレートを置くことで固形燃料の使用も可能にする。これが本製品の名前にもあるマルチフェーエルの由来。
特徴的な見た目とは裏腹に、まさにマルチに活躍する汎用品である。


⑥バーゴ/チタニウム デカゴンストーブ

故障知らずのタフなやつ

¥5,060(税込)
重量:34g
燃焼時間:59mlで約20分

「絶対に壊れないバーナーを作る」がコンセプトの直置き型サイドバーナーストーブ。
重心低めで安定感抜群、車で踏んでも壊れないと謳う本製品はハードな山行にこそ持ち出したい。


⑦ チタニウムコンバーターストーブ

同社ウッドストーブとの相性抜群

¥6,600(税込)
重量:39g
燃焼時間:44mlで約20分

上記のマルチフェーエルストーブと同じくアルコール、固形燃料の使用が可能で、更に同社のヘキサゴンウッドストーブにゴトクを引っ掛けることで風防として利用できる点が大きなメリットである。
またゴトクと本体は取り外しが可能なので、本体のみ他ブランドの風防やゴトクにも使えるよう工夫されている。

アルミ
⑧エバニュー/ブルーノートストーブセット

小さなボディに最小限の機能を詰め込みました!

¥6,050(税込)
重量:13g(本体のみ)
燃焼時間:15mlで約7分

冒頭に書いた2022年エバニューの新製品。
尖りまくったミニマム仕様に超超軽量でゴトク要らずのサイドバーナー方式、400ml以下の水を沸かす事だけに特化している。
一点特化型でかなりニッチだが付属のプレヒートプレートを使えば本燃焼まで早く、使いやすく出来ている。
また15mlで7分燃焼と燃費が良く、ただでさえ軽い本体に必要燃料も減らせるため、是が非でも軽量化を最優先させたい変態さんにおすすめ。

ステンレス
⑨スノーピーク/火焔ストーブ コーエン

小さな焚火を楽しめるロマン派

¥7,678(税込)
重量:100g(本体のみ)
燃焼時間:80mlで約35分

キャンパーから絶大なる支持を得るスノーピークが満を持して発表したアルコールストーブ。
他社と異なるアプローチの結果、エタノール99.8%の専用燃料を使いバーナーヘッドを少し内側に傾ける事で、焚火風の赤い炎(通常アルコールストーブは青い炎)になる特別な製品が完成した。
機能云々はあまり期待出来ないが、燃焼時間35分は調理に向き、ゴトクはしっかりしているのである程度の重量物も乗せることが出来る。
本体と風防兼ゴトク、ピンセットを合わせた総重量は280gと決して軽くは無いがキャンプからラグジュアリーな登山まで赤い炎でロマンを感じたい。

⑩エバニュー/SUSアルコールバーナー

大容量タンクで調理もバッチリ

¥2,200
重量:115g
燃焼時間:120mlで約40分

大型の燃料タンクを持ち長時間燃焼を可能にし、アルコールストーブが苦手とする煮込むなどの調理に向く。
それでいて重量はトランギアとさほど変わらず持ち運びに苦にならない。
価格が今回紹介した全製品で一番安く手に取りやすいので、使用用途が合えば唯一無二の隠れた名品である。

⑪パスファインダー/アルコールストーブ

ミリタリーに憧れます。

¥4,510
重量:160g(本体のみ)
燃焼時間:不明

最後になるが、今回紹介した製品の中で断トツの大きさ。見るからに大容量だがその分重量も増し、風防兼ゴトクも合わせると総重量は230gになる。
燃焼時間は不明だが見るからに持続時間は長そうなので、予備のアルコールを持たずに1泊2日ぐらいは問題ないかも。
軽いだの重いだの考えず無骨な見た目に惹かれるロマンチストにおすすめ。



以上になるが、今回紹介した製品は冒頭書いたように日本の正規メーカーが扱っている大量生産品にのみ絞っている。

シンプルな作りで設計が比較的簡単なアルコールストーブは自作する人も多く、また小規模生産のガレージブランドも多数存在する。

そんな中、エバニューがブルーノートストーブのようなマイノリティー向けの製品をマスプロダクツ化し、売れていると聞くとアウトドアブームで消費者は次のステップへ進んだと先見の明に驚かされた。
その一方でスノーピークはなんともアンニュイな情緒ある小さな焚火を愉しむアルコールストーブと来たもんで、道具として機能だけに留まらないアイディアと情熱をもう一度再認識させられた。

各社出揃ったアルコールストーブの夢とロマン。
あなたは何を選びますか。

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