いけ好かない奴②
※この話はフィクションです。所々ガチっぽい箇所もありますが、大部分はフィクションです。多分。
週五回くらいバイトに出勤し、うち三回は奴を見ると言う生活が二、三ヶ月続いた。俺は見れば見る程奴が気にくわない存在になっていった。すれ違うたびにiQOSを握ってやがるからだ。つまり何を意味するか?
奴は頻繁にタバコ休憩に行きやがるんだ!!!
俺のようにタバコを全く吸わない奴からしたら、タバコ休憩の存在は政治家の天下りレベルの退廃的文化でしかない。作業を中断するわけだから、一回行くごとに非喫煙者に100円払う義務が生じて初めてイーブンだろ!?って切に思う。そもそもあそこのクリニックの喫煙率の高さたるや、、相対性理論の地獄先生のPVばりにナースさんが揃ってスパスパやってるの見ると、なんとも言えない気持ちになっちまう。白衣の天使とか(爆)
おっといけねえ、何もタバコを否定するため俺は書いてるわけじゃない。奴の話に戻すとしよう。とある日、俺は奴の名前を知ってしまうこととなる。いつもはピチTに白衣引っ掛けてる奴が、その日はヤケにキチっとした格好で名札を付けていた。お偉いさんが視察にでも来たか?すれ違い様、名札の文字を俺の視線がなぞって脳が記憶した。意外や意外。徳川将軍に混じってても違和感がないほど古風で雅な名前だった。奴の容姿からもっと今風?な感じを想像していたから、ちょっと拍子抜けだった。次第に奴がエレベーターで礼を言わなかったことがどうでもよくなり、すれ違っても特に意識はしなくなってきたぐらいのことだった。同じバイトの女の子がこう言った。
「あの人カッコいい。」
これにはシンプルにムカついた。別にその子を好きでもないし、奴と自分を比較してどうとかでもない。が、俺は奴をカッコいいとは思えない。俺はカッコ悪いし、奴もカッコ悪い。得意のマシンガントークで奴の非礼なエピソードを交えその子を論破すると、最後に俺はこう言った。
「腕相撲で奴と勝負して勝てるから。」
続く