内容より想いが詰まった試合
第72回全日本大学野球選手権大会は、東都大学野球連盟の青山学院大学の優勝で幕を閉じた。今大会は4年ぶりに声出し応援が復活し本来の姿に戻った。
私は合計7試合しか見ていないがある1試合についてピックアップする。その試合は6月5日(月)の東京ドーム第3試合、日本文理大学対中部学院大学のゲームである。
全国大会を見るときの私の見るところ
全国大会は観戦する側も、気持ちが高ぶってくる。ほどんどの観戦者は、ハイレベルの試合や個人のレベル高いプレーを臨んで見に来る人がほとんどであろう。しかし、全国大会となるともちろんリーグ戦とは違う独特の雰囲気が漂う。この雰囲気に飲まれず持っている以上の力を発揮する選手もいれば、飲み込まれて力が発揮できない選手もいる。そのため、質などを求めてしまうとがっかりしてしまうこともある。
私ももちろん全国大会となるとゲームの質や個人のレベル高いプレーを期待して見ますが、それ以上に見るところは人生で一度立てるか立てない舞台を楽しんで、全力でプレーして、この舞台に立てなかった選手の分まで思いを込めて試合をしているかを見ることを心がけてる。
この日本文理大学対中部学院は、両者ともにこの舞台を楽しんで、全力でプレーしていたのが強く伝わってきて、とても楽しめた試合であった。
日本文理大学対中部学院大学の試合内容
以下が試合結果となる。
2023.06.05 東京ドーム
第72回全日本大学野球選手権大会
1回戦
中部学院大学
020000301 24=12
103200000 21=9
日本文理大学
(中)小川(3.0)、木村(1.0)、縄田(1.0)、北田ー竹中
(日)永谷(3.0)、新垣(3.1)、新里(0.0)、小倉(3.1)、木谷(0.1)、桝屋(0.1)、城戸ー遠矢
HR:東門①、飯塚③(日)
延長10回よりタイブレーク
序盤から中盤にかけては、日本文理大学がホームラン2本などで、スタンドと一体となり主導権を握り試合のペースを掴んだ。しかし、終盤7回に入ると中部学院大学が1点差まで迫り、土壇場9回にチームが一体となり、勢いがついていて追いついた。延長タイブレークに入り10回はお互い2点を取り合い譲らず、11回は中部学院大学が4点を取り試合が決まった。
内容よりも想いが詰まった試合が大切
この試合内容は、全国大会独特の雰囲気の影響か、最初から不安なムードが漂っていて、ミスが多い試合で高いレベルかというと少し遠い内容であった。しかし中盤以降は不安なムードが消え、お互いそれぞれの想いを背負ってチーム一体となりそのミスをカバーし合う雰囲気が強くあった。観戦している者としては試合内容よりそちらの想いが詰まった雰囲気の方が伝わってきた。
なぜ想いが詰まった試合になったのか
この見出しになったのは4年生の力があったからだと思う。関東のリーグに所属している選手たちは基本的に4年生秋まで野球を続けるのが一般的であるが、関東以外の地方リーグは4年生春で野球を引退するのが一般的である。今回の日本文理大学と中部学院大学はどちらも地方リーグに属しておりこの大会で引退を迎える4年生が多い。そのため、プレーでも応援でも4年生が引っ張り色々な想いを込めてプレー、応援をしていた。試合終了後、負けてしまった日本文理大学のスタンドからは「4年生ありがとう!お疲れ様!」と言った声が聞こえた。これで想いが詰まった試合になったんだと私は実感した。
試合内容や試合時間が長いとか関係ないと言えば怒られるかもしれないが、選手たちが色々な想いを背負って全力でプレーできたならそれで良いのではないかと私は思う。