コロナ時代のテレビドラマ・映画
先日、緊急事態宣言で中断していたテレビドラマの収録が再開されました。現場はかなり厳格な新型コロナウイルス(以下コロナと略します)対策のルールがあるようです。(下記はネットの記事に出ていた日本テレビのドラマ撮影ガイドラインです)
撮影の現場が大変なのはもちろんですが、僕がそれ以上に気になるのは、テレビドラマや映画の「内容」がどんな影響を受けるかということです。
三密のシーンは無理?
上記の記事には、制作関係者の話として「こういうシーンはダメと脚本家に制限を出すことはないそうです。表現の幅が狭まったら面白いものができませんから」とあります。
とはいえ……例えば狭い部屋で大勢の人がマスクなしで激論を交わすようなシーンは、仮に対策をしっかりやった上で撮影したとしても、見た視聴者が「三密じゃないか」と反射的に思ってしまいそうです。
そうなると、やはり脚本の段階でそういうシーンはやめて少人数で広い場所のシーンにしようという話になる気がします。
ストーリーの設定は、コロナありなのか、なしなのか
それより大きな選択肢として考えられるのは、現代を舞台にした作品を作るとき、作品世界をコロナがある世界にするのか、ない世界にするのかということです。
コロナありの世界にすれば、登場人物はコロナ対策を考えて行動していることになるので、狭い部屋で大人数でマスクなし、というシーンはそもそも存在しなくなります。
だったらどの作品もそうすれば済む話かというと、そう単純にも行きません。
ロマンチックなラブストーリーで、恋する美男美女がいちいちマスクをしたりソーシャルディスタンスを気にしたりしていると雰囲気がぶちこわしです。ヤクザの抗争を描いたハードな作品でヤクザたちがマスクをして「ぶっ殺すぞ、こら!」などと言っても迫力がありません。そういう作品はやはりコロナなしの世界を選択することになるでしょう。
刑事が猟奇殺人犯を追うようなシリアスなサスペンスものも、いちいちマスクしたり外したりというのは世界観になじみません。でもこういう作品はストーリー自体のフィクション性が高く日常生活と密着していないので、コロナなしの世界を舞台にしてもあまり気にせずに見られそうです。
コメディはコロナありでも大丈夫?
一方、コメディの場合はどうでしょうか。
例えば「結婚できない男」シリーズは登場人物も多くはなく大勢が密集するようなシーンは元々ありませんが、作品世界としてもコロナ対策のあれこれをディテールに入れ込むことで逆手に取って面白く描くことができそうです。
またこの作品は生活実感とか「今」という感じを大切にしたい作品なので、視聴者がコロナのある世界に生きているのにドラマの中にはコロナがないのでは違和感が出てしまう気がします。そういう意味でも今やるとしたらコロナありの世界にするでしょう。(ただ、死者が出ていることでもあり、おふざけにならないような配慮もコメディの場合必要になるでしょう)
というわけで最近の僕のマイブームは、「結婚できない男」シリーズに限らず、「今、現代的なコメディを作るとしたらコロナをどう描くか」ということなのです。
<追記>シリアスなドラマで、コロナの問題を真正面から描く作品というのも当然ありうると思います。それはそれで興味があります。
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