2023年 ビートルズ

ご無沙汰してます。尾崎 枕です。
ま、読んでる人がいかほどいるのかは甚だ疑問だけど…。

私生活が色々とゴタゴタしていて、元来なまぐさ者の私はこの場を離れてしまっていたけれど、書きたい話題は沢山あるのだけれど、ゴタゴタは今尚To be continuedなのだけれど。

しかしながら、この度、ビートルズが「最後の新曲」として「Now And Then」をドロップしたので、これについては「書かねば」と誰からも期待されていない責務を感じ、フリック入力ができない私がこの文章をちまちま打っている。

30年来のビートルズリスナーである。ここで敢えて「ファン」と書かないのは、ネット上にはビートルズに関しての知識量でマウントを取る輩が数多存在することをリスナー歴30年の経験から知っているからである。魔窟である。そんな魔窟に果敢にも足を踏み入れるには「私みたいな中途半端な人間がファンを名乗るなぞ滅相もない。でも好きなのでこの話題に触れさせて下さい。」という謙虚さが必要なのである。私は謙虚なのである。

長い前置きはさておき。
「Now And Then」という曲自体の考察は色んな方々がそこら中でしているので、今回私は単純に感想をつらつら述べていこうかな、と思う。
併せて、『赤盤・青盤』もリニューアルされたので、それについても。

○Now And Then
「Now And Then」MV

実にメランコリックな作品である。それ故に「最後の新曲」と銘打った割りに地味な印象がある。だからこそ賛否両論が飛んでるんだと思う。
ビートルズに何を期待するかによって、この曲に対する評価は変わるのだと思う。「あのビートルズが21世紀に新曲を!」という人は諸手を挙げて歓迎しただろうし、デビュー当時のキラキラしたパワーに衝撃を受けた人や、全盛期の実験性や革新性に魅了された人はガッカリしたかもしれない。私個人的には両方だったりする。

どちらかと言えば、曲自体はジョンのソロという印象。90年代の「アンソロジー・プロジェクト」で一旦お蔵入りにしたものを今回掘り起こしてきたという話で「Free As A Bird」「Real Love」と同じ出自のもの。なので、今は亡きジョージの演奏も含まれている。そこに新録した演奏も重ねたという、言わば「ツギハギ」な新曲である。

「ツギハギ」と言えば、間奏部のコーラスは、彼らが若かりし日にレコーディングしたものが使われている様子(「Because」とかかな?)。更に間奏部のリードギター―スライドギターはポールによるものらしい。

で、ジョンのデモにあったBメロが削られている問題も発生。

「Now And Then(demo)」

多少音楽をかじった程度の私がしゃしゃり出て言わせてもらうと、Bメロ部分は「無茶苦茶な転調」である。ジョンの曲にはよくあることだが、力技全開である。
この部分をバッサリ切ったことにも賛否両論の嵐が吹き荒れているようだが、個人的にはこの編集は最適解だったんじゃないかな、と。まとめ辛いもん。
でも編集後のサビ部分でもさり気なく転調してるのよね。

今回ドロップされたこの曲について思うことは、ビートルズも年を取って落ち着きましたよ、と宣言されたんじゃないかな、ということ。メンバーの半分(以上)はもうこの世にいないし、残った二人も80歳を超えてる。地味な曲だけど、何やかんや言って耳に残るし、何か口ずさんでいる瞬間がある。シングルB面はデビュー曲「Love Me Do」だそうで、ビートルズの軌跡がループする構造になってる。こちらのデビュー曲もずっと賛否両論の対象だった。こういった幕引きもアリなんじゃないかな、と思う…本当に幕を引くのかな?

…最初、新曲が出るというニュースを目にした時、遂に「Carnival Of Light」かな、と思った。しかしながら、ま、権利関係のゴチャゴチャとかあるみたいだし、噂によればサウンド・コラージュ的な作品みたいなので、なかなか新曲として大々的に発表するのは無理があるのかな、と。だからB面に期待してたんだけどな…。

さて、長くなったけどまだ続くよ。


○赤盤・青盤(今回はCD版について)
『赤盤』
Love Me Do
Please Please Me
I Saw Her Standing There
Twist and Shout

From Me to You
She Loves You
I Want to Hold Your Hand
This Boy

All My Loving
Roll Over Beethoven
You Really Got a Hold on Me
Can't Buy Me Love
You Can't Do That

A Hard Day's Night
And I Love Her
Eight Days a Week
I Feel Fine
Ticket to Ride
Yesterday

Help!
You've Got to Hide Your Love Away
We Can Work It Out
Day Tripper
Drive My Car
Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
Nowhere Man
Michelle
In My Life
If I Needed Someone

Girl
Paperback Writer
Eleanor Rigby
Yellow Submarine
Taxman
Got to Get You into My Life
I'm Only Sleeping
Here, There and Everywhere
Tomorrow Never Knows

『青盤』
Strawberry Fields Forever
Penny Lane
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
With a Little Help From My Friends
Lucy in the Sky With Diamonds
Within You, Without You

A Day in the Life
All You Need Is Love
I Am the Walrus
Hello, Goodbye
The Fool on the Hill
Magical Mystery Tour
Lady Madonna
Hey Jude
Revolution

Back in the U.S.S.R.
Dear Prudence

While My Guitar Gently Weeps
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Glass Onion
Blackbird
Hey Bulldog

Get Back
Don't Let Me Down
The Ballad of John and Yoko
Old Brown Shoe
Here Comes the Sun
Come Together
Something
Octopus's Garden
Oh! Darling
I Want You (She's So Heavy)

Let It Be
Across the Universe
I Me Mine

The Long and Winding Road
Now and Then

(太字は今回追加収録された曲)

…皆さん、この曲目見てどう思います?
個人的にはこっちの方が賛否両論吹き荒れてるんですけど。良い面もあるし、悪い面もある。
なので、幾らか小見出しに分けて感想を。

1.カバー曲収録について
これに関しては賛否五分五分の気持ちです。
元々がこの『赤盤・青盤』に関しては完全オリジナル曲のベスト盤だったので、カバー曲の収録は少々複雑な気持ちになります。
しかしながら、前期ビートルズは紛うことなきライブバンドだったので、ライブに於いて頻繁に演奏されたカバー曲が重要であることも納得できます。「Twist And Shout」とか「Roll Over Beethoven」とかはね。
じゃあ何で「Rock And Roll Music」とか「Long Tall Sally」入れねぇんだよ!ってなります。「You Really Got A Hold On Me」は私個人的には大好きな曲ですが、ライブバンドとしてのビートルズを語るには趣旨がズレます。
いっそのことカバーベストを別枠で作ればいいのに、と思いますよ。

2.ジョージ優遇
ジョージの曲が沢山追加されましたね。これは嬉しいです。特に『Rubber Soul』以降のジョージはめきめきと頭角を顕し始めるので、そこに焦点を当ててくれたのは単純に心躍ります。
願わくば、1991年の日本公演オープニングだった「I Want To Tell You」も収録して欲しかったですね。

3.攻めてるね
「Within You, Without You」「I Want You(She's So Heavy)」を収録したのは攻めてると思います。全然初心者向けじゃない。ただ、個人的には拍手喝采を送りたい。両方とも素晴らしい曲だから。
だから、ビートルズ入門書としてこの盤を手に取った人は飛ばすでしょうね。両方とも長いし。ただ、もし、その人がこの盤をきっかけにビートルズを好きになって、何年も聴くことになったら、これらの曲の魅力に気付いて愛することができるかもしれません。できないかもしれないけど。
そういった意味でこの2曲が収録されたことには意味を感じます。

4.「Now And Then」
「まぁ、入れるよなぁ…」って感じですね。新曲で目玉商品ですからね。
ただ、これを入れるのであれば「Free As A Bird」「Real Love」も件のAI技術を使ってジョンの声を鮮明にして収録して欲しかった。『Anthology』のバージョンは発表当時も違和感があるトラックでしたからね。3曲揃えて目玉だったら、もっとグッときたんですけどね。
あと、重箱の隅をつつくような話ですが、『青盤』って正式名称『1967-1970』ってタイトルですけど、この曲入れるのなら『1967-2023』なんじゃないすか?

5.欲を言えば
言い出したらキリがないんですが、まだ収録して欲しかった曲がいくらかありますね。
例えば『For Sale』からの選曲が少ないので「No Reply」とか。あとシングルですけど「I'm Down」とかもカッコイイのに、とか。「Rain」入っとらんやんけ、とか。『Sgt.〜』の「Good Morning Good Morning」からの「Reprise」からの「A Day In The Life」やろがい、とか。何で「Because」入れへんねん、とか。カバー切ったらもっと入れられるんと違うんかい!とか。
失礼失礼。
あと個人的にはマニアック枠で「Blue Jay Way」や「You Know My Name(Look Up The Number)」とか、敢えての「Revolution 9」とかね。シークレットトラックで「Carnival Of Light」とかね。
キリがねーです。

と言うことで。
総評としては「悪くはないが中途半端でないかい?」ってのが、今回リニューアルされた『赤盤・青盤』収録曲の感想かしらん。やっぱオリジナル曲で固めて欲しかったな、結局のところ。
でもまぁ、「Tomorrow Never Knows」の収録はデカいよね。「A Day In The Life」同様に革新的な曲だもん。『Revolver』からの選曲増えたのは時代の流れを感じるね。あと『White Album』からも。「Hey Bulldog」が選ばれたのもナイス。


時に私は『赤盤・青盤』を持っていない。何故ならオリジナルアルバムは全部揃えてあるから。ただ、これらを入手したのはもうかれこれ30年前のことで、2009年以降、リミックスされた音源が今の主流である。今回の『赤盤・青盤』も然りであるわけで、持っていても損はない。

買おうかなぁ…どうしようかなぁ…合わせて8000円越えはキビシイなぁ…。


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