人生には「意味」よりも大切なものがあるのかもしれない!
家の2階。
窓から風を入れて、机の上に広げたノートに
【 Good - ONE 】
とカラフルに書き記した横に 彫り物 が置かれている。
その机につっぷして、昼寝をしている エリカ。
夢を見ていた。
そこは、2045年(今から20年後)。
エリカは、青い海と自然に恵まれた幻想的な建物の部屋にいる。
5人で円を描いて座っている。
円の中央には、100cm程度の高さの 彫り物 が置いてあった。
エリカは、他の4人が話す言葉に耳を傾けている。
じっと、聴くだけ。
1時間程度経ったときに、おもむろに話し始める エリカ。
『この彫刻は、1778年。ここハワイを訪れた キャプテン・クック、
イギリス人ね。
によって、今のカウアイ島のちょうど中央にある
ワイアレアレ山の頂上付近で発見されました。
当時は、よく分からないけど、ハワイ王国の歴史的遺跡だと思い、
カメハメハの協力を得たクックは、この彫刻・・彫り物ね。
を、山頂からおろして海岸沿いの建屋で保管し、記録を残したの。
特に、何かが起きる兆候はなかった。
でも、クックだけは、後悔したと、日記に記されていました。
ではなぜ、クックは後悔したのでしょう。
ジム、どう思いますか?』
と、残りの4人の中の一人におもむろに質問を投げかけた。
ジムは、眉を寄せてから話し始めた。
『そうですね。禍の予感ですか。何かが起きることを恐れたのかも。
事実、1799年には、カウワイ島で、大勢の人がなくなっています。
特に、白人がですが、ハワイ王国の人はなくなってません。
そこを予感したんじゃないでしょうか』
言い終わるとじっと 彫り物 を見つめるジム。
そこに、 エリカが 再び声をかける
『そうね、そうかも、じゃ、なぜ、クックはそれを予感できたのでしょう?
そして、人が死んだことと 彫り物 との関係性はなんでしょうか?
誰か、意見はありますか』
と周りをみわたす エリカ。
誰も、声を出さない。
『それでは、来週までの宿題とします。ヒントは、「水」 です』
と エリカ は告げて、終了の合図として、自分のタブレットを持って
立ち上がった。
他の人も、ランダムに部屋を出て行った。
エリカは思った。
『この 彫り物 は、その後、科学分析により、
地球に存在しない元素でできていた。
現地人は、この 彫り物 を神というよりも、
守るべきものと 考えていたようだった。
そこには、何かしら、人の心に、
特に、ハワイ王国の人に、響くものがあったのかもしれない』
暑い!
汗をかいて不快感から、見えを覚ます エリカ。
夢はなんだったのか、うっすらとしか分からない
でも、目の前の 彫り物 に
愛おしさ と 安らぎ
を感じた。
――――続く