風の時代の自己分析
(このエッセイはボイルドエッグズに所属していた時に公式サイト内で書いていたものを再掲しています。2020年頃)
先日コンビニに行こうと歩いていたところ、驚くほどツッパリな風貌の男性を見つけた。
遠目から見ても、「なんだ、あのツッパリは!」と思うほどに、完成したスタイルなのだ。
顔と同じくらい長さのあるリーゼント。剃り込みも鋭く入っている。
もちろん学ランだ。ズボンはダボダボの『ボンタン』で、上は丈の短い『短ラン』で、インナーを赤にして差し色を利かせているあたりも完璧である。
そのかっちりとした佇まいは、ヤンキーというよりもツッパリなのだった。双方にはっきりとした境界線があるのかわからないが、どことなく硬派な雰囲気を醸し出していたからだろう。
勝手な私の解釈だが、ヤンキーとツッパリの違いは、硬派度合いだと思う。ヤンキーはチャラチャラと女子をナンパしたりするが、ツッパリは恋愛に不器用なイメージだ。志を同じくするスケとだけ純愛を成就させる、それがツッパリ。
そんなことはどうでもいいのだが、とにかく、正統派なツッパリが平日の昼過ぎ、さほど人気のない住宅街の路地にいたのだ。まだ開いていない銭湯の看板を真剣な様子で読んでいるのだから、明らかに浮いていた。
近くで『今日から俺は!』の撮影でもしてます? と思ったほどだが、この住宅街がロケ現場になっているという噂など聞いたことがない。
「これはもしや……」
不自然にならない程度に歩みを遅くしながら、ツッパリの横を通り過ぎて、私は思った。彼は未来人なのではないか。
少し前に息子たちと、宇宙人や未来人がいるのかいないのかという話になり、じつは宇宙人も未来人もいて、普通に街中を歩いているものの気づかないだけ、という意見に着地したのだが、ここに未来人ありではないのか。
ツッパリだから過去から来たのではないかと思うかもしれないが、過去にはタイムマシンは開発されていないので無理であり、つまり昭和のファッションがリバイバルしている未来から来たのだろう、という読みで……まあ、そんなわけない。
あまりにも個性的なファッションだったので、つい想像力をかき立てられたのだった。
ところで、私はホロスコープが好きで、飲みの席になると居合わせる友達の生年月日と生まれた時間を聞いてその人のホロスコープを出し、性格を当てたり、近々こんなことがあるかもしれないと言ったり、酔っているのいいことに当たっているのかいないのかわからないことを言って楽しむという趣味がある。
ホロスコープって何? という方に、簡単に説明すると、西洋占星術における天体の配置図のことである。
生まれた時間と場所によりホロスコープを作成することができ、それを読むことでその人の性格や運気がわかるというもの。『占い』ではあるものの、人類の歴史上でもっとも古い学問とも言われており、統計学としても奥が深い。
たとえば有名なのは太陽だ。いわゆる「私は●●座です」というのは、その人のホロスコープの太陽が●●座にあるということを言う。
そして太陽と同じくらい大事なポイントが二つあって、一つは『月』、もう一つは、『アセンダント』というもの。
ざっくり言うと、太陽というのは、その人の人生の目標を象徴している。自分が歩むべき、目指すべき方向性だ。
月は、心の領域と言われている。自分の原点、純粋なところ。ゆえに幼少期や母親の存在なども象徴している。太陽が表の顔なら、月は裏側とも言われる。
そして、アセンダントとはもっとも馴染みがないかもしれないが、これは生まれた時の東の地平線上に昇る星座のことを呼ぶ。ここでは何を象徴するかというと、自分の第一印象や、他人から見た自分の姿である。自分のパッケージといえばイメージしやすいかもしれない。容姿や見た目、パッと見の雰囲気を表す。
たとえば、銭湯の前で見かけたツッパリは、おそらくアセンダントが水瓶座ではないだろうか、と私は考える。
水瓶座というのは、十二星座でもっとも個性的な星と言われている。頭の回転が速いキレ者なのだが変人とも言われやすい。奇抜なファッションやちょっと風変わりな見た目の人というのは、アセンダントが水瓶座であることが多いな、という印象だ。
ホロスコープはとても詳細なので、私もまったく学びきれないのだが、ほんの少し知っているだけでも使えるのでおすすめしたい。
太陽、月、アセンダントを知るだけでも、生きていく指針となる。
太陽を知ることで、自分の進むべき方向性が見えてくる。
月を知ることで、自分にあったリフレッシュ法がわかったり、自分の心がどうすれば満たされるのかがわかったりする。
アセンダントを知るのは、もっとも利用性が高いといえる。なぜなら自分にあったファッションや、他人への見せ方がわかるからだ。アセンダントに合わせた自分になることで、他人から違和感なく見られやすくなる。たとえ奇抜な見た目だとしても、その人らしくていいね、となりやすいのも水瓶座アセンダントなのだ。
それを乙女座アセンダントの人が水瓶座の個性的な風貌を真似ると、たんなる奇妙な人になってしまう。
乙女座アセンダントは清潔感のある、優等生的な雰囲気になるとハマったりする。一般的に乙女座のアセンダントの女性はモテるというのも、よくわかる。
ちなみに、男女問わず美しい容姿を与えられやすいのは天秤座だという。華やかで人目を引く獅子座アセンダントの芸能人も多い。
自分のホロスコープを知りたいという人は、ネットで『ホロスコープ 作成』で検索といろいろ出てくる。ちなみにアセンダントはまあまあ正確な生まれた時間がないと出せないので、そこは気をつけてほしい。
って、なんだか占星術家のブログみたいになってしまったが、ホロスコープにおいて2020年〜2021年が歴史的に大きな潮目の変わり時、いわゆる『風の時代』がはじまったとされている今、そういう切り口で自分自身を分析してみるのも面白いかなと思う。
2024年になって追記:
2019年12月からはじまったとされる「風の時代」と同時にウィルスが世界に広がり、世の中は大きく変わりましたね。2026年までがホロスコープ的には移行期と言われていて、まさにいまも大きな潮流の中にいる感覚があります。