尾崎もみじ

小説家 機械工学を専門とする歴史物語を描いています。

尾崎もみじ

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最近の記事

【歴史小説】機械工学の歴史 黎明期の機械工学者たち

 18世紀は数学者たちが機械やその動作を純粋に数学的命題として取り扱う風潮が根づいた時代であった。つまり、彼らの多くは眼の前の物理的現実や工学的課題を、一歩引いて抽象的な数学のモデルに落とし込んで考察する方法をとったのだ。この独自の手法は、非常に意義深く、この時代に多くの基盤となる理論や原則が生み出されている。例を挙げれば、イギリスのアイザック・ニュートンやドイツのゴットフリート・ライプニッツの名が挙げられるだろう。彼らによって産み出された微積分は、物体の動きや変化を数学的に

    • 【歴史小説】機械工学の歴史 機械工学と造船技術

      19世紀の産業革命の波は、科学と技術の世界を大きく揺り動かし、歴史的風景を一変させた。 その中心には蒸気の力と堅牢な鉄の構造による近代の造船技術があり、機械工学に革命的な刺激をもたらした。 この革命的な技術開発の渦中、一つの海洋王国がこの時代の舞台前面へと姿を現わした。 その名はイギリス。 イギリスは工業革命の発祥地として知られ、この革命の背後には、技術的かつ産業的な飛躍が息づいていた。鉄鋼の躍進、石炭の採掘の深化、そして機械製造技術の精緻化は、造船の技術にも確かな恩