羽のない天使
わたしの母親はヒステリック毒親だと思っている。だが、他人から見た母親は「いいお母さん」だそうで。誰とわたしの母親を比べているのかは知らないけれど、「いいお母さん」らしくて。
わたしの母親は、わたしより弟を可愛がる。それはわかる。だってわたしの目からも弟は天使に見えている。自分がこの天使を産んだのだから、可愛がるのは当然のこと。だったらわたしはどう写っているのだろう。それはただの使用人。家政婦。そういったところだろう。意見を述べようものなら遮られ、そしてその重圧によりわたしの心、気持ちは尽く潰されてきた。感情のない、都合の良い使用人。それでもわたしの天使が笑ってくれるのならそれで構わない。わたしの、というよりも、母親の、か。
母親へ
貴方に平手打ちをされた右頬の痛みをわたしは12年間忘れたことはありません。あの悔しさを忘れる訳にはいきません。貴方は口癖のようにわたしのことを失敗作だの、産まなきゃ良かっただの、言葉での攻撃をやめませんでしたね。貴方の記憶からは消えてると思いますが、わたしはその呪いを一生背負って生きていきます。
「いいお母さん」へ
どうか天使の羽が汚れず、穢れることなく、そのまま飛ばせてあげてね。この子の笑顔はみんなを幸せにする力がある。その笑顔を2人で守っていこうね。
羽のない 飛べなかった 貴方の1人目の天使より
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