青い薔薇の旅

想いもよらないこと

わたしたちは皆、時の旅人。いまは、全員で不思議な世界に突入。
こんな世界に突入するなんて、この絵を描いているときは、想いもよらなかった。それに想いもよらないことは、もうひとつ。自分の絵が、ジャスパー・ジョーンズやパウル・クレーの絵と一緒に美術館に展示されるなんて！この写真の上の青い絵がその作品「青い薔薇の旅」です。いま、軽井沢にあるセゾン現代美術館に展示されています。

暗雲のような青い薔薇が垂れ込めるなかを黒い電車が走っています。前途が見えない不思議な旅の絵です。この写真では、よく見えませんが大地のあたりに黒く光っているのは、アフリカの砂です。黒い電車の部分は、コラージュ技法を使っています。下地は、方解石の粉末とオセアニアの砂、胡粉などを練りあげたものをモデンリングペーストと混ぜ合わせ、壁画のような荒々しい感じに仕上げています。かなり上に展示されているので、みづらいのですが高知麻紙に自然の素材（岩絵の具）で描いています。
いつもは、赤い薔薇の絵ばかり描いているのですが、〈旅〉をテーマに描いていたとき、急に赤だけでなく青い薔薇も描きたくなったのでこの絵を描きました。同じ大きさで「赤い薔薇の旅」という対の絵もあるので、いずれそちらもご覧いただければと思います。

お庭には、白いお茶室が

この展覧会『都市は自然』は、2020年より軽井沢町のマスター・アーキテクトを務めている建築家の團紀彦氏がキュレーションをされています。團氏の建築作品は、（自然との共生〉がテーマになっています。その白い空間が緑と共生する姿は、美しく神聖です。この展覧会もやはり〈共生〉をテーマにしています。私の作品は、〈人為と無作為の共生〉というコーナーに展示されています。もし、会期中にセゾン現代美術館にいらしたら、團氏が設計されたお庭のお茶席スペースも是非ご覧になってください。（※下の写真）木立の中に白がなんとも美しい空間をつくっています。

※作品情報
「青い薔薇の旅」 H91.5 × W97 cm 和紙、岩絵の具、アクリル、コラージュ 2014年制作　蜷川有紀

※展覧会情報
http://www.oyukibo.com/info/2020-august-06/
『都市は自然』
於・セゾン現代美術館　2020.7.26~11.23
開館時間：10:00~18:00（最終入館17:30）
休館日：木曜日（4/30, 7/23は開館・8月は無休）
主催：一般財団法人セゾン現代美術館
協力：團紀彦建築設計事務所