ショートショート『階段かエレベーター』
「ようこそ、エレベーターへ」
「とりあえず、十三階までお願いします」
「かしこまりました」
トゥントゥーン
「十三階に到着しました」
ドゥウィウィーン、ガタン
「・・・・・」
ドゥウィウィーン、ガタン
「降りますか、それとも昇りますか」
「昇ります」
「次は何階にしますか」
「十六階でお願いします」
トゥントゥーン
「十六階に到着しました」
ドゥウィウィーン、ガタン
「お、友達が増えてる。十七階ならもっと楽しめそうだな。次、十七階でお願いします」
「かしこまりました」
ドゥウィウィーン、ガタン
トゥントゥーン
「十七階に到着しました」
ドゥウィウィーン、ガタン
「なんでこうなるの。十六階では楽しそうに過ごしていたのに」
「降りますか、それとも昇りますか」
「昇るよ。一気に二十九階までいってちょうだい」
「かしこまりました」
トゥントゥーン
「二十九階に到着しました」
ドゥウィウィーン、ガタン
「なんでだよなんでだよ、なんでこうなるの。十七階のときのいじめのせい?なんでだよ。これ以上うえにいっても無駄じゃん。十六階まで戻って」
「できません」
「はぁ、なんで」
「このエレベーターは昇りだけです。この世界では過去に戻ることは禁止されています」
「なんだよ、使えねーな。使えねーエレベーターだな。こんなんだったら、普通に階段で昇ればよかった」
「降りますか、それとも昇りますか」
「ここじゃ降りねぇーよ、こんな所から始めたくない。もういい、三十五階から挽回してやる。三十五階まで昇って」
「かしこまりました」
ドゥウィウィーン、ガタン
トゥントゥーン
「三十五階に到着しました」
「お、さっきよりはマシになってる」
「降りますか、昇りますか」
「しょうがない、ここで降りる」
トン、トン、トン
「ご利用ありがとうございました」
ドゥウィーン、ガタン
トゥーントゥン
「ようこそ、エレベーターへ」
「大学生から人生始めたいので、十八階までお願いします」
「かしこまりました」
–––––完–––––
今日もSheafさんの #ストーリーの種 から、「ようこそ、エレベーターへ」をお借りして創作しました。
内容がちゃんと伝わったかどうか不安なので、一応コメント欄の方にプチ解説を載せておきます。
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