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誕生日のこと


8月が誕生日だったので、哀しいかな、歳を重ねた。
誕生日迎えるタイミングで、旦那は家にいなかった。正確にはその日の昼頃に帰ってきた。

盆休みの期間、私が京都旅行に行くことが決まっていたので、旦那にも旅行に行ってきていいよと伝えたら、「よっしゃ、インド行ってくるわ」と言われた。

インド??

そうだ、京都いこう。のテンションで、そうだ、インドいこう。と言っちゃうような人間のことを、私はこの人しか知らない。
というか、インドって行きたいものなのか。私は弱々しい軟弱者の人間なので、お金貰っても行くのに躊躇してしまう。水でお腹を壊して死ぬことが見えているからだ。

インド?? という顔を私がしているうちに、あれよあれよと友だちを誘い、(二つ返事で誘いに乗る友人たちも友人たちだと思う)旅程を組んでいた。

旅行当日、私も13時ごろに京都に行くと言っているのに、朝の6時の飛行機で成田に向かわなくてはならないから朝の4時半に家を出ると言われた。
なぜか私も出発のために起こされた。4時の時点でひとつもパッキングが出来ていなかったのでブチ切れた。(なんであんなに怒っていたのか自分でもわからない。起こされたからだと思う。)
絶対に忘れものするよ! と脅したのに、いざ京都に行こうとしたときに、舞台のチケットを忘れて家にトンボ帰りしたのは私だった。

そんな彼が私の誕生日の昼に、ニッコニコの顔で帰ってきたので「楽しかった?」と聞いたら、「日本は本当に良い国だ」と返ってきた。そんなことは行く前からわかっていた。

旦那はお茶が好きな私のために、アッサム、ダージリンなどの茶葉とチャイ用のスパイスセットを買ってきた。
「これを牛乳で煮出して飲むんだ」と言って、いそいそと茶葉をコトコト煮出し、チャイ用のスパイスとお砂糖を混ぜて作ってくれた。現地で作ったのを再現したかったらしい。


ミルクティはアッサムで煮出すのが一番。
スパイスセットのスパイスが風味よく、美味しい。

インド帰りなので、無理しなくていいよと思っていたけれど、なにしろ私の100倍元気のある人なので「博多に誕生日プレゼント買いに行こうか!」と言い、夕方ごろ博多の街に繰り出した。
プレゼントを買ってもらったあと、誕生日ディナーはなにを食べようか、と聞かれたので「寿司か肉」と言ったら「牛肉だね」と言われた。

インドでは牛の肉も豚の肉も食べられないから、恋しくなっていたそうだ。マックでハンバーガーを食べたときに、衛生上の理由で生野菜を抜いたら、バンズとピクルスとチーズだけのハンバーガーが出てきてそれを食べたらしい。そこまでしてインドのハンバーガーを食べようとする彼のチャレンジ精神に改めて敬服する。

連れて行ってもらったのはとても良い焼肉屋さんで、どれもほっぺたが落ちそうになるくらい美味しかった。最後にキャビアの乗ったイクラの包まれた肉寿司が出てきたときは、「富の味がする」と思った。
旦那は相変わらず「やっぱ牛肉はいいね」とよくわからない感動をしていた。


@西中洲焼肉 きらく
富の味の肉寿司


私があまりにも弱々しく、小さなことでくよくよする人間なので、旦那の大らかさ、たくましさにいつも救われる。
新しい歳は、新天地での始まりになったけれど、まあこの人となら大丈夫か。と鉄板越しにニコニコしている旦那を見て思った。

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