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タンス預金マーケティング

頭取「預金とってこいや」

多くの銀行で、こんな号砲が鳴る昨今。

銀行員たちはパニクっています…
「預金の増やし方、分かんねえ🤔」

悩み彷徨い集まる銀行員の群れ。
そして、群れの中で必ずでる意見がコレ。
「タンス預金だ…タンス預金を狙うしかねぇ」

ということで今回は、各銀行が狙うタンス預金を深堀るとともに、タンス預金を獲得する商品戦略を考えてみました。


■頭取「預金とれや」の理由

ちょっとだけ、そもそもの話。
今、なぜ預金なのか?

頭取「預金とってこいや」
これ、丁寧にいうと「金利ある世界が広がるんだから、仕入れ(預金)を増やせオラァ」になります。

金利ある世界は、以下のように銀行がもうけやすい環境をもたらしてくれます。

  1. 長期国債など政策金利あがる。

  2. 連動して銀行の融資金利もあがる。

  3. 銀行は、国債購入と融資増加でガンガンもうけられるようになる。

ということで、銀行では国債購入や融資の元手となる預金を増やせという指令がくだるということです。

最後の望みはタンス預金

少し堅い話しが続きましたが、ここからが本題のタンス預金のお話。

ってゆーか「預金増やせ」言われてもね、よその銀行から預金を奪うのはハードル高すぎっすよ!

えっ?
どのくらいハードル高いかって?

ブチギレ中のフリーザ様に膝カックンくらいハードル高いよ!

・・・ということでね、まず抑えておきたいのは預金は究極のコモディティ化商品という事実。

コモディティ化とは、顧客からみて「どの会社の製品やサービスも似たようなもの」になること。

Wikipediaより

預金は、商品性で差別化するのが困難です。

次に、預金は心理的スイッチングコストが高めです。

心理的メンタルコストとは、現在利用している製品・サービスを別の会社に切り替える際に負担する心理的な負担のこと。

グロービス経営大学院 MBA用語集より

給与振込や公共料金などの支払いに使ってる預金を他の銀行に変えるなんて面倒くさくて、絶対にやらないですよね。


そんな中、預金増強の最後の望みを託されるのが、我らがタンス預金。

日銀の資金循環統計2024/6によると、タンス預金。その規模なんと、
うまい棒10兆本…
焼肉きんぐプレミアムコース200億回…
つまり、金額にして103兆円!

タンス預金、超人気です。
なぜ皆、こんなにタンス預金するのか?

これを紐解いたうえで、タンス預金を銀行に取り込む商品戦略を検討したいと思います!

■「タンス預金で十分」はブランド力

タンス預金のベタな魅力を挙げると、以下のとおりになります。

  • 手元に現金がある安心感。

  • 銀行に行かなくてもお金が使える。

  • 銀行が倒産しても減らない。

  • 差押えの対象になりにくい。

しかし、実際はこんなことを考えながら「タンス預金するぞ」とタンスにお金を詰めこむ人はいないでしょう。

ほとんどの人が、何となく家にお金を置き続け、ふと気づいたらタンス預金になっていたというパターン。

で、今さら銀行に預け変えるのも億劫。
「タンス預金で十分。安心。いつでもお金使えるし。タンス預金で困らない。」と徐々にブランド価値があがるスタイル。
これがタンス預金の強さです。

■タンス預金獲得のための商品戦略

タンス預金してる人は・・・
タンス預金LOVEなんです。
タンス預金という言葉に安心します。
タンス預金という名が大事なんです。

ということで、銀行も『タンス預金』という名の預金商品を作りましょ!

金利や機能は、従来の普通預金と全く同じ。
もう、名前だけで勝負。

プロモーションメッセージはコチラ。
「ご自宅のタンス預金から、銀行の安心安全なタンス預金へ預けかえましょう!」
「ついでに利息も少し付きますよ」
これで完璧。

ええいっ!
タンスに馴染みがない若い世代向けに『クローゼット預金』も準備しちゃいましょう!

この記事を見ている銀行の商品企画担当者さん。是非、この案を提案してみてください。

最後に、僕が自行でこの新商品を提案した結果をお伝えしますね。

■実際、この商品戦略を提案した結果

提案内容はコチラ。

全世代向けに新商品『タンス預金』を、若い世代には『クローゼット預金』を展開。
通帳とキャッシュカードはタンス柄に。
「ご自宅のタンス預金から、銀行の安心安全なタンス預金へ預けかえましょう」の掛け声のもと、大々的に宣伝!

行内会議で提案した結果がコレ⤵

  • 偉い人から「ふざけすぎ」と一蹴。

  • 別の偉い人から「意味わからん」の一言。

  • 商品企画担当から「私はいいと思います。私は…」と、を強調した謎コメント。

  • 直上司「・・・」裏切りの終始無言😂

銀行の商品企画担当者の皆さん
次の人事評価で二重バツをくらう覚悟があれば、この提案かましたってください!!

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