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3C分析の違和感

3C分析、ごめんなさい。

さんしーぶんせきって呼んでました。
だって、三枝師匠が好きなんだもの・・・

3C分析、ごめんなさい。

Cの1つはコンポタージュと思ってました。
だって、コンペチターが出ないんだもの・・・

こんなレベルの現役銀行マンの分際ですが、自行の3C分析をやったとき、答えが見つからない憤りとともに微かな違和感を覚えました。

この記事では、その違和感について綴っていきたいと思います。
違和感とは「3Cじゃなくて2Cでよくない!?」です。


■3つとも頭文字Cは奇跡

3C分析とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から市場環境を分析し、経営戦略上の課題を導く分析ツールのひとつ。

Wikipediaより

企業活動とは…
不特定多数の顧客に対し、競合に打ち勝つ自社製品・サービスを提供する総合格闘技。

この企業活動において中核をなす顧客と競合と自社。この3つとも頭文字がCってスゴくないですか!?

コンポタやコンソメを差し置いて、天下無双の三傑そろう3C分析。

その確固たる存在感に、私は身も心もすべてを奪われていました。

そう。個人向けローンの3C分析を行うまでは…

■ローンの3C分析

【ローンの3C分析】
自分の銀行
が、競合に打ち勝ち、顧客にローンを提供するための市場環境分析。

やってみました。


まずは顧客(Customer)

ローン市場の動向、ローンを借りる人とは?

  • 物価上昇や税負担。伸び悩む実質賃金など資金繰りに苦しむ人は多くいます。

  • そんな中、生活に必要な高額な買い物。車や住宅、教育などの資金は大きな負担に。

  • またギャンブルや交際費など消費性向の高い人、借金グセがある人も一定数います。

つまるところ、ターゲットイメージは『お金に困ってる人たち』です。


続いて競合(Competitor)

顧客を奪いあうライバルは誰?

  • まずは、ほぼ同質のローン商品を展開する他の銀行。

  • 金利は高いけど、審査でOKがでやすい消費者金融。

  • WEB申込みに即融資、少額借入れに強みがあるネット業者も新たな脅威。

  • あるいは、親(にお金を借りる)や親戚に借りるケースも。

平たく言うと、ライバルは『お金を貸す機能を持つ存在』でしょうか。


最後は自社(Company)

と、ここまで来たところで気づきました。

「全然、オモロない」

実に面白くない!
顧客も競合も全く新奇性がない!

この問題は結構クリティカルで、新奇性がないと従来のマーケティング活動しかできず、従来の売上しか上げられません。

「ターゲットイメージ、違くない?」
「もっと根源的なライバルはいないか?」

改めて熟考してみました。

■3C分析の違和感

思考の壁にぶつかった際、私は自らが思い入れのある物事でケーススタディするようにしています。

今回は、肉まん。
(肉まんへの思い入れって…汗)


肉まん

ローソンより

ローソンには2つの肉まんがあります。
ノーマル肉まん160円と特選肉まん268円(2024年秋)。

「特選のほうがうまいっしょ」
「でも100円の差はなかなか…」
と考えた挙句、自制心が勝ってノーマル肉まんを選ぶ私・・・

と、ここがターニングポイント!

本当は、特選肉まんがいいけど、少し高いので我慢してノーマルを選ぶ、という消費行動をとる。

この我慢や自制心といった顧客心理。
これが、消費行動と消費に付随する『お金を借りる』という行動を制御しているということです。


我慢・自制心

銀行は『顧客はお金に困ったら誰かに借りる』と前提をおき、競合を考えがち。

しかし、当然『お金に困っても我慢する人』もいます。
むしろ我慢大国・Japanでは多数派。

つまり、最大の競合は『我慢という顧客心理』ということです。


違和感の正体

マーケティングとは顧客を理解し顧客の視点で事業を捉えることである

ドラッカー名言集より

競合 = 我慢という顧客心理

これを、冒頭で示した3C分析の定義に当てはめると以下のようになります。

【ローンの3C分析】
自分の銀行
が、我慢という顧客心理に打ち勝ち、顧客にローンを提供するための市場環境分析。

ご覧のとおり、ここには自社と顧客の2Cしかいません。もはや「3Cじゃなくて2Cでよくない!?」状態。

「2Cでよくない!?」
これは、先にお示ししたドラッカーの言葉とも符合します。
すなわち、私たちは顧客の心理・内在的論理・行動を徹底的に理解し、それに基づき自社のポジションを決定すべきということです。

■結論

もちろん3C分析を真っ向から否定するつもりはありません。

注意したいのは、分析順序重み付け

私たちは、目の前にいる顧客より、競い合うライバルばかり意識してしまいます。

しかし最も重要なのは、心情や内在的論理を含めた顧客理解。
顧客の分析を最優先かつ重点的に行うべきということです。

もし、まだ3C分析をやってない方がいたら

上記の教訓を参考に、さんしー分析の世界に・・・

「いらっしゃ~~~いっ!!」

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