ゲストハウスを開業するまで vol.33
前回は完成した部屋について、写真を中心に紹介しました。
部屋が完成したらやることは1つです。そうです。オープンです。
いや、その前にやることがあります。そうです。営業許可の取得です。
ということで今回は私が実際に動いた許可申請の流れについて書いていきます。
※あくまでも実体験を書いているので、このやり方でやるのが正解というわけではありません。
前提条件
今回の物件は
建物面積:約195平米
用途:店舗と旅館(確認申請の紙はなく、後日発覚)
以前は1階が喫茶・スナック、2階が民宿
空き家になって10年以上
①どうすれば許可が取れるかネットで調べた
ここにわかりやすく書いてありますので、詳しくはこちらをどうぞ。
現代っ子なので、まずネットで調べました。
すると、ゲストハウスを開業するためには
・保健所(旅館業法)
・役所(建築基準法)
・消防署(消防法)
の3ヶ所から許可をもらわないといけないことがわかりました。
②図面を作ってもらった
それで諸々調べたのですが、調べれば調べるほどわけがわからなくなったので、保健所に相談に行くことにしました。ただ、手ぶらで行っても意味がないので、図面を知り合いの建築士に作ってもらって相談に行きました。
③保健所に相談に行く
わりと、ちゃんとした図面を作ってもらい、電話でアポをとり相談へ。
やぶ蛇になるから余計なことを言わない方がいいって言う人もいますが、私は後々バレてモメる方が100倍面倒くさいので、包み隠さずにちゃんと話をしました。
聞いた内容は
・どこでやるか
・どんな物件か(図面と写真を見せながら)
・許可を取るにはどうすればいいか
それに対して保健所の方は
・まず兵庫県の基準について説明
(わかりやすくまとめられた用紙を見ながら説明を受けました)
・許可申請の流れについて
(必要な書類や手続きの手順について)
保健所の方はとても親切で、素人でも何をすればいいか漠然と理解することができました。県や担当者によって変わることもあるかと思いますが、私の場合は担当者が変わっても不快な思いをすることはなく、最後まで真摯に相談に乗ってくれました。
相談に行った結果、
1.保健所に相談
2.役所の許可(建築基準法を満たしているかがわかる書類の取得)
3.消防の許可(誘導灯や消化器などの消防設備の設置とカーテンなど設備が消防法に適っているかの確認)
(4.食品衛生責任者の資格取得)
5.保健所に2.3の許可書と申請書類一式を提出
6.保健所から許可をもらう
という流れなのがわかりました。
※2.3はどっちが先でも問題ないかと思います。最終的に保健所に全ての書類を提出すればいいので順番は関係ありません。また4の食品衛生責任者は持っている方がいれば特に取る必要はありません。
④消防署に行く
流れがなんとなくわかったので次は消防に行きました。
ものすごく丁寧に説明してくれたのですが、結局、消防設備を取り付ける資格を持った人、つまり業者にお願いした方が早いことがわかりました。
ですので、最終的に工事業者に許可取得まで全て丸投げしました。
消防設備は無資格の人が取り付けできないですし、どうせお願いするなら全部お願いした方がいいじゃんと、全てお願いすることにしました。
ちなみにうちの場合は誘導灯は古いものが付いていましたが、それではダメだったので、全て新しいものに取り替えました。ただ、わざわざ電源を引っ張ってくる必要がなかったので、その点は安く済みました。他には火災報知器と消化器を指定の場所に置きました。
合計で35万くらいかかりました。
⑤役所に行く
建物の用途については兵庫県が管轄しているということで、県の但馬支部的なところに行きました。初めて行った時はめちゃくちゃ対応が悪かったです。というか素人が行くところではありません。知識のある建築士が建設的な話をするために行く場所です。
話をしているうちに、そもそも自分が何をしに行ったのかわからなくなりました。とりあえず心折れて、これについてはほったらかしにしました。
⑥保健所に行く&作業をするの繰り返し
建築基準法以外は、やるべきことはわかったのでとりあえず改修作業に取りかかりました。取り掛かる上で保健所に行き、設備的に大丈夫の確認と、できた書類から随時確認してもらうことを繰り返していました。
⑦食品衛生責任者取得
食品衛生責任者の資格を持っている人が一人はいないとダメなので、取得しました。(申請時に許可状を提出する必要あり)
私の住んでいるところは、田舎でございまして、なんと講習が年に1回しか開かれません。奇跡的にタイミングバッチリだったのですが、奇跡の満員。
それなら年2回開催にしてくれよと心の中で毒づきつつ、保健所の人には日頃からお世話になっているので、もっと早めに取っておかなかった自分の過ちを認め、お隣の鳥取県で受けることにしました。
一日真面目に講義を受講すれば取れるので、真面目に受けましょう。
⑧確認申請の書類探し
建築基準法の件ですが、建物の用途が旅館だったらオッケーだということを知り、その用途が書かれた紙、「確認申請書」を探すことになりました。
しかし大家さんに聞いても、ないということでピンチ。
ただ、民宿として営業していたので、許可はちゃんと取っているはずなので、役所に行って確認してもらえばいいと知り合いの建築士に言われたので、いやいやあの役所へ行くことにしました。
⑨役所へ行く
担当者が変わっててちょっぴり親切になってました。
少なくとも、お前誰だよ、知識ないやつ来んな感は微塵もなく、とりあえず話を聞いてくれる人が対応してくれました。
私:建物の用途を調べたいんですけど
担:どこの地域ですか?
私:竹野です
担:いつ頃の建物かわかりますか。
私:なんとなくわかります。昭和30年ごろです。
担:わかりました。それでしたら少々お待ちください。
と待っていると、めちゃくちゃ古びたファイルを持ってきました。
なんとも説明が難しいのですが、そこに確認申請をした建物の記録が全て残されていまして、一つ一つ探していくことになりました。
そしてこれがまた長い道のりでして、全然見つかりませんでした。
前後何年を見てもないんです。
この日は諦めて大家さん含むいろんな人にヒントをもらいつつ、後日再度挑戦。それでもダメだったんです。それで、もうどうにかなりませんかねって言ったら、もしかしたらデータベースに情報があるかもしれませんとか言って、調べてくれたんです。
そしたらなんと。
なんと。
あったんですよ。
いやあるんかい!
ってめっちゃツッコミました。心の中で。
最初から調べてくれたらよかったのに。
でも私が昭和30年ごろっていうからそのアナログな記録にしか残されてないってお互い先走っちゃったんですね。
ほんと先走りよくないですよね。
でも終わり良ければすべて良しです。
結局、用途は「店舗と旅館」でした。ですので用途変更する必要がなくなったので、いろいろと手間が省けました。
ちなみにデータベースに残っていたのは用途変更をしたのが割と最近だったので記録に残っていたようです。
⑩書類の提出
消防の検査も無事通過して、書類をもらえたので、保健所にまとめて提出しました。何度も通っていたので、書類に不備はなかったですし、ちゃんと相談していて、保健所の方との信頼関係が築けていたので、検査の日程調整も含めスムーズに進みました。
その後、検査に来てもらって1週間くらいで許可書を発行してもらいました。
私の場合は元々民宿をしていたこと、さらに用途も「旅館」だったのが助かりました。間取りなんかも民宿用になっていましたし、採光面積も余裕で基準をクリアしていました。用途変更の手続きはしたことがないので、大変さがわかりませんが、知り合いの話を聞いてみると、費用もかかるしとても大変そうです。
私の進め方は以上のような感じでした。
許可をもらえた時は、人生トップクラスにホッとしました。
改めて経緯をまとめてみるとこんなに長くなってしまいました。
超大作です。
物件や県によって進め方が違うので、これだって正解はありませんが、少しでも役に立つものがあればうれしいです。
明日はいよいよ最終話です。
内覧会のことやオープン時の心境なんかを書いています。
それではまた明日!