七瀬すず菜というVtuberの概要および、そのボイスでトんだ話
(2024/11/5追記:記事がクソ長いので目次追加しました)
「七瀬すず菜」というVtuberをご存じだろうか。
ANYCOLOR株式会社が運営するVTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属し、今年8月にデビューした新人Vtuberだ。
本記事は、不惑を超えた妻子持ちのオッサンである筆者が、七瀬(以下敬称略)のボイスドラマを聴き、その内容に衝撃を受け、勢い任せにnoteアカウントを開設し、抑え切れない熱情を書き散らかすものである。
1.七瀬すず菜とは
まずは、七瀬すず菜本人の概要に触れておきたい。
specialeという(バーチャル世界の)カフェレストランで働く、男女混合5人組ユニットの一員で、七瀬はその最年長の25歳。早朝シフトから店に入り、雨の日も風の日も根性の力で必ず店をオープンさせ、ホールもキッチンもこなす気合の人。性格は快活で、キップの良い姉御肌でありながら、涙腺が脆い情緒豊かな一面も彼女の魅力だ。
毎朝の定期的な配信(通称「おはすず」)は月~金の各曜日ごとにトークテーマを設けており、「この曜日・この時間に七瀬すず菜は必ずこの配信をしている」という認知度の向上、ある種のブランド獲得に寄与しているように見受けられる。また、美味しいものが好きで、今度、農林水産省HPに掲載されている各都道府県の地元料理を実際に一品ずつ作ってみる企画が始まる。Vtuberとしては企画力で勝負するタイプにも見える。
加えて、デビューから本記事執筆時点まで1日も欠かさず早朝の配信を続けており、そのバイタリティ・計画性・継続力から、早くも「にじさんじの朝の顔」の一角に食い込み始めた、とも評されている。
また、七瀬すず菜というVtuberを語るうえで欠かせない気質が、その社会性の高さだろう。
にじさんじデビュー前は、社会人としていわゆる「社畜」生活を営んできた。デビュー時の初配信でも、社会の荒波にかなり揉まれてきたであろうエピソードと、その中でも善性を失わない、しなやかな心の強さの片鱗が垣間見られた。
七瀬の配信には、他人を傷つける笑いや、冷笑めいた毒の類が一切ない。配信活動の中で発生したアクシデントに言及する際にも、他の誰か・何かにヘイトが飛ばないような表現・心配りがよく見られる。
Vtuber業界、広く言えばエンタメ業界という、良くも悪くも社会常識から少しはみ出た感性が評価されやすい界隈で、ここまで「子供に安心して観せられる」配信をする人を筆者は知らない。
それでいて語り口は軽妙で、リスナーとの「プロレス芸」をこなすトーク力の高さも見せながら、視聴者から寄せられた悩みに寄り添い、手を伸ばす。朝配信の最後は必ず、「今日も一日、皆に良いこといっぱいありますように!」と送り出す言葉で〆てくれる。まさに、「光の配信者」である。
さて、七瀬すず菜というVtuberを形作るもう一つの大きな要素が、同時期にデビューしたユニットメンバーとの関係性である。
前述の通り、七瀬はバーチャルカフェレストランspecialeで働く5人組ユニット、愛称「すぺしゃーれ」の一員だが、他の同期メンバーは以下の通りだ。
■おしゃべり酒カスな歌うまうまシェフ(25歳男性)
■クールなFPSつよつよソムリエ見習い(22歳男性)
■体が汽笛音を奏でる歌うまうまギャルのアルバイト(19歳女性)
■畜生発言を連発する技巧派ギタリストの見習い店員JC(13歳女性)
「イカれたメンバーを紹介するぜ!」という枕詞に続きそうなメンツだが、もちろんそれぞれに素晴らしい個性や特技があり、同期の絆は強く、素敵なメンバーの集まりである。もう全員大好き。詳細は是非、各位が直接ご確認いただきたい。筆者は初めて、「グループ箱推し」という沼にハマり、全員のメンバーシップ(本記事執筆時点でメンバーシップ未開設の酒寄颯馬を除く)に加入した。また、我が家では妻と娘もすぺしゃーれ箱推しである。
そんな魅力的なメンバーを擁するユニットにおいて、最年長である七瀬の立ち位置は色々あるが、やはりその最たるものは「オカン」だろう。
同期に向けられる七瀬の視線は優しく、その愛は深い。女性陣には蝶よ花よと世話を焼き、男性陣にも(愛のムチ込みで)親身に接する。
飲酒しながらの配信で多少「やらかした」同期には配信上でキッチリ叱り(かつ裏でフォローも行い)、25歳組の会話では「ウチの子達はほんとに可愛いねえ」と目じりを下げる。
ご本人は営業妨害と否定されるかもしれないが、その立ち居振る舞いはまさに、「すぺしゃーれの母」である。
一方で、(過去の社畜経験ゆえか生来の気質か)ワーカホリックな配信活動をしがちな七瀬に対し、同期から無理をするなとたしなめられた際には、末っ子のように駄々をこねるシーンも見られる。母性から庇護欲まで、各種ニーズに応えてくれる七瀬。可愛いぞ七瀬。同期へのモーニングコール企画は毎月やっても良いんじゃないか七瀬。
以上が、七瀬すず菜というVtuberに対する個人評だ。
正直なところ、デビュー時の初配信は途中からの視聴となり、また同日にデビューした同期がエレキギターをかき鳴らす幼女とか超絶ラップをかますワイ将といったインパクトモンスター達だったこともあって、七瀬に関しては「真面目な人なんだな」という印象にとどまっていた。
が、デビュー後の配信を観て、グイグイ引き込まれた。最初期のゲーム配信(寿司→寿司→サクナヒメと怒涛の米プッシュ)や、早乙女ベリーとのBipedコラボでのドコドコ歩き、かぶ君との邂逅。ピコパーク2の阿鼻叫喚や、180°回転チンアナゴパーティ。初めてアニメ同時視聴なるものにも触れた。
そして毎朝のおはすず。朝の時間帯は、七瀬の快活な声と相性が良い。時には肝っ玉母さんのごとくガハハと豪快に笑い、時にはクラスメートの仲の良い女子のように悪戯っぽく語りかけてくる。社畜というバックグラウンドが共通していることもあり、勝手に親近感を感じていった。
2.で、ボイスである
七瀬、そしてすぺしゃーれのデビュー後、家族と一緒に公式グッズをかき集めた。コースター、缶バッジ、アクリルスタンド、アイシングクッキー、ランダムチェキ、現在出ているグッズはほぼ全て手元にある。
…が、公式ショップで出ているボイス、特に期間限定販売のシチュエーションボイスには、最初、どうしても手が出なかった。本人が台本を書いて収録しているドラマ形式のデジタルコンテンツなのだが、筆者はあまりASMR的なものに興味がない。特定のシチュエーションで推しに話しかけられるという設定も、なんだか聴いてて恥ずかしくなるんじゃないかという食わず嫌いがあった。
それでも販売期間の最終日に駆け込み購入したのは、Vtuber本人への売り上げのキックバックが比較的大きいと聞き、それならお布施目的で買っても良いか、と思ったためだ。
購入したボイスは複数あるが、その概要は以下の通りである。
・元同級生という設定で、久々に再会した七瀬と会話する「同窓会ボイス」
・七瀬が姉という設定で、朝、起こしてくれる「家族パロディボイス」
・両ボイスとも、話しかけられる「私」の性別は未設定(ドラマ中、「私」の性別に対する明示的な言及は無い。男女どちらのリスナーも楽しめるように、との本人談)
本記事で詳述したいのは「家族パロディボイス」である。有償コンテンツのため過度なネタバレは控えるが、学生である「私」が姉の七瀬にたたき起こされ、手作り弁当を渡され、学校でのあれやこれやの会話があり…というものだ。世話焼き・料理好きな七瀬のキャラクターを活かしたシナリオであり、全編通じて仲睦まじいきょうだいの様子が描かれる。
筆者は最初、弟の立場でこのボイスを聴いた。七瀬にたたき起こされたい。弁当を作ってもらいたい。あれやこれやと構われて、ウザいと言いつつも、内心では姉を憎からず思う弟になりたい。今世で鬼のように徳を積めば、あるいは来世で叶うかもしれない「七瀬の弟」というシチュエーションに、思いを馳せてボイスを聴いた。
…良かった。とても良かった。一般社会におけるスタンダードな姉弟の関係性を踏まえると、ややファンタジーと言えなくもない糖度高めの内容ではあるが、そもそもボイスとはそういうものだろうと思って存分に堪能した。
これは食わず嫌いだったな、今後も気になるボイスが出たらチェックしてみよう…と思いながら、ふと、このボイスの前提条件が筆者の頭をよぎった。
「”私”の性別は未設定」、というものだ。
そうだ。自分がオッサンだからと言って、妹の立場で聴いてはいけないルールは無いのだ。七瀬本人もそう言及している。この前提でもう一回聴いておくか、一粒で二度美味しいね、と気軽にヘッドホンをつけた。
脳内がスパークした。
突如として流れ込む存在しない記憶。すず菜おねえちゃんの、愛情たっぷりボイスをゼロ距離で浴びながら、台本に一切無い家族の情景が頭によぎりまくった。七瀬のセリフに呼応して、七瀬妹の心情が、大脳に、側頭葉に浮かび上がる。なんだこれは。ヴィジョンが見える。少し膝が震えた。
$${\textit{Big Love}}$$…としか言いようのない妄想が筆者の脳内を駆け巡る。すんごい。すんごく良い。とんでもない破壊力だ。
聡明なる諸兄諸姉におかれては既にご賢察のことと思うが、当然、この「私」に筆者自身を投影はしていない。この姉妹の間に挟まるなど、ましてや当事者になるなど、言語道断の極みだ。万死に値する。
筆者は、七瀬家の壁のシミである。七瀬家の歴史を、七五三や入学・卒業といったイベントや、ちょっとしたケンカ、仲直り。初恋の相談。将来の夢の語らい。いつか結婚して家を出る妹を、いつでも帰ってきて良いんだからねと、涙交じりに送り出す七瀬。この尊い姉妹が紡ぐストーリーを、その全てを見守る、壁のシミである。
「推しを見守る壁のシミになりたい」という表現をよく見かけるが、ようやく筆者もその境地に至った。おそらくは諸先輩方の中にも同様に、七瀬家の壁のシミになったボイス購入者が多数いらっしゃるものと拝察いたします。ともに見守っていきましょう。おそらくそのシミの一つからは、「Ciao」という声が聞こえてくるような気もしますが、あの同期大好き25歳酒カスお兄さんは箱推し最古参とのことなので、相応の敬意を払いましょう。
閑話休題。とにかく、七瀬すず菜のボイスは素晴らしかった。
憧憬の宝石箱、追憶のマスターピース。俺たちが追い求めた楽園は、エデンは、ここにあったのだ。期間限定販売のボイスだったため、買い逃したすずふぁーむ諸氏におかれては、是非、再販の機会を待たれたい。
ちなみに、「同窓会ボイス」も非常に良かった。極めて糖度が高い。女性視点で百合の花を咲かせるのも非常にオツだが、男性視点で素材の味を堪能するのも格別である。七瀬と「俺」君が、都会の喧騒の片隅でひっそりと奏でる、小さな恋のうた。最&高。なお、このシナリオにおける筆者の自己投影対象は、二人だけの二次会で訪れたバーのマスター。これに限る。アプリコットフィズを作ったのは私です。俺君、良い子を連れてきたじゃないか。どうにも浮いた話を聞かないと思ったら、そういうことだったのかね。全く隅に置けないな、君も。これは私のおごりだ。若い二人に幸あれ。コッ☆彡
…舞台がバーという確証はなく、そもそもマスターなんてキャラも一切出てこないのだが、私の中では確定事項である。その辺は、各位の癖(ヘキ)に応じて、適宜ご調整ください。見てる明日がそれぞれでも、歩いて行けば良いじゃない。どうしようもなく今を生きているんだから。なお、そのままの勢いで、デビュー直後に販売開始されていた「すぺしゃーれウェルカムボイス」も買った。これは同期全員分のコンプリートセットを買った。これからネットリ聴きます。対戦よろしくお願いします。
3.おわりに
以上が、筆者が人生で初めて購入した「推しのボイス」、七瀬すず菜ボイスドラマの感想である。
最初はXで思いの丈をブチまけようと思ったが、140文字にはとても収まらなかった。ここまで約6,000文字。馬鹿じゃなかろうか。この猛りをどうにか吐き出すべく、noteの場所をお借りした次第だ。
改めて読み返してみると、純粋な感想は「すんごい」しか言っていないが、オタクはすぐ語彙力を消失する生き物ということでご容赦いただきたい。
また、この溢れる想いを共有したいと、妻にほぼ同様の感想を伝えたところ、「シンプルに気持ち悪い」とのコメントをいただいた。そんなご無体な。娘にも伝えたら、「わかる、ボイス良いよね。私もシェリン・バーガンディの看病ボイス持ってるよ。シェリンを看病する側のシナリオがおすすめ。体調を崩した推しのキレイな嘔吐音、良いよねぇ」と逆に布教された。あれ…ちょっと話のレベルが高いぞ…身内に”本物”が居るとか聞いてないんだが…
という訳で、皆様、七瀬すず菜をよろしくお願いします。すぺしゃーれもよろしくお願いします。良い子達なんです。七瀬と同期メンバーのチャンネル登録とXのフォロー、配信の高評価も是非。10月11日から販売開始する新ボイスも要チェックですぞ。
そして1年後か2年後か、七瀬の3Dお披露目配信の際には、ともに滂沱の涙を流しましょう。
それでは皆様、おつすずな~