母親は、本当によくやっているよ
とある作家のエッセイを読んでいたら
このように書いてあった。
『母親になった友人をみていると
それ以前と比べて頻繁に謝るようになった。
ベビーカーでエレベーターに乗るときも
降りるときも申し訳なさそうに
「ごめんなさい」と』
それを読んで、私は数日前にあった
出来事を思い出した。
歩行者の流れに逆らって
私の目の前を突然、
横切った男性がいた。
そして、その息子であろう男の子が
父親の後を追いかけて横切り、
ぶつかりそうになったので
私は焦ってギリギリで立ち止まった。
そしたらその後ろから歩いてきた
母親であろう女性に
「ごめんなさい」と謝られた。
どちらの出来事も、
もちろん私自身にも経験がある。
大切な子どもが被害にあわぬよう、
必死に、でも当たり前に口癖化していた。
エッセイの中でも書いてあった。
『子どもが自分と同じ場所にいるだけで、
気にいらないという人もいる。
父親が一緒の時は、明け透けな不快感を
同じように示されはしないけど、
と母親になった友人が話していた』
作者も母親になった女友達の謝り癖は、
子どもが巣立てばやがて消えるのだろうか。
子どもを育てるだけでも大変なのに、
世間から母親にかかる負荷が
大きすぎやしないか。
と締めくくっていた。
それを読んで、私は娘が幼かった頃を思い出し、
涙がじわじわとあふれてきた。
この後、もちろん「親の時間」の仲間に
電話をして、怒り泣きしながら
私の気持ちを聞いてもらった。
母親に対する過度な期待と
プレッシャーで一杯の社会に対して、
そして親が子どもを自由自在に
管理するべきだと
思っている人たちに対して
No!と言っても
簡単には理解されないけど
母親同士がそのことを理解し
「私たちは本当によくやってるよね」と
言い続けることはできる。
あやちゃん