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誰かが誰かをほめるとき

よく心に引っかかる
誰かが誰かをほめるとき

もう何年か前のことだけど
小学生の集まりがあった日
わたしは息子と参加した

あるおとながある子どもをほめた
高いところからジャンプしながら宙返り
力強く着地したその子を
「おお!すげぇなあ!」って。

そこにいた私や他のおとなたち、
子どもたちも感心して見てた

そのすこしあとに
私の息子にジャンプの順番が来た
顔つきを見ただけで、
あの子みたいにかっこよく
ジャンプしたいと思ってるのが分かった
でも
なんだか中途半端なかっこうで
着地はマットとマットの間に、
ズボーと足がハマっちゃって

そのおとなは「大丈夫かー」ってだけ
声をかけたら
はい次いいよ、って次の子に合図した

息子は
なんだかきまりの悪い顔をして
ジャンプをやめて外に出て行った

それを見た時のわたし
ガッカリした感じ、悲しい感じ
うまくやれなかった息子に
もっとうまくやれと言いたい
あきらめずにもっと挑戦しなさい、と

そのおとなのそっけない態度にも腹が立った
ほめられた子のことが急に憎らしくなった

同じようなことは何度もあって

誰かが誰かをほめるとき
それがおとななら
私は自分にガッカリする、
私はこんなにだめだ
まだまだやらなきゃ、
うまくやらなきゃ

誰も悪くないのはわかってるのに
誰かのせいにしたくなる
誰かのせいじゃなきゃ私のせい
なんでこんなみじめな気分になるんだろう

「親の時間」で
この気持ちを仲間に聞いてもらってるうちに
思い出した
小さい頃からのたくさんの記憶

あの子はいいけどあなたはだめね
できてない
努力がたりない

ほめられたら必死になった
私の価値はそこにしかないみたいにしがみついて

誰かが誰かをほめるとき
比べられて優劣をつけられた記憶が
いつもくっついてくる

聞いてもらいながら
小さいわたしに戻って
いっぱい泣いた
いっぱい怒った

そしたら
心の中の曇ったガラスが
きれいに磨かれてクリアになるみたいに
ほんとうのことが見えてきた

わたしに足りないところなんて
何ひとつなかったよ
いまも

最近は息子に
あの子みたいにもっと頑張れ、とか
まだまだ足りないよ、とか
言いたくなると思い出す
ちがうちがう、これじゃない

ほんとうのことを伝えるんだって

あなたはそのままで最高よ
いつもほんとうによくやってるよ
カンペキだよ
って。

息子は
うるせーバカって言って
悔しそうにわたしを叩いてくる
おれどうせできないもん
おれどうせ下手だもん、ってつぶやいたりする
それでわたしは何度も何度も
また息子にほんとうのことを言ってみる

そして忘れたころに
息子ができなかったことに
もう一度挑戦してる姿を
ときどき見かけるようになって

そっか、けっこう通じてるのかなって思う

うん、自分のペースでいいよ
わたしもそうするね

心の中のガラスが曇るとき
ものごとがクリアに見えなくなる
そんなときは

また聞いてもらおう
「親の時間」の仲間に

まりちゃん

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