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「生きる」という決断

去年の12月に病気がみつかり、
治す方法は手術しかないという
説明を受けました。

父も同じ病気で手術して
その後元気になったので、
迷わず手術を受けることを決めました。

手術の前には様々な検査を受けました。
CTやMRI検査は、
事前に副作用やリスクが
細かく書かれた同意書に
サインしなければなりません。
そのような検査を受けることは
不安だったし、
手術がかなり大掛かりなものに
なることが想像できて、
さらに不安が増していきました。

そんな時に「親の時間」の仲間に
話を聞いてもらって出てきた言葉は
「こんな恐ろしい
検査や手術を受けたくない。
体に不具合があっても
受け入れて自然に衰えていくほうがいい」
というものでした。
そしてそれを言いたいだけ
言ってしまった後にようやく
「元気になって生きたい」
という気持ちがあふれてきました。

それでもまだ
「私の体はいつまで
持ちこたえられるんだろう」
などと不安な気持ちは続いていて、
よく眠れない時もありました。
その時はまだ、心のどこかで
「死ぬかもしれない」と
考えてしまっていたからでした。

病気の診断を聞く前、
体調は今とそんなに大きく違わなくて
不安といえば
疲れやすかったり
息切れしやすいのが
気になっていただけでした。

「死ぬかもしれない」とまでは
思っていませんでしたし、
疲れがたまるのもあって
ぐっすりとよく眠れていました。

今ももちろん、死にそうなほど
ひどい状態とは言えません。
これはもしかしたら、
診断を受けたり
検査を受けたりするうちに、
頭の中でいろいろ考えすぎて
不安がっているだけなのかもしれない、
と思いました。

手術を受けるということは、
お医者さん看護士さんや
医療機器を作っている人たち
献血する人など、沢山の人に
助けてもらうということです。

でも、私の命を生きることが
できるのは私しかいません。
「死ぬかもしれない」という
不安を捨て去るために
私自身が「元気になって生きる」と
決めることが大事なのかもしれないと
気がつきました。

そこで、「親の時間」の仲間の前で
「私は生き続けるって決めたの」
と宣言してみました。

最初はそれを言うことに
何か抵抗感がありました。
でも、聞いてくれた人は
やさしく励ましてくれました。
そして「私は生きるって決めた」
と言うたびに、いろんな感情が湧いてきて
笑いが込み上げてきたり
泣けてきたりしました。

こういう風に
繰り返し取り組むうちに
心の中に「生きる」という決断が
力強く居座り始めました。

それと入れ替わるように
「死ぬかもしれない」という不安は
スーッと小さくなっていきました。

自分でもびっくりするくらい
心が落ち着きました。
そうして、生きるために何が
必要で何が不要なのかが
はっきりと見えてくるようになりました。

それからは、手術を待つ日々が
受け身ではなくなり
お医者さんに何を聞きたいかも、
よく考えて整理できるようになりました。

かなり穏やかな気持ちで
手術を迎えられそうです。
聞きあう関係を育ててきたことが
大きな助けになりました。
「親の時間」を知って
続けてきて本当に良かったです。

いっこ

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