息子よ、君も泣いていいんだよ
息子は今年の春に大学生になりました。
希望校には入学できなかったのですが、
受かった大学に進学することに決めました。
進路は決めたものの落ち込み、
親元を離れることに不安があるようで
苛立っていてもいて、珍しく話しかけても
時々うわの空なところも見られました。
いろいろ感じて泣きたいだろうにと
私が思ってもそう簡単にはいきません。
小学生の頃の息子は辛い時は泣いて帰ってくるか、
目にタオルを当てて居間に来たりして
「泣きたいよ」と言わんばかりの態度でした。
私が「どうしたの?」と言えば、
後は泣きながら言いたいことを言って
その後、機嫌が直ったりしたものでした。
高校生くらいになると、怒ったり文句は言うものの、
泣くことはほとんどなくなりました。
私より大きくなった息子の話を聞こうと
近づいても苛立って手足をバタつかせたりして
私はちょっと痛い思いもしていました。
新しい土地で新生活の準備をしている時も
ずっと文句と不安を言っていた息子。
明日から一人暮らしをする段になっても
「行きたくない」と言うばかりで、
私もちょっと心配になったのでしたが…
次の日、大学に行く準備でバタバタしていた息子が
「もう行かなき ゃ!じゃあね!」と
涙目でハグしてきました。
私は出かけようとする息子を止めて
「今ちょっとだけ泣いていきな 」と言って
二人で泣きました。
ほんの2、3分のことでした。
世間的に男の子は強くなければいけないので、
泣くことも、弱音をはくことも
出来ない状況に置かれます。
女の私でも親から、泣くのは恥ずかしい
ことだと言われてきました。
私が「親の時間」に参加したのは
息子が1才半の時からで、泣くことが
傷ついたことから回復する
大切なことだと知っていたけれど、
世間では、特に男の子は禁止に
近い状況で泣くのを止められます。
けれど、大きくなっても男の子も泣きたいのです。
むしろ泣いた方がその人らしく
生きていけると、私は思います。
泣いてもいいというメッ セージが
どんな男の子、男性にも届けばいいのにと思います。
あれから2ヶ月が過ぎ、息子は大学にも
一人暮らしにも慣れてきたようで す。
最近どう?と聞くと「余裕!」なんて言ってきます。
息子よ、忘れないでね。君は泣いていいんだよ。
ちほ
※この文章は、2017年に書かれたものです。
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