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なりたかった親になれた

家から車で10分弱のところにある高校まで、
時折私は息子を送ることがあります。

ある日、車を運転をしている私に向かって
突然「公務員ってなんなの?」と聞いてきました。
息子が何故、そう質問してきたのかを
私は何となく理解していました。

息子の高校では、将来自分がどのような
職業に就くかを意識することは
大切なことだと、入学当初から
説明されていたからです。
だから、息子は職業というものを
考え始めているのだと私は思ったのです。

私自身は地方公務員として
6年間仕事をしてきたので、
自分の経験を話すことにしました。

私「何が知りたいの?」
息子「普通の会社と何が違うの?」・・・・・
たった10分弱の時間では伝えきれない、
もっと話したいと思ったけれど
たった10分弱だからこそ
聞いてきたのかも知れないとも思いました。

そして、車の運転は私にとって
大好きなことの一つなので、
私のリラックスしている雰囲気が伝わって
質問しやすくなったのかもと思いました。

私の小さい頃の話です。
私は、親に話したいことがあると
いつ話すべきか、自分にとって
ベストな状況まで待って 
” 今だ ! “ という時を
見計らって話していました。

お母さんが忙しくなさそうな時、
機嫌が良さそうな時
疲れてなさそうな時。

でなければ、話を聞いてもらえないどころか
全く違う話で怒られたり、
酷く心配されたり、
お母さんの子どもの頃の話を聞かされ、
諭されてしまうからです。
そんなことが続いたので次第に、
私は親にあまり話さなくなっていきました。

だから、息子たちが話し始めた時には
できるだけじっくり聴こうと決めています。
質問にも聞かれたことだけ
答えるようにしています。

こんなに準備万端で待っていても、
こちらの都合では話してくれません。
その日は突然やってくるのです。

つい先日、一緒に買い物へ行った帰り、
すっかり油断している時に
「安定した生活をするには、
やっぱ公務員だと思う?」なんて聞かれて
待ち構えているより、
油断しているくらいが
話しやすいのかと思ったのでした。

中学までは「 お母さん、お母さん 」連発の
息子でしたが、高校に通うようになってからは
話をする機会が断然減ってしまいました。
それでも、時々タイミングをみて
話してくれることが私は嬉しいです。

それと、息子が3歳の時から
「親の時間」を始めて、
私がなりたいと思っていた、
子どもの話を奪わず、焦らせず、
心配せずにただ聞くことができる親に
今自分がなれていることがとても嬉しいです。

としみ

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