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dai5599
古びた定食屋さんが好き
古びた定食屋さんが好きだ。
この令和の時代にひと昔前の記憶をべったりと染み込ませた姿にどこか安心する。
いつの最新ポップかも分からない店内BGMや古傷が目立つ歴戦の木目調のカウンター、日付の欄にテーブル番号が、値段の欄に品数が記載されたでたらめな伝票、真っ黒に日焼けして働く換気扇、お店の混雑を奏でる食器の音、夏が近づくと麦とろ定食を始めだすところもすべて愛おしい。
この場所はまさに町の母の台所である。「いらっしゃいませ」が「おかえりなさい」に聞こえてもおかしくない。空腹の我が子を向かい入れるような、そんな安心感がある。堅苦しいテーブルマナーはいらない。どんな子も受け入れてくれる。
最近、「かあちゃん」という定食屋さんに行ってきた。名前のセンスがありすぎる。こじんまりとした店内には、慣れた手つきで次々と注文をこなす“母”の姿があった。カウンター越しに見えるその背中は、さながら小学生の夏休み、遊びから帰ってきた自分に「お昼もう少しでできるからね」と語りかけているようだった。いままでどれだけの子供たちをお腹いっぱいにしてくれたんだろう。まさにビックダディならぬビックマミーである。そんなことをふと思った昼下がりだった。
あと生姜焼きめっちゃ美味かった。