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[Excel御法度]生成AIが作った計算式を信用してはいけない!

【まとめ】
生成AIが作った計算式を信用(=鵜呑みにしては)いけない。
検証と習得が重要。


【説明】
年末にインスタグラムのリール(動画)でこんなものを見かけました。
簡単に言えば「もうエクセルで関数を考えなくてもいい。生成AIに聞けばいい」みたいな感じのものです。

具体的には生成AIの一つである「GPTEXCEL」示し、生年月日の出し方を聞いていました。

そのうえで、「使い方を知りたかったらコメントして」という例のパターン。

コメントで聞かなくても、使い方は簡単でした。

GPTEXCELでの計算式の出し方

1 下のURLにアクセス
https://gptexcel.uk/
2 「GET STARTED →」をクリック
3 メアドを入れて「Sign in with Email」をクリック(他の方法でもいい)
4 メールに届いた「Sign in to gptexcel」をクリック
5 「Formulas」(関数)を選択
6 質問(指示)を入力
7 「GENERETE]をクリック
8 計算式が表示される
9 エクセル(数式バー)に貼り付け

これだけです。

質問(指示)が適切なら「おおむね」正確な計算式が表示されます。

非常に素晴らしいと思いますし、これは是非有効に使うべきだと思います。

ただ・・・

GPTEXCELの結果を鵜呑みにしてはいけない

表示された計算式を鵜呑みにしてはいけません。
何も考えずに信用してはいけません。

リールでは、誕生日から今日の年齢を出す方法を聞いていました。
「正確でない計算式が出るだろうな」と思ってたら、その通りでした。

自分でもやってみたら、同じ結果でした。


「F3セルの誕生日から今日の年齢を出す」を入れてみると・・・(エクセルを開いていなくても構いません)

「=DATEDIF(F3, TODAY(), "Y")」と出ました。↓↓↓

DATEDIF(A,B,"Y")は
AからBの経過年数を出す関数です。
ただし、マイクロソフトは
正式な関数としては扱っていません。

やっぱり「正確ではない」計算式が表示されます。

正しくは「=DATEDIF(F3-1, TODAY(), "Y")」です。

なぜ「正確ではない」か?

誕生日のセルが違う例ですみませんが、
仮に 令和2年4月1日(E3セル)生まれの子が、令和8年3月31日(F3セル)には何歳か?を出す際、
=DATEDIF(E3,F3,"Y")
だと5歳になりますが、これは誤りです。

正しくは、
=DATEDIF(E4-1,F4,"Y")
と計算し、結果は6歳になります。

法的には年齢は誕生日の前日に取ります。
令和2年4月1日生まれの子は、令和8年の3月31日に6歳に達します。

学校教育法で「子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから」入学する(就学させる)こととされています。

令和2年4月1日生まれの子が満6歳になるのが、令和8年4月1日だとしたら、その子の小学校入学は、翌年の4月1日以降になってしまいます。

上記はいずれも「満年齢」ですが、通常「お役所」では「年齢」=「満年齢」です。

企業が顧客リスト等で「年齢」を出す場合は、上の「正確ではない計算式」でも、問題ないでしょう。
「誕生日に年を取る」というのが一般的な感覚でしょうから(ですので「誤った計算式」とまでは言いません)。

でも「お役所」では、それはアウトです。

企業であっても、各種法律に基づくものは、下の「正しい計算式」で出す満年齢でないとダメでしょう。

というわけで、たまたま見かけた生成AIによる計算式の例が「年齢」だったから、揚げ足取り的に記事にしてしまいましたが、【まとめ】のとおり、結果を鵜呑みにしてはいけません。

生成AIは、WEB上のデータから回答を出します(そうでないものもあるようですが)。
従って、WEB上のデータに誤りがあれば、結果も誤ってきます。
つまり、DATEDIF関数を用いた年齢計算については「正しくない計算式」がWEB上に多数ある(それが主流となっている)ということです。

生成AIが「正しくない計算式」を出すのが、年齢計算の場合だけなら、まぁ、それだけ注意すればいいでしょう。

でも、他にもあるかもしれません。
だから鵜呑みは禁物です。

生成AIによる計算式は素晴らしいものです。
でも、やはり、計算式をちゃんと理解すること、そして、EXCEL以外の知識もちゃんと持たなくてはいけないことに留意しながら、生成AIを活用することをお勧めします。


自分で計算式を考えなくてもいいようになるのが理想ですが、なかなかすぐにはならないでしょうから(意外とすぐかもしれませんが)。

検証と習得が重要

生成AIの出した計算式を、
① 正しいか検証する
② 次回からは自ら使えるように習得する
これが重要だと思います。
結果を鵜呑みにしてミスを発生させないため、
そして、「魚」ではなく「魚のとり方」を学び、今後につなげていく、ということです。

年齢計算の方法についての詳細はこちら

「なんで誕生日の前に年を取るんだ?」と思った方、「DATEDIF関数って何?」って方、詳しい説明は、こちらでクドクドしていますので、ご覧ください。
[Excel]満年齢を出す計算式 DATEDIF関数 その3
[Excel]誕生日の前日に年を取るのはなんで?、と思った方へ(WEB記事やエクセル本は不正確なものが多いので注意)

こちらもどうぞ(他の方の記事も出ます)
「#DATEDIF関数」の人気タグ記事一覧|note ――つくる、つながる、とどける。

それにしても、私が見たリールが、なんでわざわざ「トラップ」のある年齢計算を取り上げたのか疑問ですが(分かりやすいから?)、EXCELのプロを自称している人の情報でも鵜呑みは禁物です。
EXCELの知識だけで実務ができるわけではない、ということを改めて感じた内容でした(他山の石とすべきものです)。

私は「EXCELのプロ」ではありませんが、本サイトの記事についても鵜呑みにせず、検証し、理解・納得し、そして取り入れていっていただければと思います。
誤りがあるかもしれませんし、もっといい方法があるかもしれませんので。

2025年の一発目からクドクド書いてしまいました。
本年もよろしくお願いします。

(作成 2日 3h)



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