子どもは本当に叱らなくて良いの?そして、なぜそれが良いのでしょう。
(2020年2月11日講演会より)
叱らなくて良いの? 本当にそれで良いの?
ここにいらっしゃるTさんと、Kさんは私の短大時代の教え子(保育士・幼稚園教諭)です。
2人はその頃、大学でやっていた「親子遊びの会」にしょっちゅう来ていましたので、そこに私も参加しながら交流していました。
今では2人とも、それぞれ3歳と1歳になるお子さんがいらっしゃいますが、2人を抱えてすごく子育てに悩んでいるってことで、去年の3月ぐらいから、私に直接相談がありました。
2人とも本当に叱ってばかりいるお母さんだったそうですが、私が色々アドバイスしたことを一生懸命実践しながら、1年間続けて来て、最近は変わってきています。
彼女たちは、1年間の中ですごく成長があった経験から、私がその「叱らない子育ての方法」を少しでも多くのお母さんたちに伝えたい思いでいるということを知って、「それは是非やりましょう」ということで世話をしてくれたおかげで、今日こんな会ができました。
ですから、今日もし皆さんが何か「なるほど」と思うことが1つでもあったら、それを皆さんのお友達や仲間に是非伝えてほしいと思います。
「叱らない」ということが本当にどれだけ大事で重要な意味を持っているのか、ということをお伝えできたらと思うからです。
「なんで叱らないのは良いのですか?」
「叱らないでどうするのですか?」
という質問をされた方もいらっしゃいますし、
「そんなので良いのですか?」
と疑問視される方もありますが、それでいいのです。
それが本当に必要なのです。
ですから、今日は、その事の中身についてゆっくりお話ししていきたいと思います。
なぜ叱らない方がいいのか?
今日お話ししようと思っているのは「叱らない子育て」です。
ダメって言わない育て方です。
「だめだめ」と言われて育って来ちゃうと、子どもは本当にそれがお母さんの意志だと感じてしまいます。皆さんもそうだと思うけど「ダメ」って言われるのって嬉しくないでしょう。「そんなことするな」って言われるのはうれしくないでしょ。
大人だって嫌だと思うことを、お母さんたちは子どもにいつも言いませんか?
言っちゃうでしょう。
ちょっと子どもの気持ちで考えてみてください。
子どもたちはそういう気持ちで毎日過ごすことになるわけですよ。
それが積もり積もっていったらどうなりますか?
今日お話しする話の結論の方を先に言ってしまいますと、自分はありのままの自分でいいのだって、そういう自己肯定感っていうものが必要なのです。それがないと育っていかないのですよ。
「ダメダメって言われているから、これやっちゃいけないのだ。」「いけないと言われるからじっとしている」とかいうことになったり、なにか言うとまたダメって言われるかも知れないからって警戒するでしょ。
皆さん、思い当たりませんか?思い当たるでしょう。
そういう風にそれが積もり積もっていくと益々だめになる。
他にも学校があるでしょう。
そこでもダメダメって言われたら学校行きたくないとか、それが昂じて引きこもりにもなりますよ。大人でも引きこもりになるのですから。
皆さんは、今、大人の引きこもりがどれくらいいるとおもいますか。
何人ぐらいだと思いますか。
引きこもって仕事もしない、結婚もしない、ずっと自分の殻の中に閉じこもっている大人って、10万人もいると思いますか?20万人位ですか?
実は10万でも20万でもない、150万人ぐらいいるのです。
そんなにいるのですよ。
その百何十万人の大人の人たちがどういう育ち方をしてきたかって見ていくと、根っこが乳幼児期にあるんです。
それから別な統計で高校生15歳の意識調査したものがあります。
「自分は価値ある人間だ」って思っている高校生が何パーセント位いるかという調査です。
実際、自分は価値のある人間だと思っている高校生って何人ぐらい、何パーセントくらいいると思いますか?30%はいると思いますか。
Oさんいかがですか?
Oさん「40%」
40%。そうありたいですよね。
実はアメリカの高校生の場合は57%です。
アメリカでは「自分は価値がある人間だ」と思っている高校生が57%もいます。自分に価値があると思ったら前を向いて何かしようと気になるでしょ。何か社会の役に立つ仕事をしたいって思えるじゃないですか。
中国の人たちは40%です。
日本はどうでしょうか。日本は5.7%です。
びっくりするでしょ。なぜ日本では自分には価値があると感じる高校生が少ないのでしょうか。
そうなるように育てている
実は、皆さんで「そうなるように」育てているのです。
日本中で家庭教育でもそうだし、学校教育の中でもそうだと思うのです。
これは大変なことだと思いませんか?
私はもともと教育相談を8年ぐらいやっていたのですけれど、教育相談としていろんな問題が出てくるでしょ。
友達とよく喋れないとか、学力の問題だとか、学校からの相談とか、いろいろあって、小学生・中学生・高校生に有り勝ちないろんな相談をしているときに、その問題の根っこは乳幼児期にあるっていうのを感じて、この乳幼児期の大事さをたくさんの人に伝えなくてはと思って教育相談をやめました。そして転職しました。
どこへ行ったかというと、乳幼児期の教育のプロである幼稚園の先生とか保育士さんたちを養成する学校に奉職しました。
それを50年近くやりましたが、私は自分の生涯を通じて乳幼児期の子どもの育て方がすごく大事だっていうことを、一つの柱として、テーマとしています。
それで今、伝えたいのは「乳幼児期に大事なポイントが2つある」ということです。
一つは愛着関係、もう一つは自己肯定感です。それを育てることです。
(つづく)