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[やってみた]サルベージパーティーを開催してみた

※長文です。お時間のある方はどうぞ。

ある日手に取った区報に「食品ロス削減啓発者育成講座参加者募集」なる見出しを見つけて、良く読むと「サルベージパーティー」の文字があった。

サルベージパーティー、そう言えば知ってる

なぜ知っているかと言うと、実は2016年2月にアーツ千代田3331で開催された東京都主催の「フードロス・チャレンジ・フェス」に行って展示を見ていたからだった。

農家の娘として生まれた私は、子供の頃から「食べ物を残すべからず」と言うガッチガチな両親と祖父母に育てられた事もあり、食品ロスについてはとても関心が高かった。豊作の年、値崩れが原因で出荷出来ない野菜達が畑に還っていくニュースにも心を痛めていた。

折しも、セカンドハーベストジャパンがメディアで取り上げられてフードバンクと言う言葉を良く聞くようになっていた時期でもある。
当時小学生だった2人の子どもを夫に託し、1人意気揚々と出かけたのであるが、展示内容はキレイごとばかりで具体性を欠く期待はずれのものだった。しかも、都が予算を出した事業だったため、狭い会場に無駄にメディアが多数いて、一般客が狭い思いをしているのに、どこぞのお偉いさんが踏ん反り返っている(ように見えた)のも鼻持ちならなかった。

「これのどこがフードロスチャレンジなのか…?」期待外れの内容に半ば憤慨しながら帰宅し、しばらくサルベージパーティーのサの字も思い出さなかった。

ところが、である。
自分でも驚くくらい、意外にもしっかり覚えていたサルベージパーティー(以下サルパ)が、区報に掲載され目の前に戻って来た。当時はパンフレットとパネルの展示が1枚あっただけ(と記憶している)だったので、やはりきちんと知るべきと思い、即刻講習に申し込んだのだった。

実際の講習は、食育インストラクター講習を受講していたため9割方知っている内容で新しい知識はあまり無かったものの、どうしても家庭での食品ロス削減には「出されたものを残さない」と言う面が強調されがちで、言い方も説教臭くなってしまうのを他のアプローチに変えたかったので、「パーティー」と言う楽しげな雰囲気で考えるきっかけ作りになるのであれば万々歳、と言う目的は達成出来た。講習はここまでだと思った。

「じゃあ、せっかくなので」と講師の言葉が続き、まさかのサルパをやることになった。

全くの想定外だった

もちろん、講習を受けたからにはなんらかのタイミングで企画しようとは思っていたが、まさか初対面の参加者とグループを作り、いきなりパーティーを開くことになろうとは思ってもみなかった。まさに寝耳に水。
きっと、実際にサルパを開催するまでが講習の1クールだと知っていたら受講しなかった人もいるのではないかと思ったくらいだ。全くの想定外。
実際、「サルベージパーティー」の下りを良く読まず、「食品ロス削減」部分を目当てに参加した参加者がいて、早々に「思ってたんと違う」と離脱していった。この点は少し残念に思うが、求めていたものが違うのだから仕方ない。
2時間の講座の中で食品ロスとサルパについて講義を受け、残り20分程度でテーマや規模などの概要を決めろとは、なかなかの無茶振りである。案の定、決まったことは会場、募集対象、リーダー1名、くらいだった。

初対面の他人と何かをやることの難しさよ

たまたま区内在住で食品ロスに関心がある、と言うだけの共通項しかない初対面の他人と、いきなりサルパをやることになった。

決まらないことと進まないことが嫌で幼稚園の保護者会の会長を引き受けてしまうような私が、このような場で大人しく出来るはずがなく、案の定、区の担当との連絡役となるリーダーを引き受けたのであった。正直、私が話すペースや提案などは、初対面の人にはピンと来ないものだと言う自覚はある。バックグラウンドが違い過ぎるし、他のメンバーのそれがわからな過ぎる。スピード感と言うか、時間の感覚が違うのだ。他のメンバーにはかなり自己中に思われただろうと本当に申し訳なく思っている。

紆余曲折も、当日を迎えた

準備段階から色々とミスはあったが、参加者が集まり、サルパ当日を迎えた。

[参加者から集まった食材]
・ライスペーパー
・さつまいも
・乳酸菌飲料味のグミ
・豆腐
・おから
・人参
・ツナ

集まった食材を元に、シェフがメニューを考え、食材の組み合わせとだいたいの味付けのイメージを書いたメニューメモが渡される。

[シェフが考えてくれたメニュー]
・ツナとトマトのスパゲティ
・ブリのソテー、人参ソース
・豆腐とおからのハンバーグ
・鶏モモ肉のおから衣焼き
・さつまいもの生春巻き

当日も想定外の事が色々起きた。

当初18歳以上を対象としていたが、なかなか応募者が集まらないとの事情から子連れ参加OKと方針変更をしたところ、フタを開けてみたら大人3名に対し子どもが4名、大人と子供の人数が逆転してしまったのだった。大人の参加者が調理をし、スタッフが子供の相手をする想定が、早速崩れてしまった。
当日体調不良でのキャンセルと、連絡が取れない無断キャンセルがあり、親子料理教室のような体になってしまった感は否めなかった。初開催で、子供と料理をすることに慣れていないスタッフにとってこれは大変に厳しい現実だった。

メニュー決めと調理補助を依頼したシェフも大変だったと思う。事前に連絡があってわかっていたことだったが、遅れて来た参加者もいて、食材が全て揃ったのか揃わないのか、判断がつかず、シェフを困らせてしまった。
結局、スタッフを中心に調理を進めるしかなかったが、食材の意外な使い方をシェフから教えてもらえて参加者は満足してもらえたように思えた。参加者側も、各々目的を持って参加している事もサルパの特徴でもある。ただ「なんだか楽しそう」「美味しそう」だけで参加する人は、多分少ないのではないか。

何が起こるかわからないライブ感

普段、教室でも予期せぬトラブルは色々あるが、サルパは食材も参加者もレシピも全てが当日開始時間までわからない、ある意味ものすごくギャンブル性が高いイベントである。
だからこそ、サルパは自由度が高く、アレンジがしやすい活動でもあるのだろうが、イベントを主催したり、他人と料理をした経験が無い人には少々難易度が高過ぎるのではないか。シェフや、多少料理に心得のある参加者、段取り上手な参加者に割と進行が依存される気がするが、それもきっと織り込み済みなのだろう。

そして、実際のところ、サルパに参加して食品ロスに対する意識に変化があったかどうかと言われると、参加者が少なかったこともあり、やはり今回は難しいと言わざるを得ない。未就学の子供と小学校低学年の子だったので、説明が少し難しかったかも知れない。講師も子供向けの内容は用意があったと思うが、この日はそれを想定していなかったと思う。

しかし、サルパは「作った料理を残さない」以外の食品ロスに対するアプローチである点は、評価に値する。「料理になる前の食材」を無駄にせず活用する事がサルパのアプローチであり、家庭での食品ロスは食べ残し以外にも色々な場面で起こりうるので、サルパを含め、多角的に食品ロスを削減する取り組みを進めて行きたい。

今後の展望として、参加者が本当にサルパに持寄りたいもの(開封済みで持て余している食材)は、不特定多数が参加するサルパの性質上、持寄り不可になっているため、そのギャップを埋める仕組みがあると良いと思う。(この点については、私の得意分野でもあるので、別途提案していきたい)

一見、回りくどいようにも見えるかもしれないが、一歩ずつ地道に進める他はないのかも知れない。MOTTAINAI(もったいない)を削減する1つの形として考えるキッカケになれば良し。

ゴールの設定は低くしておくに越したことはない。

以上、長文にお付き合い下さりありがとうございました。年明けを目処に、サルパ企画したいと思います!
ご興味のある方は是非コメント下さいませ。

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古谷 真知子:家庭料理のコンシェルジュ
試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!