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この「飽食の時代」に何を選んで、何を選ばないか。

「飽食の時代」と呼ばれて久しいこのご時世。

あなたの身体はあなたの食べたものから出来ている。

そう聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?私は、半分は合っていて、半分は合っていないと思っています。身体の組織としては、そうかもしれませんが、自分で合成出来る栄養素や成分もあるので、完全には食べたものだけ、ではないようです。

それでも。

やはり、食べ物は体調を維持するために大部分を占めている要因と言えますので、日々何を食べたら良いのかは気になるところですよね。

選ぶ力が、ものを言う

いま、目の前にあるその食事は、誰かが作ってくれたものかもしれませんし、自分で作ったものかもしれません。
作るにしろ、買うにしろ、やはりそれは度重なる選択の結果なので、選ぶ力が必要になります。

何を選んで、何を選ばないか、それを決められる力。決めるための基礎となる知識と技術。

食育インストラクターの講習を受けると、調理よりも、食事の躾よりも、まずこれを習います。食育の三本柱の第一の柱「選食力を養う」。そう、選食力は何を食べて生きるのかを選ぶ力なのです。

体調や予算、手間などを考えて、作る選択をするのか、買ってくるのか、買ってきて作るのか、選択肢は無限にあります。作るにしても、完全自給自足生活でない限り材料を買わずには作れません。

皆さんは、買い物をする時に何を基準に買うものを選んでいますか?
野菜や魚を買うなら、価格、産地、旬かどうか、栽培方法や漁獲方法、などを基準にするかも知れませんね。
ジビエ以外のお肉にはあまり旬らしい旬は無いので、種類(牛、豚、鶏、など)、部位、産地、価格、飼育方法、などでしょうか。

こういった生鮮食品以外の食品は人の手や工場で加工された加工食品になります。

加工食品の選び方

加工食品の選び方の1つの目安として、加工度が高いか低いか、と言うものがあります。

加工度が低い食品としては、砂糖、塩、醤油、みそなどの各種調味料や素材系の食品(大豆製品、乾物、麺類、冷凍野菜、素材の缶詰、食肉加工品など)があります。
そのままではなく、調理したり他の食品と組合せて食べるものですね。

中程度の加工度の食品としては、カレールーや中華料理の素、調理キット、ホワイトソースなど、簡単な調理で食べられるものがあります。

加工度が高いのは、冷凍ピザやカップ麺、レトルト食品のような、焼く、レンジ加熱、湯煎などの一手間ですぐに食べられる食品です。

下の例が分かりやすいと思います。
左端が加工していない素材で右に行くほど加工度が上がります。

例)トマト → トマトピューレ →トマトソース → ミートソース → ミートソースパスタ

このように、加工度が高ければ高いほど、キッチンでかける最終的な手間が少なく短時間で食事ができ、低ければなんらかの調理が必要になります。
そして、本来自分でかけるはずの手間を工場などの人手に委ねるため、輸送や保存に耐えうるような味付けや材料を使う事になります。濃いめの味付けだったり、保存料が入ったり、などですね。

こういった輸送や保存に必要な成分(いわゆる添加物と呼ばれるもの)を摂りたくない方は、なるべく加工度の低い食品を選べば良いのです。

そうは言っても、毎日毎食を全て素材から手作りするのは大変ですし、現実的ではありません。その場合の選び方としては、原材料を確認して、納得出来るものを買う、と言う方法があります。
例えば、同じめんつゆでも、キッチンに無い原材料を使っていない方を選ぶ、などすると、手作りした時に使わないものを摂らずに済みます。

ここのところは、心と時間とお金の兼合いで判断が決まるところなので、上手く選んで付き合えば良いと思います。

「買う」ことは「支持」すること

「買って応援」と言う言葉を東日本大震災以来、良く聞くようになりました。
被災地域の農畜産物や名産品を買うことで、被災地経済を応援することが、生産者さん達への支援になります。

翻って、普段の買い物はどうでしょうか?
全ての買い物でそんなに意識する人はにいないと思いますが、同じ「パンを買う」と言う行為でも、A社を選べば「A社を支持する」と言う意思表示でもあるのです。A社のパンを買うために支払ったお金が、積もり積もってA社の営業資金になるからです。

価格が「安いから」と言う理由でB社を選べば、「安い」と言う価値の商品ばかりが店頭に並ぶことになります。「安い」ことが支持されるからです。高ければ品質が良いとも限りませんが、安いものには、安いなりの理由があります。

特に、近い将来、資源の枯渇が取り沙汰されている水産資源に関しては、やはり慎重な選択を要すると思います。

選ぶ事でロスを減らす

食品を購入する際、消費期限を確認して日付が遅いものから買っている方もいるかと思います。

例えば、牛乳を1本買う時に、買った日は飲まずに数日後に飲むのであれば、期限の遅い日付の商品を選ぶ事で、家庭でのロスが減らせます。ただし、店頭では日付の早い商品がロスになっているかも知れません。
買ってすぐに飲むのであれば、期限の早い日付の商品を購入すれば、店頭でのロスは減らせますが、同様に予定が変わって飲めなかった場合には家庭でのロスになる場合もあります。

食品は食べたり飲んだりして消費されない限り、どこかしらかでロスになってしまうので、自分の選択で、店頭もしくは家庭でのロスを減らせる可能性があることを是非知って頂きたいと思います。

買うって、以外と責任重大なのです。

ですから、なるべく無駄にしないような保存方法や調理方法、下ごしらえの方法や美味しく食べられる食べ方などをこれからもお伝えして行きたいと思います。

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古谷 真知子:家庭料理のコンシェルジュ
試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!