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2025年版 年賀状制作

デジタル版画制作手順と素材について


新年、あけましておめでとうございます。
やまぶん本間組を今年もどうぞよろしくお願いいたします。
新年といえば元旦に届く年賀状が楽しみの一つですが
やまぶん本間組では個人的事情ににより、五年ほど前からメールやSNSでのご挨拶に切り替えさせていただきました。

元々、イラストにおいては、手描きの風合いと表現にこだわっているので年賀状という媒体においては得意分野でもあります。さて2025年のデザインは以下になります。

2025年版年賀状:デジタ版画 線画/アナログ(付けペン)
着彩/透明水彩、編集/Photoshop

この年賀状を新年のご挨拶として送付したところ、「デジタル版画とはどういうものですか?制作の仕方は?」という質問が多く寄せられました。
【デジタル版画】とは何か…、簡単に要約して説明すると以下のようになります。

デジタル版画とは、写真や絵画、ドローイングなどの画像をパソコンに取り込み、画像編集ソフトで編集してプリンターで出力したアート作品です。版画制作にデジタル技術を導入した新しい技法で、版の位置合わせが正確で、個別の版の調整ができるなどの特徴があります。

デジタル作品といえど、自分はなんとかアナログ、つまり手描きの風合いを残せないものかなと、DTP創世記時代から考えていました。上記の説明はある程度、デザイン制作ツールを使うことができる方であれば理解できる範囲であり、制作工程も比較的、簡単な作業でこの表現は可能だと思います。
自分の工程としては…

  1. 全体デザインのラフ

  2. イラストの線画を制作

  3. 着彩用の素材の作成、もしくはデジタルでの彩色

  4. 線画をスキャナでPCに取り込み

  5. 線画を透過素材として線画のみのデータに加工

  6. Photoshopにて編集、加工 ※各レイヤーにて調整

  7. 紙に刷ったようなテクスチャを配置、調整して完成

といった手順になります。
具体的に素材を見ながら説明していきましょう。


今回の蛇のイラストは習字用の半紙に書いています。
半紙は小中学生が授業で使う程度の半紙です。

100枚で400円程度の半紙

その半紙に付けペン(Gペンや日本字ペン)で描いていきます。

写真のペン先は日本字ペン。線が均一に描画できるタイプ。
墨汁は漫画用のもので乾くと耐水性になるので便利です。
商品のリンクを張っておきますね。

当然、にじみやすいので慣れが必要ですが、そこはインクの流れ、にじみをある程度予測して描いていく必要があります。

蛇イラストのアップ画像

この線画をスキャナーを使ってPCに取り込み、画像編集ソフト(Adobe Photoshop等)で白部分が透明・透過になるように編集します。例えるならば透明のフィルムに線画が描かれている状態になります。このフィルム状態のデータをレイヤーと言います。

次に色部分の制作です。通常は画像編集ソフトで色を付けるのですが、今回は紙に透明水彩で描き、それを同様にPCへスキャナを使って取り込みます。
色の原稿は下の写真になります。

蛇のイラストに合わせて水彩で描いたもの

ちなみに使用している透明水彩のメーカーはホルベインアーチストウォーターカラーです。

12色セットと18色セット

レイヤーの順番は下から色原稿、線画原稿の順番に配置していきます。さらに上に挨拶の文字、ロゴを配置していきます。このレイヤーは編集ソフトで重なり具合や濃度等を色々と調整することが可能です。今回は詳細を省きますが、重なった部分が濃くなったり、薄くなったり、光ったりと色々な調整が可能なので、出来上がりの種類が数多くなります。

最後に紙に刷った風合いを出したいので段ボール素材のテクスチャを制作し、一番上に配置します。

段ボール模様の素材
それをグレースケールまたはモノクロ2階調等に加工しレイヤースタイルをスクリーンに設定します。

色が適用された部分がこのように段ボール模様が反映されます。

少しかすれた縞模様が反映されています。

テクスチャの重なりを工夫することで表現できる幅が広がっていくと思います。制作過程は以上です。
かなりはしょってしまいましたが、大まかな流れはこのようになります。参考になりましたでしょうか。

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