やみおやじ土方編 国道294号線旧二宮町久下田バイパス工事
施工した場所は栃木県真岡市久下田(当時は芳賀郡二宮町久下田)
バイパス新設と同時に準用河川西川の河川改修工事も同時に行い新設バイパス東側にコンクリートブロック護岸を新設する。
メイン工事は県道44号線との取り付け部の西川橋梁工事。
早速、県道44号線を全面通行止めにし橋脚工事の掘削を開始する。
コンマ7立方メートルのバックフォーで大型ダンプに掘削土を積み込み残土処分場に運搬していた。
ところがとある日の朝、工事を始めようと現場に着こうという時、現場入口に乗用車数台が横付けされ、10人くらいの強面のお兄さんたちがピケを張り塞いでいた。時間にチャーターした大型ダンプも続々と到着し物々しい雰囲気に。
とにかく何があったのか聞いてみると、昨日落ちた泥が事務所に通じる道に落ちているから掃除をしろということだった。
取り急ぎ会社の報告し、会社からも連絡を入れてくれたようで1時間程度のロスで工事は開始できたが、掃除につけた作業員数名とダンプの往来をお兄さんたち数名に交代で見張られながらの数日間であった。
その後は橋梁工事も順調に進みPC桁もかかり床版、地覆、高欄高欄の工事も終わり仮開通した。
今となっては笑い話で済むが、現場というものは時としていろいろなことに見舞われる。
新設するバイパスの東側を流れる西川護岸をコンクリートブロック積む工事でコンクリートブロックを積み上げていた。バックフォーが法面を切ろうと侵入。近くに丁張があったが邪魔にならないとの判断だったのだろう。
ところが無情にも旋回した際、後部が丁張にかかり、水平に打たれていたヌキが旋回とともに弓のようになり、バックホーから外れた瞬間、手元で法切の補助をしていた作業員の尻を目掛けて襲い掛かったのである。
びしっ 「いでーっ!」 あっと思った瞬間、高さ3mくらいのダイビング。幸い泥だらけになっただけでかすり傷もなく大事に至らなかった。
しかし、集中して見てしまうせいなのか、こういう時ってスローモーションに見えるのはなぜなのかと思った次第。とにかく安堵した。
今度はコンクリート護岸も終わり、川に打った木杭をバックフォーにチェーンを付け、杭に巻いて引き上げ作業をしていた時の事である。
手元で杭にチェーン巻きをやっていたHくん(今も元気かな)。
「オーライ!」 順調に進めていた時
「オーライ!」・・・「いでーーーっ!!!」
バックフォーオペレーターも慌てて機械を止める。
「どうしたっー!!」
片方の手で手首を抑え反対側の手を挙げている。
自分の指にチェーンがかかっているのにオーライをやってしまったらしい。
慌てて手拭いをもって下りぐるぐる巻きにしようとした瞬間、指先がない。
短い長靴で入れる深さだが、泥の中に落ちてしまったのだ。
「動くな!」「探すから動くなっ!」駆けつけようとした作業員を制止し、
手探りで見つけだす。ヘルメットですくう。
ラッキーなことにすぐ見つかったのである。「水!みず!」
本人はそれほど痛がるわけでもなく(麻痺していたのだろうか)手拭いで止血し、指を別の手ぬぐいに包み救急搬送された。芳賀日赤で縫合手術。担当医の話では早かったので付くと思うと聞きほっとした。
後日抜糸した指はまだ痛々しく、曲げるには不便そうだったが、ちゃんと付いていた。
本当に現場って何が起きるかわからない。笑えない話である。
国道294号線 千葉県柏市を起点とし、茨城県取手、守谷、常総、下妻、筑西市から栃木県真岡市、益子、茂木町、那須烏山市を北上、福島県白河市から北西に進み猪苗代湖南西側を通り会津若松市に至る一般国道である。
工事の皆さん、くれぐれも事故の無いようお願いいたします。