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#103 オヤジのエプロン      ②フィンランド

2017年 冬
今回の任務
妻と義理の姉の友達のフィンランド人のオジさんを一人で東京案内する

突然フィンランドから顔見知りのオジさんが遊びに来たが、義理姉は仕事が休めず、家には幼い子供が居るため、妻はそんなに長く外に出られないという理由で、顔も知らないオジさんと待ち合わせすることになった。
妻は とりあえずモイって言っとけば大丈夫だからよろしく! 

そう言われても…一夜漬けで使えそうなフィンランド語のノートを作った。


金色の髪にブルーアイズ 小柄で少しポッチャリとしたオジさんが正面から向かってくる

間違いない 彼だ!

私は赤のダウンジャケットを着て 満面の笑みを浮かべながら 手をブンブン振り 妻から言われた言葉
「モイ」
と言って出迎えた。

これで人違いだったら いきなり変な日本人に絡まれたと思っただろう。

そして 身振り手振りのオーバーリアクションで自己紹介する

前情報で彼は英語があまり得意ではないらしい 私も然り。

なので ほぼノンバーバルコミュニケーション(最近知った言葉なので使いたかった)

言葉ではなく身体全体で表現した。

バスガイドさんもビックリな
右に指差し左に指差し。
正面を指差し彼はタタティエタ?と聞いて来る。
うん。多分。タタティエタ…


自作のノートと身振り手振りで何とか丸一日乗り切った。

どうにかして言葉を超えて分かり合おうとしている者同士が数時間一緒にいると 不思議と言葉ではなく通じ合う部分が出てくる。
なんとも言えない親父同盟

妻が夕食を作って置くから適当に家に連れて来てとの無事自宅に連れてきて案内終了!
のはずだったが、食事が終わると、ホテルまで帰れるかな…と弱音を吐き出した

はい。行ってきます…。

電車にのりホテルが見えて来た。ゴールは近いはずなのに、
別れ際には 何年来の友と別れるくらい寂しさが溢れてきた。

そして いつの間にか口に出していたフィンランド語 
タタティエタ(この道まっすぐ)

#103オヤジのエプロン
  フィンランド

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