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サーチャーが抱える3つのリスク(2/3)_買収プロセスが完了しない_コラム013

はじめに

このコラムは事業承継先のサーチ活動を続ける筆者が、日々感じたことを徒然に記録するものです。サーチファンドについて体系的に知りたい方はこちらをご覧下さい。

先回からサーチャーが抱える3つのリスクについて考えています。今回は2つ目の「買収プロセスが完了しない」リスクです。

■買収先を見つけられないリスク
■買収プロセスが完了しない
■買収先企業を成長させられないリスク

成約を妨げる要因は何か?

私がサーチ活動を始めて自分の経験不足を最も感じたところがここです。

当然のことながら、M&Aの交渉は相手方があることであり、売り手オーナーの売却意向、デューデリジェンスの結果、それを受けて提示する買収金額とその交渉等々、最初のコンタクトから最後の成約まで様々なハードルはあります。

書籍やネットの記事などを通して、こうした買収プロセスのおおよその概略を知ることができますが、実際のディールでどんな話し合いが行われ、相手方とどんな遣り取りがあり、どこでつまずいてしまうのかと言う実務面は、交渉の当事者になってみないとわからないことが多いなというのが正直なところです。

今回、㈱サーチファンド・ジャパンのメンバーのサポートを得ながらその立場に立ってみたわけですが、正直最初は非常に戸惑いました。

これまでの経験と、サーチファンドに関するいくつかの資料から、M&A交渉が、つまり買収プロセスが最後まで完遂ない要因としては、金額で妥結に至らない(競合に流れるケース含む)、デューデリジェンス(DD)において瑕疵が見つかるなど様々です。

DDで発見された様々な事実は、相手方が引き続き誠実に交渉に臨んで下さることを確認できれば、買収価額に反映したり、その他の契約条件を盛り込んだりなどの細部を詰めて行きます。

ここまで来ると私が1人で出来る範囲を大幅に超えて来ますので、弁護士さんや会計士さんにガッツリ入って頂きます。いつもよく引用させて貰うHBR Guide to Buying a Small Businessにも、中小企業に造詣の深い会計士に依頼すべきだとしています、引用してみます。

An experienced accountant will have a good sense of the common risks in smaller firms’ accounting practices and will focus on areas like payroll tax, sales tax, and proper accounting for noncash expenses like bad debt reserves or accruals for sales force bonuses that are earned but not yet paid. These items are best examined by your accountant, who will have established procedures to quickly determine if the company has accurately recorded these expenses.
(意訳) 経験豊富な会計士は、中小企業の会計慣行上のよくあるリスクを理解しており、給与税、売上税、不良債権の引当金や、未払の販売員ボーナスなどの非現金支出の適切な会計処理などに焦点を当てます。 会計士は、会社がこれらの費用を適切に計上しているかどうかを迅速に判断するための手順を確立しているので、こうした項目は会計士が調査するのが最適です。

それでもうまく行かないこともある

実際にDDの過程で、買い手側からすると買収決断するには非常にリスクの高い要素が見つかってしまうと言うこともあり得ると思います。

特に中小企業の場合、大手の上場企業では当然のコンプライアンスや、当たり前のルールなどを厳密には守っていないケースがあります。それは悪意があると言うよりも第3者の目にさられるという条件が揃っていないためであり、これはある意味で仕方がないとも言えます。

しかし実際に投資家はリスクマネーを投じるわけですから、それを見過ごすわけにはいきません。そこで決定的に頓挫してしまうと言う事はあり得ると思います。

そして、このくらいが私の力量で書ける限度です。

例えば、定量的にみて、どんな成約の障害がどのぐらいの割合で発生するのか、特にサーチファンドのような中小企業のオーナー経営者から企業を譲受する場合に注意すべき点は何か。

この場合の注意すべきは、フェアに考えれば、引き受ける私のようなサーチャーだけでなく、相手方にとっても同様に注意点があるはずであることは添えておきたいと思います。

今回のコラムでは「買収プロセスが完了しない」リスクについて、特にその交渉プロセスに発生しがちな事象について書いてみました。内容がやや表面的な感じが否めませんが、別のところでいずれDDについては詳細に論じようと思います。

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