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サーチャーに必要な3つの資質(2/3)_粘り強さ_コラム009
はじめに
このコラムは事業承継先のサーチ活動を続ける筆者が、日々感じたことを徒然に記録するものです。サーチファンドについて体系的に知りたい方はこちらをご覧下さい。
ハーバードが考えるサーチャーに必要な3つの資質
前回に続き、Diamond ハーバード・ビジネス・レビュー(2018年5月号)掲載の「買収型起業に成功する法」(リチャード S. ルバック、ロイス・ヨドコフ著)で語られるサーチャーに必要な3つの資質についてみてみましょう。(※1) 今回は「資質②:粘り強さ」です。
資質①: 自信と説得力
資質②: 粘り強さ
資質③: 意欲的な学習者であること(最も重要)
ヘコたれないこと(どうせ順調には進まない)
この資質は打たれ強さと気概とも言い換えられています。
「買収先企業の調査段階で有力な候補を見出し、価格や条件についてオーナーから合意を取り付け、取引を成立させるべく数カ月間働いたとしても、土壇場で決裂することがある。そんな時は立ち直るための精神力が必要となる。それに実際にオーナーになれば、会社を前進させるのもつまずきから再起を図るのも、あなた次第だ」
当然ですがM&A交渉の決裂は頻繁に起きることであり、こうした業務に関与した経験がある方なら当たり前の事実として知っていることなのだと思います。
しかし、私のように金融やファンドの経験がなく、M&Aという水モノの仕事の大変さを知ったのは、サーチ活動を始めた後のことでした。オーナー社長からは手応えのある反応をもらっていたのに、途中で決裂したり、他社に決まってしまうという経験がもたらす徒労感には当初戸惑ったものです。
コンサルであれ、企業再生であれ、やったらやった分だけの実入りがあることが大半です。正確にはやった分(稼働時間やアウトプットの量)と成果が出た分(それによるクライアントの業績向上)とは完全な比例関係ではないのですが、それでもM&Aのようにゼロに帰するということは、少なくとも私が前職のフロンティア・マネジメント㈱で勤務していた5年間では記憶がありません。(ちなみに同社はFAアドバイザリーチームがありますので、彼らはM&Aの大変さを知っていましたが)
一方で、精神的な強さ、レジリエンスといった言葉も最近では一般に浸透してきたこともあり、これはサーチファンドに限ったことではないでしょう。サーチ活動というM&Aのクロージングが極めて重要な位置づけとなる仕事では確かにその点はより重要ではあると思いますが。
サーチャーの踏ん張りどき、そして焦り
「価格や条件についてオーナーから合意を取り付け、取引を成立させるべく数カ月間働いたとしても、土壇場で決裂することがある。」
まさにサーチャーにとっても最も辛いときです。
「手応えがあったのに・・・」「成約する直前まで行っていたのに・・・」という思いが余計に買収交渉の頓挫・破談による負のインパクトを大きくするのです。
私もサーチ活動を実質的に半年近くはやっているので、当然のことながら流れてしまった話は複数あります。いずれ別の投稿で詳述しようと思っていますが、「終わった・・・」と分かった時は本当に落胆します。
そして何より一気に焦りが襲ってきます。
サーチ活動ができる期間は長くて2年。交渉が決裂した後は、自分に残された時間を目算するの人が多いのではないかと思います。おそらくほとんどサーチャーが「自分はあと何回チャレンジできるだろうか?」と心の中で残りの挑戦回数を計算するのす。実際に私がそうでした。
しかし、いつまでも落ち込んでいても仕方ありません。
まずは何が至らなかったか、ダメだったのかをクリアにします。ここは謙虚に、仮に決裂に至ったことの責を相手方に求めたくなっても、それはほとんど意味がない行為なので、ベクトルを自分に向けて、自分を省みます。
見極めに甘かった点は無かったか。売り手はの本気度をみる目が甘くなかったか。競争相手との差別化はうまくいったのか。必要な投資金額は用意できていたのか。初期段階で大事な見落とし(投資家から忌避されるような経営上の瑕疵)はなかったか。もっと早く発見できたのではなかったか。そこに自分の甘さがあったのではなかったか。何より自分のことを売り手のオーナー様はしっかり評価して下さっていたのか。
至らなかった点を改善して、次はもっと精度の高い進め方を出来るかどうか。
ダメだったところを次に直す。同じ失敗を二度としないようにする。そして頭を出来るだけ早く切り替えて次のサーチ活動に向かう。次の相手先のことを検討することに没頭していくうちに、徐々に過去のことは忘れて行く。
こうしたことの繰り返しを通して忍耐力が培われて行くのかも知れません。
※1: 以前にも紹介したこのエッセイは、2017年出版のこちらの本の要約版的な位置づけです。詳しく学びたい方はKindle等でダウンロードしてみてください。大変読みやすい文章で簡潔にサーチファンドが紹介されています。
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