複数企業との交渉を 同時に進めれば効率的?_サーチャーへの質問⑩_コラム036
はじめに~今回の趣旨~
今年7月~10月に行われたセミナーには多くの方にご参加頂き、㈱サーチファンド・ジャパンや私の普段の活動について認知頂く機会となりました。現在は中断していますが、また折をみて(ファンドの皆さんとも相談して)開催することになると思いますので、その際にはご案内いたします。
セミナーで繰り返しいただいた質問への回答を文章として残すシリーズ、当日説明しきれなかった要素も補足しております。
サーチャー候補者さんからの質問です。サーチ活動自体は早めに終わらせて承継したいという気持ちは誰でも持つものです。そこで気になるのはサーチ期間の短縮方法。数は多くはありませんでしたが、サーチ活動の効率化の方法について改めて取り上げたいと思います。
効率的なサーチ活動の進め方は可能か?
私自身も最初はこう思っていました。
交渉相手を1つの企業に絞ってしまうと、決裂したときに次の企業を見つけるまで時間ロスが発生するから、出来るだけ複数の企業と同時並行で話を進めた方が効率的である。
と。正確にはいまでも出来ることならそうしたいとすら思っています。
回答:実際2社以上と同時並行は結構難しいです、出来るのならやった方が良いですが
最初に基本的なことの確認ですが、M&A仲介会社と遣り取りは沢山やるべきです。企業を紹介して下さるところとは出来るだけ多くのコンタクト取り、自分に合った企業をタイムリーに紹介して下さる担当者とつながることはやった方が良いです。
こんなことを書いていますが、実際はブーメランというか、私も全然できていません。㈱サーチファンド・ジャパンのネットワークに頼り切りで、独自開発・ソーシングを怠ってきました。
と自分の反省して棚上げして申し上げますが、やはり出来るだけ多く当たった方が良いと思います。
一方で、実際に企業を紹介して貰ってその精査が進むほど、1社にのめりこむことになります。M&A仲介業者から紹介されるときは、1回の打合せ・メールで何社も打診頂くことは出来ますが、そのうちの1社が投資に値するか否かを調べたり議論したりするのには、それなりの時間を割くことになります。3社とか4社並行して精査することは可能だと思いますが、1社への突っ込み具合が浅く甘くなります。
腹をくくって「この1社に決めよう」と決断するのにはそれなりに「累積思考量」が必要です。相手方が受諾し、その後の条件をクリアすれば自分が会社のCEOになる訳ですから。その決断のための検討作業をコマ切れで行うとどうしても十分な累積量となるまでに時間がかかってしまいます。だからそのために1社にぐっと傾注する必要があるように思います。
一方で、その傾注作業をしながら心のどこかで「この1社がダメになったらまたゼロからやり直しだな・・・」と不安をかかえて過ごします。
目の前の1社がダメになっても、もう1社話を進めておけばすぐリスタートできる、という考え
こういうムシの良いアイディアがずっと頭の中にチラチラしているのが正直なところです。あるいは以前ご相談したM&A仲介会社さんから良さそうな会社がリストに挙がってきたのにそちらを泣く泣く諦めるときもあります。
今回はあまり結論めいたことが書けませんでしたが、効率化という非常に大事なポイントについて現状を正直にお伝えしました。
でも、非効率的であることを推奨するものでは一切ありませんので、これからサーチファンドや個人がM&Aを目指す仕組みが、、もっともっと承継者側に負荷が少なくなる道を探って試行錯誤を続けたいと思います。
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