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僕の好きなロックバンドはUNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE 「ROCK BAND is FUN」

これだけを楽しみにここ一年やってきた。

就活。卒論。人間関係の問題。今までとは毛色が違う困難が多かった数か月だがなんとか今も楽しく生きている。それはユニゾンがいたからという部分がかなり大きい。

特に就活時代はたらればわたがしにひどく救われた。

残念だけど どの道も何とかなるように細工した

そんな僕がユニゾンにハマったのは春が来てぼくらからだ。そしてライブに行きはじめたのもここ数年。20年間バンドを続けていた彼らの歴史のなかのたった数年足らずしか僕は目で追えていない。

だけど僕はこの数年で歩み寄った熱量では負ける気はしないし、ここ5年でちょっとだけ世界と仲良くなったつもりだ。それもこれもすべてユニゾンとの出会いであり、田淵智也という男との出会いに通じているのである。その果てで彼が望んだ20周年武道館という舞台。自分をこれだけ変えた恩人が望んだ最大の舞台。そこで何を思ったのかここに書き記しておきたい。

普段ライブに対してこんなに色々な感情を持つタイプでもないし、最後に楽しかったと思えればどんなライブでもいいライブと思ってしまう僕だけどさすがにこの武道館公演に対してはいろんな感情が沸いてしまった。これを形に残したい。いつかの少年に伝えたいのだ。未来の自分に伝えたいのだ。

感情がぐちゃぐちゃだし、めちゃめちゃ長いから未来の自分は頑張ってほしい。どこかの誰かも頑張ってほしい。

SE.絵の具
前回の武道館と同じく、フル尺の絵の具。田淵のベースが変わったことによって白い月、オレンジの花が意味を持ったように感じる。そして絵の具が流れ終わった後のイントロのWINDOWを開ける。(気のせいかも)一曲目がWINDOW?なんて思った空気をたった一言で断ち切る。

敬具 結んでくれ僕たちが 正しくなくても

1.Catch up, latency
誰もが予想していない中での一番のハマり曲だったのではないだろうか。正直この曲が一曲目の時点で勝ったという感情でいっぱいになった。そういえば僕が最初にみたオンラインライブのfun time COUNTDOWN 2021-2022の一曲目もこの曲だった。

風なんかは吹いてないのに何かが頬を通過したのは
風なんかは吹いてないのに君の心に追いついたせいかな

三浦しおん先生に手紙を送ってまで守り通したこの一文は何度聞いても涙が出そうになる。最後の田淵MCを聞いてから観るとこれはもう告白ですね。

2.サンポサキマイライフ
いわゆるまだ世界を変えられると思っていたころの曲だろう。一曲前にあれだけ正しくないだの結んでくれだの言ってた奴がサンポサキをエスコートしたうえで全知全能の神を知ったもんかしたうえでこの世の不条理をぎゃふんと言わせようとしている。

いやじゃないならば?ついてきてよ

この曲がリリースされた時からどんな形であれ追っているファンはどれくらいの数なのだろうか?ふとそんなことを思ってしまう。

3.Dizzy Trickster
まさか武道館で聞けるとは思っていなかった。まちがいなく5本の指に入るくらい僕の好きな曲だ。

ああ皆が大好きな物語のなかじゃ呼吸がしずらいんだね。

僕にもずっとこの部分にコンプレックスがある。皆が大好きな音楽やアニメや映画が自分に刺さることがあまり多くないからだ。上辺を吸い上げてわかったふりをして相槌を打つ。だけど自分の好きなものを誰かにオススメしても一言「わからない」が帰ってくるだけ。そんな気持ちが音楽になってることに気づいたときの感動がわかるだろうか?わからないならざまみろ。

席はちゃんと空けておくから間に合わないなんてないんだよ

僕がライブに行けるようになった一つの理由でもある。にわかとか古参とかそんなんじゃない彼らは僕に来てほしいんだ。この歌詞までたどり着いた奴に来てほしいんだ。そう思ったからあの日僕は武道館にたどり着いた。言いたいことはちゃんと言ったほうがいい。よく覚えておこう。だからあえてここに残しておこう。

あなたの歌はずっと僕の世界で息をしているよ。たぶんずっと。

4.fake town baby
血海戦線はどう考えてもシュガソンよりfake town babyだろと思っていた逆張りアニメオタク時代から大好きな曲。Dizzy Tricksterで死ぬほど甘やかされてからの地獄。この温度差こそユニゾンライブの真骨頂だと思う。

苦言雑言言ってるだけじゃ 見向きさえされないから
生命session 全部巻き込んで 楽しむのがこの街のルール

文句垂れてたって変わらないものは変わらないし、どうしようもないものはどうしようもない。しょうもないと思いながらその気持ちをやり過ごすしかない時は人生において何度もある。だけどそれだけじゃつまらないからその中で楽しむ方法を見つけよう。割と人生の大きな教訓になって僕の血となっている考えは割とこの曲から来ている気がする。なにかとPhantom Jokeに役割を奪われがちだが、ちゃんと武道館に入ってくるあたり彼の中でも印象深い曲なのではないだろうか。

そういえばアルバム順だと本来はDizzy Tricksterの次はオーケストラを観に行こうが挟まってfake town babyになっている。円盤順を頼っていないと仮定してもこの先出てくる8枚目組の説明ができない。アルバムだと2曲目がDizzy Tricksterで4曲目がfake town baby。うん?4曲目?これセトリでも4曲目?

風なんかは吹いてないのに君の心に追いついたせいかな

オーケストラを観に行こうって告白してたっけ?純粋さを隠してるってこと?

拝啓わかってるよ純粋さは隠すだけ損だろう?

もう告白やんけ(2回目)
あと多分もっと深い意味がありそうだけど今はわかんないし前の曲で責任は問われないって書かれてるんで今回はいびつな解釈で提出します。

MC
「今日は長いよォ~」
周年ライブおきまりの斎藤さんのMCだけどこの時に椅子の下に置いていたはずのお茶のペットボトルが消失し、本当に終わったと思った。明るい時に探したら奥のほうにあった。(本当に焦った)今だけは本当に聞きたくない言葉だった。(自分が悪い)(始まる前に確認しておけ)

5.恋する惑星
Ninth Peelのツアーを通して理解が増していった踊り曲。田淵が楽しそうに動いてることも含めて音源の3割増しくらいライブで聞くと楽しい曲の感じがする。ただ改めて聞くともうただの告白ですやん。(3回目)

高鳴りを利用して決死のアピール 僕が見えてますか
けど引力はまだ均衡保つ もうちょっとだけ正念場だ

田淵可愛いかよ。今まであまりピンとこなかったところも恋する惑星が悲しい理由も今回のMCでようやくピンときた。

僕の周回軌道に意味なんか無くても
一緒に存在できるのなら 解析でもなんでもしてくれ

サンポサキマイライフやDizzy Tricksterの無理じゃないならついてきてよ、興味があるならライブに来てよというスタンスとは違う君にまだここにいてほしいんだって歌詞。君に離れてほしくないって歌詞。もう僕のこと好きじゃないですか。告白じゃないですか。(4回目)ここ5年で田淵智也のスタンスが大きく変わって、人生が楽しそうな曲が増えてきたような気がする。言いたいことはちゃんと言葉で伝える。その考えを言うようになったのもちょうど最近ではないだろうか。それが彼にとっての幸せにつながっているのかもしれない。サンポサキを走る人生の先輩に教わることは今でも多い。

6.Hatch I need
調子に乗りましたすいません。行儀よく侮りすぎました。でもやっぱりユニゾンは性格の悪い曲がいいんよなとも思わせられる曲。純粋さとかカッコよさとかは後から好きになったもので多分僕がハマったユニゾンは世界を斜め45度でとらえている彼らだったのだと思わされました。ベースイントロ最高。

判断待って待って まだあらすじは終わってない
切り取り方にも難があるだろう
散々ぱら端折って 行儀よく侮ってんじゃねえよ
私を 私を 私を 私を

あんだけ一緒にいられるなら解析していいだの、責任は問わないだの言ってるくせに嫌な切り取られ方や解釈だけはされたくないところが可愛い。切り取ったものだけで判断される世界でも僕は最初から最後まで見通すことの意義を唱えていきたい。無駄なのかもしれないし、コスパは悪いのかもしれないけど僕は彼らのことをどこまでも理解したい。それだけを見て理解した気になってるやつが嫌いなのもあるけど。

7.マーメイドスキャンダラス
伝説の8枚目つなぎまた出会えるとは思っていなかったよ。I need Hachからのマーメイドのは何度聞いてもしびれる。違う現場の話にはなってしまうが、今年のはじめ田淵智也プロデュースユニットDIALOGUE+のパシフィコ横浜でやったライブのSincere Graceからの人生イージー?2023を思い出した。いいアルバムのつなぎを聞いたあとに違うつなぎを聞くと違和感を感じることがある。その違和感が良い仕事をすることもあるんだけどなんかこの二つは一緒にいてほしいって感じがする。つまり恋する惑星ってこと?

運命なら過去に置いて来たから今になって大事そうに語らないで
これ以上は耳鳴りがしそうなんだよ

意味は違うのかもしれないけど、昔に発言だけを取り出して昔はこいつこんなこと言ってましたというノリが本当に得意ではない。自分の持ってる常識だって正義だって簡単に変わってしまうものなんだから。あの時の自分と今の自分を同じように扱うのをやめてくれよ。という思いを言語化してくれた感覚を持ってから本当に好きな楽曲だ。Patrick Vegee最高。

8.Invisible Sensation
本当に僕の人生を大きく変えてくれた曲。君もここで会えると思っていなかったよ。なにかと取り上げられるのは10% roll, 10% romanceだし、Ninth Peel" next.の一番のキメ。フレーズボトルバイバイからのスペースシャトルララバイからのInvisible Sensationと完璧な仕事を終えている。彼をもう一度このタイミングでみれるとは思ってもいなかった。いや会えて嬉しかった。

どうしても消えない残酷時計は
真実を指してるから 厳しくも見えるだろう


ふわふわとした希望と絶望のなかにいた高校生時代の僕を救ってくれた曲。ただ趣味で作詞家や作曲家を調べてその人が書いている曲やインタビューを読み漁っていたあの無駄だと思っていたものが全部必要なものだったと感じた瞬間だった。

だけどいつか誇れるくらいには人生はよくできている
だから、生きてほしい!

別にこれを言っているのが知らないアーティストの曲だったら多分僕は刺さらない。あれだけひねくれていてまっすぐに生きられない田淵という男が一番わかりやすい場所にこの言葉を残しているから僕は救われたのだ。愛が世界救うだなんて僕は信じてないとか書いてるやつが書いていたからなのだ。生きてほしいですよ。生きろでも死ぬなでもなくて生きてほしいですよ。死んだ方がマシってことが人生にはあふれている。でも生きていればいいことがある。どうせ死ねないんだから僕はそう思って生きようと思えた。生きていて良かった。こんなライブが観られて良かった。あの時の判断は間違っていないはずだ。だってまたここで君と会えたから。

9.オリオンをなぞる
売れた曲だ。これを聞いてるときはユニゾンにここまでハマるとは夢にも思っていなかった。10歳だった少年よ。21歳になってもこの曲がまだ好きだよ。なんなら君より僕の方が好きだよ。武道館でだって聞こえ方は変わらない良い曲だ。ドラムの手数がとんでもないくらい増えている気がするけど。

オーディエンスは至って居なくてもいい

ついてこなくていいよ。って言われるものの最たる奴なのではないだろうか。若いって強いね。少なくともユニゾンというバンドを世界に知らしめた曲にも大切な言葉がたくさん入っている。本当に他の人は歌詞をみて何も思わないんだろうか?といつも思う。

ココデオワルハズガナイノニ

10.もう君にあえない
武道館にもってくるくらいきっと大事だった別れの曲。あて先を語るなんて野暮すぎるからしないけど田淵という男がこんなにまっすぐに歌詞を書くのは後にも先にもこれくらいしかない気がする。多分一番わかりやすくて絶対に理解できないものって感じがする。だからこそ美しい。

つなぎとめてくれないかこの気持ちが残り続けるんだって信じたい
ああ 虚しさは続くもう君に会えない

忘れるって救いでもあるけどきっと呪いでもあるんだと思う。でもきっともう彼は前を向いているじゃなきゃこのつなぎにはしない。良いライブの条件の中にはちょうどいいところにバラードが置かれていることが含まれると僕は思う。だからここで正直体力を戻していた。

11.スカースデイル

君の心迷わないようにほんの少しの傷をつけたのなら

S.B styleと同じく斎藤さんのコーラススタートではじまったスカースデイルは他のどの曲よりも頼りがいがあってあったかい。もう君に会えないから明るい場所へともう歩き出せているようにも思える。

心の奥のもっと奥の奥のもっと奥に
隠した宝物
初めて触れたその日から
隠してきたもの

いつもこの曲を弾いているときの田淵の表情がなんとなく寂しさの感じるなんとも言えない表情をみてしまう。本当にこれだけの名曲を書ける才能を持ち合わせておきながらそれでもユニゾンの作詞作曲を田淵に任せた斎藤さんの覚悟が凄い。優しくて明るいのにどこか弱そうででもちゃんと前は向いている。20年彼の夢を支え続けた誰もが称賛するイケメンギターボーカルの凄いところはそれでも田淵を選び続けているところだと思う。本当にこの人を持ってしても世界を変えられないならきっと誰にも世界は変えられないのではないかと思ってしまう。

見つかっちゃって不安になる
僕の大切な気持ちは
うつむく君は笑ってうなずいてくれたから
僕らはどこへ行こうか
はじまりの朝がはすぐそこまで

なんか田淵が10年で気づいたものに斎藤さんは数年で気づいてたんじゃないと思わせられる歌詞。アナザーワールドエンドよりもずっと先にある音楽の感じもする。そうじゃないとしてもきっと斎藤さんがいる限りユニゾンは僕らを救い続けるのだろう。

12.オトノバ中間試験
なんとなく疲れた時やしんどい時に聞きたくなる曲。だからちょうどこのくらいのライブ中盤のちょい疲れゾーンで食らうとテンションが上がる。どんなに疲れていても踊れる気がする。

現世にサラバだ? お気持ちお察ししますが
死んじゃったらもったいない 消えちゃったらもったいなのなら
穴ほってミュージシャン! 鬱憤抱えたまんまでエスケープ

めちゃめちゃ明るいメロディーにめちゃめちゃ暗い歌詞が載っていて欲しいオタクの僕にとってこういう歌詞は本当に大好き。人生クソゲーとか建設的じゃない議論してるくらいだったらユニゾンの歌詞追ってる方が百パーセント楽しい。人生って辛いんだけど辛いと思ったらしんどいまんまだから無理にでも楽しいことをしたほうが良い。人生はクソゲーかもしれないけど、楽しめる要素はたくさん落ちている。そんなテーマの曲が時点に控えているのはあまりにも神セトリすぎるとは思わんかね。

ほら高鳴りをまた求めてるのは悲劇?喜劇?
まだ遊び足りないなら 追試でございましょう?

こんなに追試が嬉しいことってありますか?ないです。

13.世界はファンシー
オトノバからの完璧なつなぎではないだろうか?テーマ性も嚙み合っているし、筆記問題も見舞っているし。それでいてロックというものにも一つの回答を示している。次の完全無欠のロック曲にもつながっている。Patrick Vegeeを食い尽くす勢いで持ってくるやん。

どうせ一聴じゃ読み解けないから頬を出せ

My Fantastic Guitar

オトノバも世界はファンシーも本当に意味不明な歌詞が多いんだけどそれを読み取っていた先に答えがあったりなかったりする。(剥いたら答えがあるのでは)誰になにを言おうと曲を掘っていくのは楽しいし、好きなものを好きなままでいるのは楽しい。でも簡単に食べつくせてしまえたらすぐに飽きてしまう。ユニゾンは非常に食べずらいからずっと好きでいられるんだろうな。つまりこういうこと。

こんな世界が楽しすぎちゃって愛しすぎちゃって…ハッピー!

14.フルカラープログラム
俺達にはフルカラープログラムがあったーー!前回の武道館の閉めに使われた相棒をこんなにはやく投入してくるとは思わなかったがそんなことがどうでもよくなるくらい良いイントロだ。こんな日に雷雨を連れてくるのは最悪だけど雨がなければ虹は出ない。そんなことを感じながら僕はあの日九段下にたどり着いた。

言えなかったバイバイを優しさで
そっと包んでみましょう

もう君にあえないまで拾ってきた。このコーナーはここにたどり着くために配置されている曲な気がする。ちょうど半分にあたるこの場所。そこにいたのは売れた曲でもバズった曲でもない。一番レベルで大切な曲がたくさんの伏線の上で僕らを待っていた。曲の歌詞を意味をメロディーを追っていた人だけが見ることができる虹。あの日から彼らが描き続けている七色の音楽。

約10年前から閉ざしていた心が
今、絶妙なタイミング、そしてもう一度
ちょっとだけ世界と仲良くなったあなたは
今、誰よりも高く高く飛んだ

この曲を今の僕と同じくらいの田淵智也が作ったと思うと今の僕に大切なワードが見えてくる。ようやくちょっとだけ世界と仲良くなれた気がするよ。今年の曲で地球はお友達と書いてる奴と同じ感情になれるのかはわからないけど、今は前よりもずっと息がしやすい。前を向けない日もあるけど前にも後ろにもずっと僕にはあなたの曲がある。あなたがこう言っているならきっとこうなんだろうと人生の意味がちょっとだけ分かるようになった。

ふざけろ!「いつか終わる、悲しみは」
どうか忘れないでよ

永遠なんて嘘だ。いつかは絶対に終わる。でもそれまではずっと走り続けててほしい。僕もできるかぎり追っていきますよ。

MC2
いつかの少年へとつながるMC。貴雄の黒夢や田淵のブルーハーツは知っていたけれど斎藤さんのパチスロエピソードは全く知らなかった。田淵の席に着くだけでいい発言はこういうところからも来ていたんですね。まあそれでも卒業してんだから何の問題もないイケメンですね。

15.いつかの少年
フルカラーになった世界にも夜はやってきて等しく光は失われいつか描いた虹も見えなくなる。その時に見たものがきっと次につながっている。はじまりにつながっている。

無駄になっている 無駄になっている
間違ってないはず

間違ってないはずや正しくなくても。彼はいつもどこか自信がない。でもそれは下を向いているわけじゃなくて前を歩いているから。でなければこんな曲を20年経ってもライブでできない。無駄になんかさせてやらない。僕はあんたのせいで前を向けてんだよ。間違いなんかにさせてやらない。皆あんたたちを祝いにこの場所に来たんだよ。

16.101回目のプロローグ
絶対一曲目じゃないと思っていた。中盤のいい場所で使われると思っていた。予想通りだったけど、泣いた。くると分かっていても泣いた。だって歌詞が変わるのはずるいやん。いつかの少年が伏線になってるのはずるいやん。普通に良い曲すぎてずるいやん。

数え切れぬ星たちを通過してきたよ 歯がゆいことだっていっぱいあったよ
間違ってないはずなのに迷子みたいな情けないな
本当のことを話すのは今日ぐらいしかありえないだろう。
まだ見てないものがあったなそうやって日々を縫う
よろしくねはじまりだよ

今まで手を差し出されなかったし、ついてこいとも言われなかった。だけど田淵が唯一来てほしいと口に出したこの場所。祝ってほしいと口に出したこの時間。その先で待っていた君だけでいいや。もう告白ですやん。この20周年という節目にユニゾンのなにかは確実に終わったのだと思う。プログラムcontinuedではなくアナザーワールドエンドなのもそう言う事なんだと思う。ちっぽけな夢はもう見てないのかもしれない。そしてこの曲でPatrick Vegeeも終わる。でも彼らの物語は僕らのためだけにまだ続いていくのかもしれない。

あとまったく関係ない話だしここで言うのは非常に憚れるんですけど、この曲の歌詞のぴったりの小説があるんです。凪良ゆう先生の「汝、星のごとく」っていうんですけど。2023年の本屋大賞受賞作なんで本当にこの曲を聞きながら読んでほしい。だってキャッチコピーが「私は愛する男のために人生を誤りたい」ですよ。ほぼ敬具結んでくれ僕たちが正しくなくてもじゃないですかしかも……。そろそろやめます。

MC3
今日のMCは長いよー
ドラムをやり続けることに意味はあるのか?ふとそんなことを考えると貴雄は言った。この歳までいろんなことに挫折してきた自信はあるけどう自分が一番嫉妬する瞬間は一つの物事をどこまでもやってられる奴だと思う。暇さえあればそれができて。それができてればなんでも良くて、何時間でも何日でも何年でも同じことをいくらでもしてられる。それは間違いなく才能だ。少なくとも僕にはできない。そしてその分野において僕たちはそんな天才に勝つことができない。一つの物事を突き詰められない僕の諦めた世界だ。でもそんな天才でもその意義に迷うことがあると聞いてわずかに救われた気がした。きっと僕が望んだ天才だって誰かに嫉妬してるのだから。

そしてもう一人の天才が口にする。「つまり俺たちは才能があった」誰かの諦めた世界を超えた先に彼らがいることをわかってるからこそ出てくる言葉だ。誰も追いつけないスピードで走り続ける彼らとその姿に魅せられてしまった何者でもない僕ら。すべてを飲み込んで新たなストーリーは始まる。これはエンドロールではない。プロローグなのだから。

かくしてまたストーリーははじまる

17.kaleido proud fiesta
絶対来ると思っていた。101回目のプロローグ→MC→kaleido proud fiestaまで読めていた。Patrick Vegee後の初シングルの一番の見せ場。オリオンもリニアブルーもharmonized finaleもI wanna believe、夜を行くも全部置いて101回目のプロローグの続編として機能するkaleido proud fiesta。タイアップももちろん大切にされている。だけどきっとここに置かれるためにこの曲は生まれた。なんかそんな気がする。

これが運命だったんだ期待してたかい?
何も言わなくても伝わりそう
だからとりあえず黙っておこう

全部ここにつながっている。2年前の時点から始まっていた彼の快進撃はこうして頭角を現す。言わなきゃわからないですけど。

広がり続ける星空に僕は今を誇れるか?

間違ってないはず。正しくない。それでもいいけど。本当に良いんだろうか?でも大丈夫。後ろにはちゃんと彼を作った音楽がある。それを支えてくれた先輩がいる。あなたが諦めた世界を腐してくれる先輩がいる。

Never believe rock festival

それはよく田淵のTシャツに宿る言葉。でも彼は自分でそれを書き換えた。

You may doubt rock festival

18.スロウカーヴは打てない (that made me crazy)
スロウカーヴは打てない。毎回このタイトルの意味を考えてしまう。本人は意味なんてないっていうんだろうけど。このタイトルには意味がある気がする。スロウカーヴにはなれないとかスロウカーヴには敵わないとか候補は色々あるけど本命はスローカーヴは売れないだ。直球です。って言った球がすごい角度でミットにくるようなものを面白がれる人はきっとそれほど多くない。そして結局彼が憧れたバンドこの曲で敬意を表したバンドthrowcurveも世界に気づかれないまま一度いなくなった。

凸凹溝を埋めています つまりレイテンシーを埋めています

結局皆。いや僕も含めて音楽は暇つぶしに過ぎない。悲しい気持ちを理解してくれる歌詞があったとか、あの感情を歌にして叫んでくれたとか、そんな理由で本気でそのバンドのことを好きになったって数年経てば離れていく。あくまでこの瞬間その高揚感が上手く噛み合って僕はファンになった。来年いや今年ですら些細なことで僕はユニゾンから離れてしまえるかもしれない。レイテンシーを埋めているだけなのだから。だからこそこの後の敬具結んでくれ僕たちが正しくなくてもがアルバムの次曲に控えている曲であることに涙が出る。でももうその曲は一曲目に使い果たしている。次は何が来る?そう考えながら待っていたら最後の言葉がすり替わった。

凸凹溝を埋めています つまりジョークってことにしときます

19.Phantom Joke
まさかこの曲にこれだけの宝物が眠っているとは思わなかった。もう一度戦うための曲だったのですね。僕にユニゾンを教えてくれた人と一緒にCDを買いにいった思い出や普段ユニゾンなんて聞かないFGOオタクとこの曲を語り合えた日のこと。僕の高校時代の青春に深く刻まれた曲なんだけど、何度も読み込んだ歌詞のはずなんだけどまた感動させてくれるんだからユニゾンファンはやめられない。FGOは1クールから先見てないけどユニゾンファンはやめられない。

全部嫌になった それさえも幸せな結末だ
だめだ そんな悲しいこと言うな まだ世界は生きてる
君が泣いてたって生きてる だからこの空の先を見たい
邪魔すぎる運命のターゲット睨みながら
言えそうで良かった「まだ愛していたい」

バンドの解散。活動休止。メンバーの脱退。全部が大体悲しい理由だ。でも彼らの最後はハッピーエンドにしてくれる。なんて理想を抱いてしまう歌詞だ。でも僕はそれを信じていたい。田淵もハッピーエンド信者だって信じていたい。共感も栄光も賞賛も欲しがるのは野暮にした彼らをまだ僕は信じていたい。

I'll never catch bad fake.

諦めなかった彼らについていく奴らだけがきっとこの言葉に食らえるんだと思う。

ドラムソロ
絶対MP100も残ってないだろって状態からはじまるドラムソロ。彼がこの20年。いやもっと前からずっと人生を捧げ続けた意味のないかもしれないものの結晶が形になる。楽しませるドラム。魅せるドラム。上手いとか凄いよりも観た人の印象になんとかして残そうとするそんなドラムソロ。10を持ってる人が全力で12を出そうとする姿こそきっと彼が目指したもので僕たちを感動させるものだった。ドラムソロを大切にし続けたバンドだからできる貴雄が目指した世界のひとつの到達地点な気がする。

田淵智也がパソコンで作るこの世に存在しないドラムをたたき続けることに20年を捧げた男の執念がどれほどのものなのか考えることがある。普通のドラマーには必要ない技術を取り入れ続けるその姿もユニゾンをやるために予備校をやめた覚悟も本当に狂気に近いものがあると思う。それでも20年田淵のドラムをこの世に体現し続けていく姿。そしてどこまでも上手くなり続ける姿はきっとこの世で鈴木貴雄にしかできないのだろう。

20.天国と地獄
ライブ爆上がり曲でありながら意外とライブバージョンの再生回数が多い曲。緑と赤のトマト柄はもうトレードマークになったように思える。そしてようやく最近になって戻ってきた田淵の足上げにもまた涙が出る。貴雄のドラムの変態度が上がってることにも涙が出るし、ようやくこの端末の予測変換が貴雄を覚えてくれたことにも涙が出ている。斎藤さんのせいで10年前の映像が去年の映像に見えるバグはすぐに修正してほしい。

天国と地獄を数えろ 退屈に殺される前に
揺るがない条件と確かな理由を挙げて ご回答めしませ

この歌詞を書いてまた10年さらに多くの天国と地獄を経験したであろう答えがきっと10年前と違うだろうなと思いながらにやける。なんて考えているけどこの曲が来た瞬間に思考がすっこんで大暴れモードに変更されたためここから先他より記憶が薄めになることを許してほしい。どうやってあの映画を見ながらこのメロディーが出てくるのかは一生わかる気がしない。

21.君の瞳に恋してない
タイトルが本当に最高だし本当にユニゾンというのがこういうバンドなんだよねって紹介する時にいい指標になるし、僕もそう教えてもらった曲だから非常に感謝してる。田淵が世界変えられちゃうかなと思いながら持ち込んだ曲の中では再生数が回った曲なのではないだろうか。あとなんか今MV見返したら斎藤さんの目が優しくなってきてる気がしてきた。

君の瞳に恋なんてしてはないけどわかる
大事なもの失った時 壊れちゃってしまってしまった気持ちは
虹色に光る幸せ そんなものがなくても
小さじ一杯のカラクリが生み出せるものもあるよ

もう告白やんけ。(何回目か忘れた)もう僕のこと大好きですやん。本当に解散しないでくれてありがとうって感情が込み上げてくる。20周年武道館を迎えてくれてありがとうってなる。君たちのために僕たちは続けたんだから君たちが祝ってくれよってことでしょ。本当にこの場所でお祝いできてよかった。ちゃんと頑張って生きてきてよかった。


22.カオスが極まる
普通に近所でサッカーしてる少年が口ずさんでいてタイアップの重要性を感じている曲。売れてるアニメの主題歌の中ではあまり撮り立たされいないイメージだったがそれでもやはりブルーロックという肩書きは強い。書店バイト時代めちゃめちゃ棚に並べてレジで売った経験者はそう語る。そもそもYouTubeの再生回数もアニメ版が1,000万回を超えている。次のタイアップも非常に楽しみだ。

邪魔だ、すっこんでろ 着地はもうどうでもいい
つまり恍惚はもうとめどがない
だから前例になく超気持ち良い 君はどうだ?

タイアップ曲はその作品を表す一行があればそれでいい。そう田淵が口にするたびに3月のライオンで春が来て僕らにハマった僕が嘲笑っていた。あの曲は3月のライオンを知り尽くさないと書けない歌詞だと知ってるからだ。でもきっとそこまでしなくても良いのだろう。きっとこの先何があっても春が来てぼくらよりカオスが極まるやシュガーソングとビターステップが再生回数を下回ることはないだろう。売れると熱量はきっと比例しない。だけど僕はそんな曲に人生を変えられてよかったと思う。春が来てぼくらがこの世の曲の中で一番好きになれてよかったと思う。熱量かけた曲が売れなかったとしても僕の人生を救ってくれたんだって伝えたいから。

23.シュガーソングとビターステップ
音楽何聴くの?ユニゾンとかかな。何歌ってる人?シュガーソングとビターステップとかかな。その曲はわかるよ。このやりとりを人生で何度交わしたであろうか。歌ってるバンド名ではなく曲名と曲だけが独り歩きして認知される世界の話。だけど僕が中学生の頃シュガソンが流行ってた頃僕がユニゾンというバンド名まで理解していた記憶はない。多くの人を巻き込んでいたって認知されたってほとんど皆歌詞を追わないしバンドも追わない残酷だけど現実の話。

超天変地異みたいな狂騒にも慣れて
こんな日常を平和と見間違う

正味ほぼ毎回のライブでやっているし、シュガソンがめちゃめちゃ好きって程ではないから毎回聞きたいって思いながら聞くことは多くないのだけどなんか今日だけはちゃんと聞きたい気分だった。きっとこの曲を聞いた人のほとんどがこの歌詞意味わかんないと思ったとしても僕だけはわかった気でいたかったから。

MC4
今ので終わりでーす。やったぞ有名な曲!

この展開映像で見たことがある。一度言葉を尽くした田淵がもう一度そして自分からマイクを握る。

今日はよく来た、遠くから観てるやつもよく来てくれた

田淵という人物が来てほしいって言ってくるのはきっと後にも先にもこの一回が最後だと思ったから僕はこの時間のチケットに単騎突撃して席を手入れた。それでも運が良いことには変わりないし、アリーナ8列さらに田淵智也の真ん前の場所をもらえたのはただの偶然だ。でも僕は偶然だなんて思いたくない。僕はユニゾンと出会えたことも田淵智也と出会えたこともなくてはならない運命だったと思ってる。普段神様なんて信じてないのだけど時々僕はこの感動を与えられるために生きていたのかもしれないって感じるときがある。生きてればいいことがあるって物凄くありきたりで昔は嫌いな言葉だったんだけど、今はこのおかげで前を向けている。だからもうこの瞬間から涙が止まらなかった。この場所で彼らをお祝いできるんだから生きてて良かった。

僕たちには才能があった。けど才能で、信念で、渾身の1曲で、世界は別に変わらなかった。20年間、信じる音楽をやり続けられたのは才能があったからだけど、それでもやっぱり世界が変わらなかったのはつまらなかった。楽しいことばっかじゃないからさ。ロックバンド続けるのってやっぱり大変なのよ。だからときにそれはロックバンドをあきらめてもいい理由になった。ときには前を向けなくて、誰にも気づかれないように後ろを向いた

僕はこの5年間どんなことよりも田淵智也のコンテンツを深掘ることに時間を賭けてきた。だけど気づかなかった。最初から売れることには興味がないのだと勘違いしていた。武道館を目指さないバンドだってあっていい。そう口にする彼が一番武道館に執着する理由を考えていなかった。だって僕が追ってきた5年間はもう彼が後ろを向いている5年間だったから。どんなに良い作品をとんでもない努力と才能と運で多くの人に届けたとしてもきっとその作品が変えられる世界なんてたかが知れているのだろう。セカオワのHabitが流行ろうと自分に自分を分類する能力はないの意味が伝わる事はないし、推しの子が原作を舞台にする難しさとその裏で苦悩する制作者たちの苦悩と努力を描こうと公開されてもいない実写化が批判される。ルックバックの映画はほとんどの人が首をかしげながら帰っていくし、シュガーソングとビターステップという曲は知っていてもユニゾンというバンドは知らない人が大多数。作品が伝えたいメッセージがあることなんて気づかなまま娯楽として消費される。言いたいことをオブラートに包んだらオブラートしか見ない世界。悲しいけどきっとそんな世界。そんな世界に夢を観て挑んだ少年はここで夢を諦めた。

「そうしたら君がいた。『ついて来てくれ』とは思ってなかったけど、ずっと見ていてくれることがこんなにうれしいことだと思っていなかった。君が好きなロックバンドは君がずっと好きでいてくれたからここまで来れた。ロックバンドをあきらめなくてよかった、ありがとう」

目に涙を溜めながらそう口にする彼を見て何かが頬を通過した。こんなに嬉しいことはあるだろうか?僕も自分が何をしてるんだろうなって時がある。田淵智也の歌詞を全部リストアップして意味を考えてわかんなくてでもふとした瞬間にその意味がわかった気がしてまた違う曲を追って。そうこうしている間にきっと皆は世界ってやつは前に進んでいる。きっと何か大切なことにちゃんと時間を使って勉強で運動でゲームでもしくは違う何かで僕を置いていく。でも僕はずっとそれを続けてライブに行って他のコンテンツを追ってるだけ。自分が勝手に助けられてるだけで本当に意味のないかもしれない。たまにそう考えてしまう。でも間違いじゃなかったんだ。そんなことが彼を支えていた。ロックバンドを続ける意味になってくれた。僕を救ってくれた恩人を救っていた。涙が止まらない。次のイントロがあの曲だからさ。

また春が来て僕らは新しいページに絵の具を落とす
友達になった、おいしいものを食べた、たまにちょっとケンカをした
それぞれの理由を胸に僕らは何度目かの木漏れ日の中で
間違ってないはずの未来へ向かう
その片道切符が追い風に揺れた今日は 花マルだね

24.春が来てぼくら
僕が初めて田淵智也に救われた曲。中学三年の受験期。息抜きで観ていた3月のライオン2期で流れたこの曲。3月のライオンでもとびきり面白くなる2期後半クール。一期後半と2期前半を最高な曲でOPを飾ったYUKIを置いて現れたユニゾン。心の中では3月のライオンの川本家と桐山零の曲だってわかってるのになんか自分に触れられてるような感覚。

右左どちらが正解なのか なかなか決められずに道は止まる
けど浮かぶ大切な誰かに悲しい想いはさせない方へと
小さな勇気 前に進め
ちぐはぐなら ナナメ進め
進めたなら 光になれ

この歌詞はずっと選択のたびに僕の前に現れる。その度にこの歌詞が浮かんできてとりあえず前にだけは進んでみることができた。

出来上がるページを見る誰かのためを想う そんなんじゃないよね
今じゃなきゃわからない答がある
「わからない」って言うなら 「ざまみろ」って舌を出そう

この歌詞は失敗が怖くなるたびに僕の前に現れる。失敗しないことで出来上がる完璧なストーリーを誰がみるというのだ。失敗してもいい。その挑戦に意義がある。

夢が叶うそんな運命が嘘だとしても
また違う色混ぜて また違う未来を作ろう
神様がほら呆れる頃きっと暖かな風が吹く

この歌詞は何かを諦めるたびに僕の前に現れる。無駄だと思ったことでも後でわけのわからないタイミングで必要になることがある。

こんなにもいろんなタイミングで救ってくれた曲は彼が世界を諦める最後の曲だった。ざまみろ、これは僕らの音楽だ。ここまでのキャッチコピーを置いても彼が望むような成果はでなかったのだろう。僕の人生ベスト1ソング候補に入るようなこの曲はきっと世界には必要なかった。なんて言わない。僕の大事な曲だ。必要ないなんて言わせない。これは僕の大切なものだ。世界がどうだとか知ったこっちゃない。僕の根幹にもなってる大切な曲だ。ざまみろ、これは僕らの音楽だ。

25.シャンデリアワルツ
なんとなくこの曲も前回の武道館よりも違う意味合いになってる気がする。昔に書いた曲のはずなのに未来の答えにもなってるんだから彼はすごい。

ハローグッバイ ハローグッバイ
奥手なシャンデリア 願いを放て
夢見てる僕らは気づかない 世界が始まっていないことも

始まりだと思ったものも始まりじゃないし終わりだと思ったものも終わりではない。全部が未来の為の通過点できっとその先にもほしい未来も幸せな未来も落ちていない。だけど夢をみることはやめられないし、やめない方がいい。前を観ているとき。光を目指している時がきっと人生で一番楽しい瞬間だから。

何度も繰り返す 死んじゃうまできっと
悲しい事でも何でもない その度に君は大人になる

前後の文章とは噛み合わないから多分意味合いが違うだろうけど失敗で落ち込んだときはいつもこの部分を再生する。なんかそれだけで救われた気がして前が向ける気がする。ありがとうシャンデリアワルツ。

わからずやには 見えない魔法をかけたよ ねえ、ワルツ・ワルツで

最高歌詞ランキング1位。これを世界が気づかないところまで含めた最高にロックって感じがする。これを書いた時に手が震えた田淵は正しい。

26.センチメンタルピリオド
ああきっとアンコールはないんだな。なんとなくそんな気がした。1stシングルをこれだけ大切にしているバンドもそうないんじゃないかってくらい大切な時の大切な場所にこの曲は置かれる。昔の全力のセンチメンタルのピリオドも好きだし今の優しいセンチメンタルピリオドも両方好き。吐き捨てられるバイバイも包み込むようなバイバイも両方とも良さがある。

ロックだけで 暮らしていけるなんて
言い訳にしか聞こえません

2002年生まれの僕が二、三歳の時から存在した曲。そんな曲が二十年経った今でも基本的な思想と伝えたいことが変わってないことが本当にすごい。そしてもう僕が生きている段階では出会うことがない世紀が切り替わる瞬間。その瞬間を迎えることがない自分には不思議な歯痒さがある。

「高性能のヘッドフォンなんで 世界の音も聞こえません」

ヘッドフォンで塞いでいた世界の音が望んだものでなかったとしても、結果そこに幸せがあったなんかそんな気がする。ライトが全部点灯して僕たちと彼らが同じ光に包まれる。きっとこの物語はまだしばらく続いていくんだろうけど、一度ここでハッピーエンドで終わる。なんかそんな気がする。

MC5
「3人だけではここまで続けられませんでした。次のライブやCDを楽しみに待ってくれてるやつがいるから、解散したら悲しむやつがいるから、その繰り返しで続いてきたUNISON SQUARE GARDENが、今これだけ愛されるロックバンドになってます。ありがとうございます。こう見えてめちゃくちゃ励まされながら支えられてきた、進んできたバンドなので、3人の記念日だけどUNISON SQUARE GARDENが好きでたまらないやつにも今日を喜んでほしいです」

いつも思うけれど斎藤さんはいつも田淵の言葉をわかりやすく伝えてくれる。田淵智也という人間の言葉を誰よりも人に伝えてきた人間だからできることだと思う。本当に二十年自分の作った歌ではなく田淵智也の曲を奏で続けた執念は尊敬を通り越して怖いと感じることがある。スカースデイルを作れる人がそれでも田淵の夢をかなえる役目を引き受け続けた信念。その理由みたいなものはわからないけれど本当にユニゾンの音楽を一番愛しているのはなんだかんだ斎藤さんな気がする。そしてその音楽を誰よりも多くの人に伝えてきたにも斎藤さんなのだと思う。

「最後にどうしても皆さんに伝えたい言葉を言わせてください。本日はUNISON SQUARE GARDEN20周年記念日、おめでとうございます! 楽しかったです

ユニゾン20周年プロジェクトはこれからも続いていくけれど確実に一番大切だったイベントは終わった。あれからいろんなライブに行ったけれどこの感動に匹敵しうるライブなんてもう出会えないと思ってしまうくらい最高の1日だった。生きててよかった。なんかそう思えるくらいの1日だった。生きてれば本当にいいことがあるらしい。これからもユニゾンを追い続ける人生でありたいと思った。しかし今大学四年生の僕はちょうど来年から社会人の僕がこのタイミングでこのライブを観たことにもなんか意味があるような気がしてしまう。今と同じようにユニゾンを追うことはできないだろうけどたまにはライブに顔を出したり曲は聞いてるはずだきっと。その直後ある予感に襲われた。卒業してからの僕たちのことだ。


四月、働き始めた僕たちは、社会と呼ばれる砂漠の厳しい環境に、予想以上の苦労を強いられる。砂漠はからからに乾いていて愚痴や嫌味、諦感や嘆息でまみれ僕たちは必死にもがき、乗り越え、そしてそのうちその場所にも馴染んでいくに違いない。

僕は、ライブに行くことに疲労を覚え、半年もたたないうちに行かなくなるかもしれない。そしてさらに数年もすれば、ライブ全力投球で過ごした学生時代を、「懐かしいなあ」「そんなこともあったなあ」と昔に観た映画と同じ程度の感覚で思い返すくらいになり、結局、僕たちはバラバラになる。
なんてことはない、はずだ。

inspired by 「砂漠」伊坂幸太郎

でもたまには会いにいくよ。絶対。まだずっと愛していたい。(そういえば伊阪幸太郎の砂漠読んだのも田淵の影響やん)

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