あれから

『おはようございます』
この言葉を日夜問わず使うようになったのはいつからだったろうか。
毎日同じ作業の繰り返し。

ショッピングモールの一角の倉庫で大量の段ボールから冬物の服を捌いていた。
周りはまたカップルでごった返し、立派なクリスマスツリーは私には見慣れた職場風景の一部分だった。
その風景に溶け込む事をどこか羨み無理だと嘆いて考えないようにした。

『寒いからこれ着なよ』
同期の子がジャンパーをくれた。
ふと目をやると帰り支度が済んでいて
『じゃあお疲れ様』と帰っていった。

『まあ、そうだよな...』
どこか期待した自分を情けなさで戒めた。

渇いた風は冷たく、ありきたりの言葉で
身も心も...などとぼやけば仕事の手を止めた。
いつも冬になると孤独感を覚えては
透き通った星空を眺めてどうしてこんなに綺麗なのかと星空だけには見惚れた。

人と人は何故付き合うか、どう出会えばそうなるのか、またこうして星を眺めて哀愁感漂う独身フリーターで年を越す。

【その時彼女は首を吊った】