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天才デザイナー集団IDEOで働く人の出身校~学歴やスキルのみではなく「感情知性」を持つ人を採用~

IDEO(アイディオ)とは、アメリカ合衆国カリフォルニア州パロアルトに本拠を置く世界的なデザインコンサルタント会社で、Apple社のマウスをデザインしたことなどで有名です。

IDEOは、1991年にスタンフォード大学の教授であるデビッド・ケリーによって創設されたDavid Kelly Design、イギリスのビル・モグリッジによって創設されたMoggridge AssociatesとID Twoの2社、そしてマイク・ヌタルの創設したMatrix Product Design 4つのデザインファームの合併によって創設されました。



IDEO社は、PCやスマートフォンメーカーのApple社の最初のマウスをデザインしたことで知られており、当時400ドル相当だったマウスを、「35ドル」で作り、大量に生産でき、高い信頼性を持たせ、シンプルなものにするといった条件を全てクリアしたデザインを作り出し、Apple製のマウスを世に送り出しました。

他にも、マイクロソフトの2番目のマウス、米PalmのPDA「Palm V」、無印良品の壁掛け式CDプレーヤーをデザインしたことで知られています。



IDEOは、アップル、マイクロソフト、サムスン、プラダ、P&G、ペプシ、イーライリリー…といった複数の大企業をクライアントとして抱えており、デザイン思考によってクライアントに価値を与えています。

IDEOのデザインアプローチは、人間工学に基づいた人々の徹底的な観察、アイディア出し、プロトタイピング、改善の繰り返しによる試行錯誤などによるもので、これによってクリエーティブなデザインが生まれています。


デザインコンサルティングの他にも、OpenIDEOというデザインプロセスのコラボレーションプラットフォームやIDEO Uという人間中心(ヒューマンセントリック)のデザインシンキングを学ぶことが出来るオンライン教育プログラムなどを展開しています。



IDEOは、デザインコンサルティング分野においてはリーディングカンパニーですので、世界中から様々な優秀な人材を採用しています。
そのバックグラウンドは多岐に渡り、行動科学、ブランディング、コミュニケーションデザイン、教育、電気工学、環境デザインなどの専門家が働いています。

人材社員全員がデザイナーという理念のもと、社員一人一人がフラットな環境で裁量を持って仕事をしています。


クリエイティブなデザインを次々と生み出すデザインコンサルティング会社IDEOで働く人達の出身校はとても気になるところです。



本記事では、IDEOで働く人達の出身校と専攻をまとめました。(キャリア系ソーシャルネットワークサービスのLinkedInに登録している全世界の人を対象としています(2020年5月7日時点))



IDEOで働く人の出身校上位15
No. 出身校 人数

1 Stanford University 47
2 University of California, Berkeley 28
3 Northwestern University 25
4 California College of the Arts 22
5 New York University 19
6 Rhode Island School of Design 16
7 Harvard University 15
8 University of Pennsylvania 15
9 University of California, Berkeley, Haas School of Business 14
10 Carnegie Mellon University 13
11 Brown University 13
12 University of Michigan 12
13 Yale School of Management 11
14 Dartmouth College 10
15 University of Washington 10


IDEOで働く人の出身校で最も多いのはスタンフォード大学でした。

創業者の一人であるデビッド・ケリー氏スタンフォード大学の教授であり、スタンフォード大学のデザインスクール「Hasso Plattner Institute of Design (ハッソー・プラットナー・インスティテュート・オブ・デザイン)」、通称d.schoolを創設した人物でもあります。

なので、ケリー氏が創設したプログラムでデザインを学んだ人達がケリー氏の作ったIDEOで働くといった形になっているようです。

次に多いのが、西海岸の名門であるカリフォルニア大学バークレー校です。


他には、やはりアート、デザインを大学で学んだ人が多いようで、California College of the Arts(カリフォルニア美術大学)Rhode Island School of Design(ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン)といった美大の出身者が多いです。


他には、ノースウェスタン大学、ニューヨーク大学、ハーバード大学といった名門大学が多いです。IDEOは、デザイン以外の組織のコンサルティングなども行っていますので、カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールイエールスクールオブマネジメントなどのビジネススクールも多くなっています。



続いてIDEOで働いている人の専攻を見てみましょう。


IDEOで働く人の出身校上位15
No. 専攻 人数

1 デザインおよび画像通信 141
2 インダストリアル・デザイン 112
3 グラフィック・デザイン 77
4 心理学 55
5 マーケティング 52
6 経済学 50
7 機械工学 42
8 経営管理 40
9 芸術/芸術研究 37
10 Communication Studies 35
11 政治学 34
12 英語・英文学 29
13 哲学 26
14 金融 24
15 史学 24


IDEOで働く人の専攻で最も多いのは、デザインおよび画像通信でした。

やはり、インダストリアルデザインやグラフィックデザインなどデザイン系の専攻が多くなっています。


その他には、人間中心のデザインにするために人間を徹底的に観察することが求められますから、心理学なども専攻している人が多くなっています。
哲学や史学など人間の本質を追求するような学問を専攻している人も多いです。

他には、デザイン以外のコンサルティング事業も展開していますので、経済学や経営管理系も多いですね。



IDEOのCEOであるSandy Speicher(サンディ・スパイカー)氏は、セントルイス・ワシントン大学ビジュアルコミュニケーション、グラフィックデザインを学び、スタンフォード大学教育学の修士を取得しています。

スパイカー氏は教育分野を専門とし、ペルーの教育システムのデザインに携わったこともあるそうです。IDEOに入社する前はMetaDesignというデザイン会社でデザイナーをしていました。


IDEOの前CEOであるTim Brown(ティム・ブラウン)氏は、イギリスのUniversity of Northumbria (ノーサンブリア大学)産業デザインを学び、Royal College of Art (ロイヤルカレッジオブアート:王立美術院)インテリアデザインの修士を取得しています。
ブラウン氏は、アメリカのSteelcase Inc社の取締役やWorld Economic Forum Center for the Fourth Industrial Revolutionのアドバイザリーボードにも就任しています。


IDEOから派生した非営利組織のIDEO.orgの創設者CEOであるJocelyn Wyatt(ジョセリン・ワイアット)氏は、アメリカのリベラルアーツカレッジであるグリネル大学人類学を学び、Thunderbird School of Global Management (サンダーバード国際経営大学院)でMBA(経営管理学修士)を取得しています。

ワイアット氏はIDEOのソーシャルイノベーションプラクティスのリーダーや、IDEOに入社する前は、United States Agency for International Development (アメリカ合衆国国際開発庁)で働いたり、眼鏡で途上国の問題解決を行うVisionSpring社のインド代表を務めたりと、一貫して社会課題に取り組んでいた人物です。


IDEOのグローバルデザインディレクターであるMichael Hendrix(マイケル・ヘンドリクス)氏は、テネシー大学ノックスビル校でグラフィックデザインを専攻しています。
ヘンドリクス氏は、Berklee College of Music(バークリー音楽大学)の准教授も務めています。


IDEOのパートナー、マネジングディレクターで、IDEO東京を立ち上げた人物でもあるMichael Peng(マイケル・ペン)氏は、カリフォルニア大学バークレー校認知科学を専攻しています。東京オフィスの前は、ニューヨーク大学オフィスで数々のプロジェクトを経験し、IDEOに入社する前はジョンソンエンドジョンソンで情報科学アナリストとして働いていたそうです。


IDEOはデザインコンサルティングの会社なので、デザイナーが多いようですが、デザイナー以外の人も積極的に採用しているようです。



前CEOのティム・ブラウン氏は、LinkedInでIDEOの採用基準について語っています。

その中で、IDEOでは、頭の良い才能のあるだけではなく、強欲な好奇心を持ち、楽観主義で、他人に共感で他人の協力できる感情知性(emotional intelligence)を持った人を採用しているとし、孤高の天才のような人は必要ないと語っています。



また、採用する際には下記の5つの資質を持った人材を探しているとのことです。

1. 成功について語るときは、「私」よりも「私達」と言う人

他の人も評価することで、チームプレーヤーでいられ、互いにフィードバックをし合うことが出来るのです


2. 成功だけではなく失敗も語る人

世界に新しいアイディアを提案しようとしたとき、それはおそらく失敗します。そこからどのように失敗を克服できるかが本当の試練です。私達は、「早く成功するためにたくさん失敗しろ」と言います


3. 学ぶのと同じくらい教えることに時間をつかうこと

高い学位を持っている事は勤勉、熟練を示します。教える事は、他の人が成功するのを手伝う事にコミットしているということを示します


4. 受付係にもナイスな人

私は面接が終わったあとに受付係に面接の応募者がどのように振舞っていたかを確認します。礼儀正しかったか、フレンドリーだったか、或いは受付係に失礼だったのか。もし後者であれば、彼らは彼らが認知する社会集団しか関係性を持つことができないことを意味します。これでは、感情移入できる人間中心(ヒューマンセントリック)な人物ではありません


5. 許可を求めない

これは仕事の応募プロセスにも関連します。普通の履歴書を送るのでは注目されません。私達を驚かすことができる人はクリエイティブであり、より情熱をアピールすることができます。例えば、ビデオポートレートを作成したり、アプリを作成したり、また、DJに合わせて踊るターンテーブルに接続されたロボットを持ち込んだ者もいました。



いかがでしたでしょうか。
IDEOで働く人の出身校は名門大学でデザイン系の専攻が多いようでしたが、IDEOの採用には、大学で何を専攻したかといったことやスキル、能力はもちろん重要ですが、感情的な知性を重要視しているとのことです。


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