俺にはお前が見えてるよ。

なんで急に思い出したかしらんけど。
いつかの春休み
花見をしに友達と行ったんだ。
3家族くらいで。

そこでバーベキューをして、
うちの母親は他の家族の嫁と
肉焼き係をしてた。

暇を持て余した俺らを見かねて
Aくんのパパが、おもちゃ買いに行くか！
とか言い始めてBくんのパパも
Cくんのパパもイイね‼︎とか盛り上がって。

やったーとか言うて友達が駆け出すもんだから
なんか俺も嬉しくなって着いていった。

出店をあるく、AくんもBくんもCくんも
自分のパパを横に手を繋いで歩いていて

なんか、おれだけ、パパが居ないから
苦しくなって。
でも着いていく事は辞めなかった。

なんとなく、皆んなに気を使われないように
1番後ろを歩いてたけど

みんなの背中はすごく遠くにある気がした。
店について、みんなオモチャを買ってもらってて
羨ましくなって俺も居るよ〜ってアピールで
「この銃スゲーーーー！」とかいって騒いでみる。

誰のお父さんも俺の事は見えてない顔してて、
まだ何も知らない友達は、
なんでコイツにはお父さんがいないの？
みたいな目でポカーーンって笑

俺は多分みんなの邪魔してるなって
存在が邪魔なんだって
誰か俺の事を見てくれよ！って
そんな気持ちだった。

あの時の心に穴が空いた感覚が多分
ずーーーっと俺の中に残ってる

見てくれ見てくれ見てくれ見てくれ
気づいてくれって

見てくればっかりだったな。
そればっかりだった。

あの子の事をアイツの事を
見てなかったのは俺の方だったんだなぁ。

今の俺にはみんながちゃんと見えてるよ。

お前は一人じゃないし空気でもない！
ちゃんと見えてる。

俺にはお前がちゃんと見えてる。

一人じゃねぇ‼︎
一人じゃねぇ‼︎