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まだお金が出てくる机

 子供の頃、お年玉やら何やらを勉強机にしこたま溜め込んでいたら、50万円くらいになったという話を書きました。

 私がいかに面倒くさがりやな子供であるかが示された話とも言えます。小遣い帳をつけるのを面倒くさがったどころか、お金を使うのも面倒くさがったんですから。どれだけ面倒くさがるんだと我ながら思います。前世がナマケモノだと言われても、今ならギリ信じてしまいそうです。

 さて、私が銀行口座代わりに作っていた勉強机でございますけれども、実はまだ実家にございます。その勉強机は私が小学校へ入学したお祝いに祖母から買ってもらったものでございまして、軽く数十年は経っている。でも、今でも机として問題なく使えますし、何ならその机で書いた文章がnoteにございます。大切に使っていたわけではなく、かなり適当に使っていまして、その証拠に落書きが随所にありますし、何なら彫刻刀で削った跡もある。でも、今でも机としての役割を余裕で果たしている。どれだけ頑丈に作ってあるんだとの驚きを隠せません。

 数十年にわたって変わらぬ姿を保っているのは机だけではありません。私が机に溜めこんだ諸々のガラクタもまた、子供の頃にぶち込んだままの姿で引き出しに入っているんです。就学旅行先で買い漁ったドクロのキーホルダー、友達と競うように集めたポケモンカード、近所の文房具屋で何となく買ったキャラクターものの鉛筆など、とにかくあの頃のアホな思い出がそのまま保存されている。

 ちなみに、私の勉強机は木製なんですが、その上に緑色のシートが敷かれていました。カッターナイフを使う時、下に敷くやつです。調べたらカッターマットと言うようです。何でそれを敷いていたのか、今となっては全く分かりませんが、とにかくロクにカッターを使わないのに、幼い頃からそのカッターマットの上にノートを広げて勉強したり漫画を読んだりしていました。

 直近の帰省でも、勉強机は変わらぬ姿で私を迎えてくれました。机の上には緑色のカッターマットが敷かれ、引き出しを開ければ子供の頃の私がかき集めたガラクタであふれ返っている。

 そこで私、ふと思ったんです。私はこの勉強机にお金をしこたま溜め込んでいた。しかも、家族に取られないようにと、ちょっと分かりづらいところに隠していた。家族は私の机がガラクタで詰まってると知っていましたし、溜めこんでいたお金は私が一人暮らしを始める際、全て銀行に入れてしまったことも知っている。

 本当に何となく、机に敷かれたカッターマットをめくってみました。すると、奥の方に見慣れない封筒があったんです。中を見たら1万円札が入っていました。旧札ですらありません。旧旧札です。子供の頃に隠し、一人暮らしを機に全て抜き取ったと思っていたお金がまだ残っていたとは。

 とりあえず、母には「勉強机を捨てる前に必ず私を呼んでくれ」と言ってあります。

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