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【IMAX】【Dolby】プレミアム・ラージ・フォーマット総まとめ【4DX】【MX4D】

これは何?

突然ですが、「プレミアムラージフォーマット(PLF)」という単語をご存知ですか?
知らないという方も、「IMAX」という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
PLFとは、「IMAX」のような追加料金付きシアターの総称で、普通の映画館よりハイレベルな音響・映像を楽しむことができます。
映像技術が年々進歩していく中で、高品質な映画体験の需要もグングン伸びているようです。
(最近だと「トップガン マーヴェリック」の上映でIMAXに人が殺到していた事が印象深いです。)
しかしそこにはある問題があります。

「IMAX」「Dolby」「TCX」「BESTIA」etc…

そう、規格が多すぎてよくわからない。

各映画館が色々なPLFを導入した結果、いま日本はPLF戦国時代となっています。
もう、大変です。

そこで本記事では、「IMAXとかDolbyとか一体何が凄いのか?そもそもPLFってどれくらいあるのか?」というテーマでPLFをひたすらまとめていきます。

※あくまで映画館公式サイトやウェブ記事、有識者の解説、個人的な体験を片っ端からまとめまくった内容ですので、必ずしも特定の映画館の品質を保証するものではありません。ご了承ください。



IMAX

概要

針が落ちる小さな音「チィィン!」(爆音)

IMAXはカナダの「IMAXコーポレーション」が手掛けるシアターシステム。
基本的に、映像の段階からIMAX専用の機材を使う必要がある。
IMAX用カメラは「フィルム」と「デジタル」、「IMAX認証カメラ」、「3Dカメラ」に分けられ、多くのIMAX映画はデジタルカメラもしくはIMAX認証カメラで撮られている。
本稿では「IMAX DMR」についても説明する。
・フィルムカメラ
いわゆる「真のIMAX」を撮ることができるカメラとして知られ、後述する「1:43:1」というアスペクト比での撮影ができる。
デジタルに比べて大量の情報量を詰め込むことができ、解像度は18Kに匹敵すると言われている。普通の映画が2~4Kであることを踏まえると、その凄さは歴然。
しかし、「騒音が凄い」「カメラが重すぎる(最大45kg)」などのマイナスな面もあり、そもそもフィルムカメラの台数が少なすぎるという致命的問題も抱えている。(真偽は不明だが、少なくともIMAX社は9台保有しているらしい。)
また、IMAXフィルムカメラは製造コストが非常に高く、例えばクリストファー・ノーラン愛用の「MSM9802」は5000万円以上もする。
近年増産に向けた動きもあるので、十数年後にはもっと普及しているかもしれない。
・デジタルカメラ
Arri社とIMAXが共同開発した、「ARRI Alexa IMAXデジタルカメラ」というカメラのことを指す。
比較的軽量で使い勝手がよく、IMAX撮影を多くのクリエイターに広める契機となった。
特に『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』は全編IMAXデジタルカメラ撮影を敢行して話題となった。
ただ、フィルムとデジタルでは大きな差が存在する。
それは「アスペクト比」。
フィルムカメラは1:43:1というやや正方形に近いアスペクト比なのだが、デジタルカメラは1:90:1という長方形のアスペクト比になっている。
要するに、デジタルよりフィルムの方が2割以上広い画角で撮影できるということである。
……しかしフィルムでもデジタルでも「IMAX映像」と宣伝できるため、デジタルカメラは「ニセIMAX」だと酷評されがちである。
・Phantom 65 IMAX 3Dデジタルカメラ
その名の通り、IMAXで3D映像を撮ることができるカメラ。
2011年に開発されており、IMAXデジタルカメラより歴史が長い。(デジタルカメラである「ARRI Alexa」は2015年開発)
・IMAX認定カメラ/Filmed In IMAX
IMAXカメラ需要の拡大に応じて、IMAX社が2020年に始めたプロジェクト。
「元々IMAX専用カメラじゃなくてもIMAX映像を名乗って良いよ」的な公認を出すというもので、実際に以下のカメラが認定を受けている。
Arri Alexa LF (4.5Kカメラ)
Arri Alexa Mini LF (4.5Kカメラ)
Panavision Millennium DXL2 (8Kカメラ)
Red Ranger Monstro (8Kカメラ)
Red V-Raptor (8Kカメラ)
Sony CineAlta Venice (6Kカメラ)
Arri Alexa 65 IMAX (6.5Kカメラ)
これにより普段使いのカメラをIMAX用に使うということができるようになり、クリエイターの負担がぐっと軽減された。
それだけでなく、「Arri Alexa LF」などの一部の認定カメラは1:43:1のフルサイズ対応もしている。実際に、『DUNE』シリーズではLFを使ったフルサイズ撮影が行われている。
・IMAX DMR
ここまでの説明を聞くと、「あれ?コナン映画のIMAX版はカメラで撮ってないのにIMAXを名乗っているぞ」という疑問を抱くかもしれない。
このような作品は「IMAX DMR」という枠組みで放映されている。
本来IMAX用に作っていない映像であっても、IMAXでの鑑賞に耐えられるレベルまで品質を調整することでIMAXを名乗れる、という仕組みだ。
もちろんIMAXカメラの映像には敵わないと言われがちだが、IMAXの収益を支える上では重要な存在となっている。
ちなみに、「IMAXで体感せよ」というキャッチコピーはIMAX DMRには使えないというルールがあったらしいのだが、現在では普通に使用が認められている。世知辛い。


IMAXデジタルシアター(5.1ch)

IMAX映画館にはいくつかのグレードが存在する。
まずは「IMAX(5.1ch)」。
アスペクト比は1:90:1、画質は2K、サウンドは5.1ch。
最も基本的なIMAX規格で、最初に日本で広まったものでもある。
1:43:1映像には対応しておらず、上映の際は1:90:1に合わせて映像を切り抜いてしまっている。
それから、日本国内のIMAXはどれもおおむね同じ料金である。(通常料金+700円くらい)
ノーマルのIMAXを見ても、よりグレードの高いIMAXを見ても料金は一緒。
つまり、これから紹介するハイグレードなIMAXを選んだ方がコスパが良いということになる。

IMAXデジタルシアター(12.1ch)

12.1chの迫力あるサウンドシステムが売り。
映像は普通のIMAXと同じ。
上位互換である「IMAXレーザー」に押されてしまい、ほぼ絶滅している。

IMAXレーザー

2018年に誕生した進化版IMAX。
アスペクト比は1:90:1、画質は4K、サウンドは12.1ch。
ツインレンズの4Kレーザー投影システムを採用しており、より鮮やかで精緻な映像美を堪能できる。
ただやはり1:43:1には対応していない。
イオンシネマがガンガン建てている印象。

IMAXレーザー XT

廉価版のIMAXレーザー。
シングルレンズではあるものの4K映像を実現している。
12.1chのサウンドシステムも完備。
日本での導入実績はまだない?

IMAXレーザー/GTテクノロジー

IMAXの最高峰。
アスペクト比1:43:1、画質は4K、サウンドは12.1ch。
4Kレーザープロジェクターを贅沢に2台備えつけている。
だがGTテクノロジー最大の特徴は、IMAXレーザーには無い「1:43:1」対応のスクリーン
1:43:1の映像はIMAXフィルムシアターもしくはIMAXレーザー/GTテクノロジーでのみ鑑賞可能なのだが、日本国内にフィルムシアターは存在しない。
そのため日本では、GTテクノロジーが1:43:1映像を見ることのできる唯一の手段となっている。
といっても、国内のGTテクノロジー導入シアターは「グランドシネマサンシャイン池袋」と「109シネマズ大阪エキスポシティ」の2か所しかない。
この2つのシアターは国内のスクリーンサイズランキングで1位、2位になっており、まさに最高峰という風格だ。(1位は池袋、2位は大阪)
実際に見ていただかないとその凄さは伝わりにくいのだが、あえて表現するなら、あまりにもデカすぎてスクリーンというよりは「巨大建築」といった感想になると思う。
地方には一切展開されてないのが難点。

IMAXフィルムシアター

IMAXの真の最高峰。
ここまで紹介したIMAXシアターはすべてデジタルシアターの一種であり、IMAXフィルム映像を直接鑑賞することはできない。
しかしこのIMAXフィルムシアターでは、巨大な映写機を使ってIMAXフィルムの投影が可能となっている。
デジタルでは4Kに制限されていた画質が、フィルムシアターではフィルム本来の画質(18K)を引き出せるということだ。
先ほどちらっと「国内にフィルムシアターは存在しない」と言ったが、実は半分正しくて半分間違っている。
映画館ではないものの、「鹿児島市立科学館」では国内で唯一のIMAXフィルム上映をしているのだ。
ただしこれは一般的なスクリーンではなく、プラネタリウムへの投影用となっている。
海外には映画館としてのフィルムシアターが数十か所存在しており、特にメルボルンとシドニーのシアターが1,2を争う人気を誇っている。
スクリーンサイズではシドニーがトップらしいが、最近改装工事を始めたらしいので、事実上メルボルンがトップとなっているとか。(劇場内で「メルボルンが世界一大きなIMAXです」みたいなアナウンスが流れてるらしい)

IMAXドームシアター

IMAXの裏ボス。
プラネタリウムのような、天球状のスクリーンを持つ。
座席はやや寝そべるような形で、観客は上を見上げて鑑賞する。
映画館としてのドームシアターは国内に存在しないが、ディズニーシーの「ソアリン」がこれに相当すると言われている。
ドームシアターもフィルムとデジタルの二種類に分けられ、デジタル式では4Kプロジェクターが使われたりしている。

国内の著名なIMAX劇場

おまけとして、評価の高い国内のIMAX劇場を紹介する。なお、グラシネとエキスポは割愛する。
・成田HUMAXシネマ
国内4位のシアターサイズを誇る。
実際に行ったところ、他のIMAXよりも明らかに大きめのシアターでワクワク感が強かった。
残念ながらノーマルIMAXなので若干人気が低いが、スクリーンの横幅はグラシネ/エキスポと同等。
個人的には、入口の時点からIMAXの気合いが伝わってきてかなり好きな劇場。
・ユナイテッド・シネマ札幌
国内3位のシアターサイズを誇る。
かつてはIMAXフィルムシアターだったこともあるレジェンドシアター。
IMAXレーザーなので1:90:1比率までしか対応していないが、スクリーンの横幅はグラシネ/エキスポと同等。
・ユナイテッド・シネマ テラスモール松戸
爆音&爆重低音で有名。
座席の傾斜が強めで、没入感が高いという話もある。
・109シネマズ木場
こちらも爆音で有名。
松戸と木場はどちらもオールタイム爆音上映であることで知られている。


Dolby

これが本当の黒

概要
アメリカの「ドルビーラボラトリーズ」が手掛けるシアターシステム。
映画館用の規格から家庭用機器の規格まで、色々手を出していて正直分かりにくい。
ざっくり言うと、現代の映画館でDolby対応とは「Dolby Atmos」と「Dolby Vision」のどちらか、もしくはその両方を導入しているという意味になる。
特に、アトモスとビジョンを両方取り入れているシアターには「Dolby Cinema」の称号が与えられる。
本稿では、主にこの3つの映画館向け規格に絞って説明する。

Dolby Atmos

音響限定の規格。
様々な方向から臨場感あるサウンドを響かせる。
映画館で使われるDolby Atmos for Theaterは、5.1chから7.1chまで対応していることが多い。
大手シネコンでは、他の設備とセットで導入されていることもある。
通常料金+100円が相場。

Dolby Vision

映像限定の規格。
数ある映像規格の中でも「黒」の描写力が特に際立っていると言われる。
普通の映像で「黒」を表現すると、どうしても青みがかったような描写になってしまうのだが、Dolby Visionでは独自のコントラスト調整によって「真の黒」の表現に成功している。
Dolby Visionが単体で採用されてる映画館は日本には無い……多分。

Dolby Cinema

Dolby AtmosとDolby Visionを全部乗せした最高の映画環境。
映像と音楽だけでなく、一つのスクリーン空間全体がDolby仕様になっており、エントランスから内装、椅子まですべてDolby一色。
今のところ日本には以下の10館のみ存在している。
「新宿バルト9」
「丸の内ピカデリー」
「ミッドランドスクエアシネマ」
「TOHOシネマズ ららぽーと門真」
「TOHOシネマズ すすきの」
「T・ジョイ博多」
「T・ジョイ梅田」
「T・ジョイ横浜」
「MOVIX京都」
「MOVIXさいたま」
料金は通常料金+700円くらい。(IMAXと同じ価格帯)

国内の著名なDolby Cinema劇場

・T・ジョイ博多
日本初のDolby Cinema。
始祖にして、最強との呼び声が高い劇場。
・MOVIXさいたま
Dolby Cinemaの中でも音響(ウーファー)のパンチが強いと言われる。
重低音が好評。
・新宿バルト9
こちらも重低音に関して定評がある。
パワーのある音響を楽しみたい人向け。


MX4D

概要
アメリカの「MediaMation社」が手がけるシアターシステム。
いわゆる「4D上映」の一種で、シートがアトラクションのように動き、様々な特殊効果で映画を盛り上げてくれる。
日本では主にTOHOシネマズが導入している。
特殊効果は「エアブラスト」「風」「香り」「水しぶき」「シートホッパー(お尻への衝撃)」「ランブラー(振動)」「バックポーカー(背中への刺激)」「ネックティラー(首筋への刺激)」「レッグティラー(足首への刺激)」「ストロボ」「霧」の11種類。
MX4Dは「MX4D 2D」と「MX4D  3D」の二種類に分けられ、3Dの方では3D上映も可能。
料金は通常料金+1000~1300円。


4DX

韓国の「CJ CGV社」が手掛けるシアターシステム。
MX4Dと同じ4D上映の一種だが、4DXの方が普及しているし評判もいい。
特殊効果は「風」「香り」「煙」「雨」「嵐(雨風)」「ウォーター(顔への霧水)」「ストロボ」「泡」「雪」「熱風」「バックシェイカー(背中振動)」「ボトムシェイカー(お尻振動)」「バックティックラー(背中への刺激)」「ボトムティックラー(足への刺激)」「フェイスエアー(顔への風)」「エアーショット(空気の銃弾)」の16種類。
4DXは映画館ごとに強い「個体差」が存在する。
まず、シアターの事情によって演出が減らされてる場合がある。特に「熱風」エフェクトは歴史が浅いため普及率が高くない。
また、座席の振動パワーが統一されていないので、ちょっとしたギミック程度の揺れから「なぜベルト不要なのかわからない」レベルの揺れまで映画館ごとにバラバラになっている。
このようにあまりにも個体差がありすぎる4DX業界は、今やファンたちによる熾烈な格付けにさらされている。
詳しくは後述するが、お台場ととしまえんが最強格ということで評価が定まってきている模様。
料金は通常料金+1000円くらいで、3D上映の場合は別途で追加料金がかかる。

4DX MAXシート

通常の4DX座席に、「スライド&ツイスト」という機能を追加した進化版4DX。
より滑らかで立体的な振動演出を可能にしている。
日本では「ユナイテッド・シネマ豊橋18」にしか導入されていない。
料金は普通の4DXと同等で、通常料金+1000円(2D上映)もしくは通常料金+1500円(3D上映)

Screen X

CJ CGV社と韓国科学技術院が共同開発した次世代のスクリーンシステム。
正面のスクリーンに加えて左右にもスクリーンを配置し、観客の視界270°を映像で埋め尽くす。
料金は通常料金+600~700円。
TOHOシネマズには、「ScreenX with Dolby Atmos」というスクリーンシステムも存在する。

ScreenX with Dolby Atmos

その名の通り、Screen XにDolby Atmosを合体させたスクリーンシステム。
高音質環境で3面スクリーンが楽しめる。
日本では「T・ジョイ京都」「TOHOシネマズ池袋」「横浜ブルク13(2024年12月11日開館予定)」の3つのシアターのみに導入されている。
料金は通常料金+900円くらい。

ULTRA 4DX

「Screen X」に「4DX」を搭載した超欲張りセット。
左右の壁まで広がる映像+揺れまくる座席……もはや完全にアトラクションの領域となっているが、遊園地のアトラクションと違って2時間楽しめるのでお得。
日本国内では以下の4館のみに導入されている。
「グランドシネマサンシャイン池袋」
「109シネマズ グランベリーパーク」
「シネマサンシャイン ららぽーと沼津」
「アースシネマズ姫路」
このうち、熱風エフェクトがあるのはグラシネとグランベリーパークのみ。(比較的新築であるららぽ沼津になぜ熱風がないのかは4DX七不思議の一つである。)
料金は通常料金+1500~1600円。

国内の著名な4DX劇場

・ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場
関東4DX二大巨頭の一角。
容赦のない座席振動で有名であり、通常営業で他の劇場のMAXパワーを上回っている。
水系演出に関しては座席ごとにムラがあるらしいが、それでもなお圧倒的な座席振動により、多くの4DXファンから支持を集めている。
・ユナイテッド・シネマとしまえん
関東4DX二大巨頭の一角。
本気で人を振り落とすような強烈座席振動で有名。振動以外にも、香り演出や水系演出が強めだと評価されている。
お台場ととしまえん、どっちがより強力かについては意見が割れているものの、とりあえずこの2シアターが関東4DX最強格ということに異論を唱える人はいないであろう。
・ユナイテッド・シネマ幕張
4DX界のダークホース。
としまえんとお台場の同等クラスの過激4DXだと評され、最近グングン知名度を上げている。
・シネマサンシャイン大和郡山
関西最強4DXとうたわれる劇場。
徹底的な「揺れ」を求めて、関西各地から人が集まるとか。
・イオンシネマ四條畷
関西最大スクリーンの4DX。
振動に関しても評価が高く、階下のゲーセンに振動注意の看板があるとか。


THX

概要
アメリカの「THX社」が手掛けるシアターシステム。
元々はルーカス・フィルムの一部門だったこともあり、数ある規格の中でも重鎮のような存在感である。
特に日本では1980年代から長らく愛されており、2000年代にIMAXが台頭するまで多くの映画館で採用されていた。
「THX」の看板を掲げるには、映像と音響に関する審査を通過する必要がある。
特に音響の審査は厳しめであり、外部の騒音さえも採点対象となっている。
THXの最大の特徴は、これらの審査を年に一度行う必要があるということ。
IMAXやDolbyは一度審査に合格すれば問題ないが、THXを名乗る場合は常に一定のプレッシャーにさらされることになる。
何よりも、審査料金が毎年かかるという金銭的課題がデカいらしい。
これらの特徴が原因で、国内のTHX劇場は2000年代以降IMAXやDolbyを採用するようになった。
現存するTHX劇場の数は判然としないが、少なくともイオンシネマの「小樽」「大宮」「海老名」「近江八幡」「茨木」「戸畑」「福岡」がTHX認証を維持している。追加料金は無し。

国内の著名なTHX劇場

・イオンシネマ海老名
日本初のTHX認定劇場にして、日本初のシネコン
イオンシネマ海老名THX認証スクリーン(7番スクリーン)は特殊な形状をしており、天井・壁同士に平行面ができないように工夫されている。これは、壁と壁が平行になると音質が著しく低下するからだとか。
THXシアターの代名詞的存在であり、THXが凄いのではなくイオンシネマ海老名が凄いとさえ言われている。
実際、THXは一定条件をクリアすれば認証をもらえるので、個々のスクリーンのクオリティにはバラツキがある。(機材も全然統一されてないし……)


DTS:X

概要
アメリカの「DTS社」が手掛ける音響システム。
イマーシブ・オーディオ(没入型音響)というコンセプトを持つ。
前後左右、空間の上下から音が響き合うような感覚になるらしい。
日本では以下の6館にのみ導入されている。
「グランドシネマサンシャイン池袋 」
「シネマサンシャインららぽーと沼津」
「アースシネマズ姫路」
「イオンシネマ徳島」
「TOHOシネマズ熊本サクラマチ」
「シネマサンシャイン姶良」
なお、このうちサンシャイン系列の映画館では「BESTIA」の一部として組み込まれている。
TOHOシネマズ熊本サクラマチでは追加料金として+100円がかかる。



TCX

概要
TOHOシネマズのオリジナルスクリーンシステム。
マッコウクジラ一頭分の巨大スクリーンを持つ。
スクリーンサイズは各館ごとにバラついていて、TCX相当のスクリーンがなぜかTCXにされてないこともあるなど、ややふんわりした規格である。
現在20の劇場に導入されており、このうち15館にはDolby Atmosもセットで備え付けられている。
追加料金は無し(ただし、Dolby Atmosを併設している場合+100円かかる)


轟音

概要
TOHOシネマズのオリジナルサウンドシステム。
2台のスピーカーを向かい合わせるように配置し、通常の2倍以上の爆音上映を実現している。(アイソバリック方式というらしい)
現在、「すすきの」「池袋」「上野」「立川立飛」「なんば」「セブンパーク天美」「ららぽーと門真」「ららぽーと福岡」の8館に導入されている。
基本的に追加料金はゼロだが、すすきのだけ+200円かかる。


プレミアムシアター

概要
TOHOシネマズのオリジナルハイエンドスクリーン。
「映像」「音響」「座席」をこだわり抜いた、スペシャルなシアターとなっている。
TCXスクリーンが導入されている上、座席はラグジュアリーで広々としたデザインになっている。
音響は『LOVE PSYCHEDELICO』のNAOKI 氏によって監修されており、迫力のある大音量から繊細な音まで幅広く堪能できる。
追加料金は無し。(ただし、プレミアムシートは+1000~+3000円の追加料金がかかる。)


BESTIA

概要
シネマサンシャイン系列のオリジナルスクリーンシステム。
現在、「姶良」「飯塚」「ららぽーと沼津」「グランドシネマサンシャイン池袋」の3館に導入されている。
4Kレーザープロジェクターによる圧倒的なハイコントラスト映像が楽しめる。
壁面いっぱいに広がる巨大スクリーンも魅力的。
音響にはDTS:XもしくはDolby Atmosが採用されており、フラグシップシアターであるグラシネ池袋にはどちらも同時搭載されている。
料金は通常料金+300円。


ULTIRA

概要
イオンシネマのオリジナルスクリーンシステム。
天井まで迫り、左右いっぱいに広がる特別スクリーンが用意されている。
現在12館に導入されている。
「京都桂川」「和歌山」「名古屋茶屋」「白山8番スクリーン」「新利府」の5館にはDolby Atmosも導入されており、より立体的な音響を楽しむことができる。
追加料金は無し。


D-BOX

概要
カナダのD-Box社が開発したスクリーンシステム。日本ではイオンシネマにのみ導入されている。
4DXやMX4Dのような4D上映の一種だが、D-BOXは座席の振動のみである。
デカい音に合わせて動くだけではなく、映画の内容にフィットした多様なモーションが楽しめる。
(正直……4DXに比べると地味な印象……)
「幕張新都心」「春日部」「港北ニュータウン」「長久手」「名古屋茶屋」「和歌山」の6劇場に導入されており、このうち春日部の1番スクリーンと和歌山の7番スクリーン、名古屋茶屋の10番スクリーンはULTIRAになっている。
料金は通常料金+1000円。


Vive Audio

概要
アメリカのChristie社が手掛ける音響システム。日本ではイオンシネマにのみ導入されている。
スピーカーを直線的に並べて配置することで、音圧の減少を大幅に抑え、座席ごとの音響の「ぶれ」を無くしている。
また、リボンドライバーという仕組みによって、高音域を繊細に表現することができるとされている。
導入劇場は「長久手」「松本」「広島西風新都」「津南」「座間」「りんくう泉南」の6館。
Vive Audio自体の追加料金は無し。


HDCS

概要
「シネプレックス幕張(現・ユナイテッド・シネマ幕張)」につくられた独自の音響システム。
THXの思想をベースに、よりダイナミックな音響を目指して生まれた。
通常スクリーンより高性能なスピーカーを使うのはもちろん、サブウーファーを増設したり、壁の吸音性を高めたりと様々な工夫がなされている。
幕張の他には、「シネプレックス水戸(現・ユナイテッド・シネマ水戸)」にもHDCS対応スクリーンが数個存在する。


T-LEX

概要
T・ジョイグループのオリジナルスクリーンシステム。
名前には「Large(巨大)でLuxury(贅沢)、そして Exciting(刺激的)なExperience(体験)を提供する空間」という意味が込められている。
通常よりもスクリーンが135%拡張されており、パノラマのように湾曲した形をしているためどの座席からでも大迫力の映像が楽しめる。
「4ウェイ・シネマスピーカー」という高音質スピーカーを採用しているので、立体音響もバッチリ対応。
プロジェクターは最新の4Kデジタルシネマプロジェクターを使っており、高画質で臨場感のある映像を鑑賞できる。
さらに、追加料金を払うことで高級革張りシートを使うこともできる。
導入劇場は「久留米」「長岡」「蘇我」の3館。
T-LEX自体の追加料金は無し。


odessa

東京テアトルグループのオリジナル音響システム。
映画館ごとに最適化された、地を這うような低音が売り。
また、「odessa Live field」という音場特性エミュレーション機能が導入されており、コンサートホールやライブ会場のような音場を再現できる。
個人的に、他のPLFよりイントロムービーが独特で好き。(ヒューマンビートボクサーのSHOW-GO氏が口から重低音を奏でるというムービー)
追加料金は無し。


ADMIX

概要
USシネマのオリジナルスクリーンシステム。
巨大スクリーンを壁いっぱいに設置し、さらにスクリーン両端を湾曲させることで没入感を高めている。
また、座席にはオリジナルのウレタンシートを採用しており、長時間座っても疲れにくいらしい。
(なお、これらの特徴はすべてUSシネマつくばの公式サイトにある情報であり、他のADMIX劇場の仕様が同じかはわからない)
ADMIXは「USシネマ木更津」と「USシネマつくば」の2館に導入されており、それぞれ音響設備に大きな違いがある。
木更津はDolby Atmosなのだが、つくばには「Auro 11.1ch」という空間オーディオシステムが採用されており、7.1chをも超えた立体音響を実現している。
料金は通常料金+200円。(つくばの公式サイトによると、3D上映の場合通常料金+500円になるとのこと)


Movive theater

概要
横浜HUMAXシネマズにのみ導入されているオリジナルスクリーンシステム。
次世代音響システム「d&b Soundscape」を日本の映画館では初めて使用している。
「d&b Soundscape」は元々ライブ会場で使う機材であり、横浜HUMAXの他にはチネチッタのLIVE ZOUND用機材に採用されている。
機材の特性を活かして、Movive theaterは映画上映だけでなくライブ会場としての活用も狙っているらしい。
追加料金は無し。


FLEXOUND

概要
FLEXOUND社が手掛けるスクリーンシステム。日本ではユナイテッド・シネマにのみ導入されている。
「肌で聴く」がテーマとなっているFLEXOUNDは、座席にスピーカーを内蔵するというこれまでにないシステムをとっている。
座席自体から発せられる音と振動を、観客は文字通り全身で「聴く」ことができる。
今のところ「アクアシティお台場」と「ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい」に設置されており、特にみなとみらいの方は全席がFLEXOUNDという贅沢仕様となっている。全席FLEXOUNDは世界初の試み。
お台場は通常料金+200円、みなとみらいは追加料金なし。


SAION

概要
109シネマズのオリジナル音響システム。
「大規模ライブをも制するハイパワー&ハイレスポンス」というキャッチコピーを掲げ、大きな音は歪むことなく、小さな音は明瞭に、あらゆる音をクリアに再現しているとのこと。
「Q-sys」というサウンドプロセッサーを採用しており、作品ごとに最適な音響バランスを調整している。
「大阪エキスポシティ」「グランベリーパーク」「湘南」「名古屋」の4館に導入している。
追加料金はなし。

SAION -SR EDITION-

「109シネマズプレミアム新宿」全シアターに導入されているSAIONの上位エディションであり、故・坂本龍一によって監修された究極のサウンドシステムである。
高精細な音を生み出すカスタムスピーカー、選び抜かれたアンプ、特注のスピーカーケーブルが一つのシアターにくまなく配置されている。
スピーカーだけでなく、スピーカーのケーブルまでこだわり抜いているというのが他のスクリーンシステムとの大きな差だろう。
追加料金はなし。


オーシャンスクリーン

概要
ユナイテッド・シネマ豊洲スクリーン10に設置されている超巨大スクリーン。
その大きさはTOHOシネマズ海老名に次いで日本6位、都内では(IMAXを除いて)最大。
巨大スクリーンの中でも歴史が古く、多くの映画ファンに愛されてきた。
現在はフリッカー(光のちらつき)がやや目立つという意見もあるが、いまだに根強い人気を誇っている。
ちなみに、「オーシャンスクリーン」という名称は現在非公式になっているらしい。
追加料金は無し。


極上音響上映

概要
立川の「シネマシティ」で実施されている大迫力サウンド上映。通称「極音」
スクリーンの下にサブウーファーを設置し、他の映画館では味わえない超圧倒的な音圧を提供している。
また、サウンドシステムには音響調整卓が組み込まれており、上映作品に応じて細やかな調整が可能となっている。
音響調整を手掛けるのは経験豊富な一流の音響家。そのため、他の追随を許さない高品質な音響空間が楽しめるのだ。
ちなみに、音響機材には6000万円もつぎ込んでいるらしい。覚悟も他の追随を許さない。
追加料金はなし。

極上爆音上映

進化版の極上音響上映。通称「極爆」
肉体をビリビリ震わすような超絶大迫力爆音が観客を包み込む。
それでいて音の品質は常にクリアであるとされ、迫力と高音質の両立という点で多くの映画ファンから高く評価されている。
追加料金はなし。


LIVE ZOUND

概要
川崎の「チネチッタ」で実施されている大迫力サウンド上映。
ライヴプロデュース集団「クラブチッタ」が音響監修をしており、作品ひとつひとつに合わせた究極の映画音響に浸ることができる。
音響には「ハードコア」「ハーモニクス」「ハイブリッド」の三種類が存在し、ハードコアは超迫力重視、ハーモニクスは全体のバランス重視、ハイブリッドは迫力とバランスを兼ね備えた万能サウンドという感じになっている。
追加料金は無し。

LIVE SOUND

チネチッタの重低音強化上映で使われる。
通常のシアターにサブウーファーを増設して上映しているらしい。
流れ的には、LIVE SOUNDの進化系として生み出されたのがLIVE ZOUNDらしい。
追加料金は無し。


文献

映画館を比較するにあたって非常に参考になる記事、ブログ、動画などを紹介します。
・たてはま / CGBeginner様のYouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ODBqSZWXttE&ab_channel=%E3%81%9F%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%BE%2FCGBeginner
IMAXやクリストファー・ノーランに関する解説動画を投稿されている。

・IMAXまとめ情報【映画】様のXアカウント
https://x.com/xxx000xxx2023
IMAXに関するありとあらゆる情報を発信されている。
国内外の情報を細かくリサーチされていて凄い。

・地雷ふんたー様のブログ
https://funtadelei4dx.exblog.jp/i8/
日本の4DXシアターについて最も詳しく解説されている。

・映画館がちょっと楽しくなるブログ
https://enjoy-eigakan.com/
映画館の設備に関する専門的な解説から、日本各地の映画館に関するレポートまで幅広く執筆されている。


終わり!

休日は映画館に行こう!

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