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【第133回】スピッツ/さざなみCD

毎年彗星のごとく現れては消えていく一発屋芸人さん達、若い頃は「どうせすぐ消える一発屋だろ」なんてバカにしていたところがあったけれども、最近は「一発当てただけでもスゴいんだよな」と考えを改めるようになった。一発屋と言えども、改めて見るといまだに面白いものも少なくないし。「つぶやきシロー」とか「ジョイマン」とか「AMEMIYA」とか(AMEMIYAさんはネタだけでなく、大物感溢れる佇まいもイイ味出している)。私は特に「ブルゾンちえみ」が好きで、何が良いってあの上から目線のセリフにちょうど良くマッチしている容姿とBGM、そして「自信満々に発する「35億」というワードが笑いを誘う。全てがちょうど良くハマっているのよね。いまだに動画サイトとかで観るとクスリと笑ってしまう。それからこれは一発も当てていないという意見もあるだろうけれど、「熟熟熟女」のフレーズでお馴染みの「鈴木奈都」。理由は分からないがなんか好き。誰も知らないかもしれないけれど。そして一発芸というのはジャンルこそ異なるが、太く儚く散っていくその様はまさしくロックであると言える、かもしれない。まあ、いまだに父が「ワイルドだろぉ〜」ってドヤ顔で言うのには辟易してしまうけれど。楽しそうに言ってるから反応に困る。ロックにしつこさは禁物なのだよ。そんなわけで今回はちっちゃいことは気にしないワカチコCD、スピッツさん通算12枚目のオリジナル・アルバム「さざなみCD」を聴いてみた(「さざなみ」には小さな動揺という意味があるらしいよ)。
まず初めに言ってしまうけれど私、このアルバムをかなり気に入っている。何が良いって聴いていて気持ちが前向きになる明るい曲が多いのだ。特にアルバムの前半7曲目までの勢いはスゴい。アルバムのオープニングを飾るのは「僕のギター」。この曲は壮大な雰囲気を纏った曲で、スピッツさんのロックに対する想いのようなものを静かに、そして力強く歌っている。サビの盛り上がりが見事だ。続く「桃」は透明感のあるギターと爽やかなメロディーが特徴で、「桃の唇、初めて色になる」ってまるで化粧品のCMみたいな曲だ。良い意味でクセがない、とても聴きやすい曲だと思う。そして私にとってこのアルバムの目玉である「群青」。爽やかで軽快なポップ・ソングで、聴いていて元気を貰える曲だ。曲の構成自体はとてもシンプルで、メロディーの良さが際立つ。文章でいうと「起承結」みたいな感じ。「転」なんか必要ないぜというスピッツさんの自信が伺える名曲だ。そしてスピッツさんにありがちな、明るい曲なのに泣けるというやつ。「でも逃げたりしないと笑える」という歌詞が染みるぜ。良曲揃いのこのアルバムの中でも、この曲はちょっと飛び抜けて好きな曲である。
「群青」の後もまだまだ勢いは止まらない、4曲目は「Na・de・Na・deボーイ」。この曲はAメロに沢山歌詞を詰め込んでいて、「HP」「アラッソ(韓国語で歌詞カード読めなかった)」みたいな珍しい言葉も使っていてとても賑やかな印象だ。そしてイントロなどで流れるミュート・ギター(だと思う)がとても良い味を出している。続く「ルキンフォー」はスピッツさんらしい穏やかで優しい曲。失恋ソングになるのだろうけれど、明るくはないが決して後ろ向きな歌ではない。5曲目は「不思議」。「恋のフシギ」と歌うスピッツさんはあまりらしくないけれど、曲自体は決して悪くない。間奏のキーボードがとても心地良い。「わざとよける、不意にぶつかる」ってツンデレ・ソングかしら。そして非常にポップな「不思議」からいきなり激しいロックな「点と点」。ギターとキーボードがすこぶるカッコ良い。要所要所で効果的に音が聴こえてきて、かなり凝ったロックという気がする。
さて、8曲目は思いっきりバラードに振り切った「P」である。決してキライではないのだけれど、個人的にはこの曲は箸休め的な位置づけである。なんかJ-POPの王道というか、私これ、「Mr.Children」をイメージしたのよね。そして、箸休めからの続いては染みる系の名曲「魔法のコトバ」だ。ありふれた日常のちょっとした「魔法のコトバ」である。穏やかで優しくて、染みて元気になる、いろいろ言いすぎて結局どれなのよって言われそうな曲だ。そして次がパワー・ポップの「トビウオ」。草野さんの歌い方ってあまり力んだりしないからサラッて感じがするけれど、実はかなりヘビィな曲だ。カッコ良くて力を貰える。因みになのだけれど「波照間から稚内へ」のところ、楽器の音が鳴らないような箇所で一瞬ギターがひょっこりあらわれる。これってミスだったりするのかしら。
さて、そして11曲目がこれも結構ヘビィな「ネズミの進化」。オルガンが肝かなと思うけれど、メロディーとか微妙で、個人的にはあまり好きくない曲だ。ただ次の「漣」がまた良い。ちなみに「さざなみ」と読む実質アルバムの表題曲だ。迫力はあるのだけれど、ストリングスがスゴく効いていて、キレイな曲に仕上がっている。ストリングスがあるのとないのとでは全然イメージは変わってくるだろう。間奏の雰囲気とかもめっちゃステキだ。このアルバムでは「群青」の次に好きな曲。そしてラストを飾るのは「砂漠の花」だ。この曲は歌詞がちょっと臭く感じちゃったり、演奏がやけに仰々しく感じちゃったりで、正直それほど好みではない。かなりハードロック寄りの曲だよね。スピッツさんって締めに爽やかな曲を持ってくる印象があって、この曲は湿っぽくてあまりスピッツさんぽくないなぁって思った。
というわけで、このアルバムはかなり好きなアルバムで、余すところなく紹介したくなって、今回はダダーッと全曲私なりの感想を書かせていただいた。纏まりのないかなり読みにくい文章になっていると思いますが、ご了承いただければと。まあかなり神がかったアルバムなので、こんな感想文を読むより実際聴いたほうが早いよねと、と身も蓋もない魔法のコトバで締めてみる。

私には
ほぼ神だしぃ(さざなみCD)
スピッツさん

季語はスピッツ。

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