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【第105回】ジョン・リー・フッカー/マッド・マン・ブルース
私の好きなレーベルであるチェス・レコードから発売されているLPに「ザ・リアル・フォーク・ブルース」というシリーズがある。「マディ・ウォーターズ」や「ハウリン・ウルフ」といったブルース・マンの「ザ・リアル・フォーク・ブルース」があって、今回はそのシリーズの「ジョン・リー・フッカー」バージョンの感想を書いていきたいと思う。ただし、LP名は「マッド・マン・ブルース」となっていて、これは「ザ・リアル・フォーク・ブルース」をベースに2曲を追加して編集したバージョンになる。ジャケットはオリジナルの「ザ・リアル・フォーク・ブルース」と同じでフッカさんの横顔面アップ。チェス・レコードって顔のアップ好きよね。
フッカさんは前回書かせていただいた「ライトニン・ホプキンス」同様たくさんのLPが存在するので、自然聴く枚数も多くなって今回で5枚目の感想文だ。録音時期は1966年ということで、バンド・スタイルによるブルースである。ただ追加された2曲については1950年頃の録音で、弾き語りのブルースであり、「シングス(キング727)」(第5回参照)に収録されているようなダーティーな雰囲気の曲だ。そしてこの2曲は明らかに他と馴染んでいなくて違和感バリバリである。曲の良し悪し以前に聴いていて気持ちが悪く感じてしまう。せめてLPの最後にオマケという感じで収録してくれていたらまだ良かったのになと思う(実際はB面の頭に挿入されている)。
ただ私はフッカさんのバンド・スタイルのブルースは結構好きだということもあり、この2曲を抜きにするとかなり聴きやすいLPだ。「レッツ・ゴー・アウト・トゥナイト」や「ワン・バーボン、ワン・スコッチ、ワン・ビール」のような軽快なロックンロールチックなブルース、これで何回目だよな「イン・ザ・ムード」や「アイル・ネバー・トラスト・ユア・ラブ・アゲイン」のようなゆったりとした渋めのブルース、締めの「ザ・ウォーターフロント」では漢の哀愁漂いまくりのしっとりとしたバラードを聴かせてくれて、フッカさんの魅力満載である。
ちなみに追加の「マッド・マン・ブルース」は歌詞を変えればフッカさんの代表曲の「ブギー・チレン」になっちゃいそうな曲、「ヘイ・ブギー」はストンプ際立つほぼインストな曲で、どちらも弾き語り時代のフッカさんらしいブルースである。この2曲を聴くと「ブギー・チレン」や「シングス(キング727)」を聴き直したくなったりして、悪い面ばかりでもないので、やっぱりLPの最後にオマケみたいな感じて収録してくれたら、ホントに良かったのに。
というわけで、生身の「リアル・フォーク・ブルース」を聴いていればこのLPをもっと好きになっていたかもね。まあもちろんフッカさんの弾き語りのブルースを好まないという訳ではないし、追加の2曲も単体で聴けば決して悪くないのだけれども、やっぱりLP全体の統一感って大事だよねと改めて感じました。
さて、最後になりますが、言われてみれば'微かに'聴こえる空耳アワーのお時です。「ピース・ラビン・マン」という曲のラスト、「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!どうもども〜」と言っているように聴こえます。興味のある方は是非チェケラしてみてください。
古ブルース
ちょっと良いっすかー(ジョンリーフッカー)
お邪魔します
季語はブルース。