【第97回】フレディ・キング/ゲッティング・レディ
「フレディ」と聞けば大多数の方が「フレディ・マーキュリー」を思い浮かべるのではないだろうか。結構前の映画になるけれど「ボヘミアン・ラプソディ」は感動したねぇ。ラストのライブ・シーンはずっと泣きっぱなしだったよ。その人の背負っているものとかを感じて観ると没入感が半端ないね。私は「QUEEN」ってあんまり好きじゃなかったんだけれど、ツレが観たいというのでじゃあ行ってみっか程度のテンションだったのに、まさかツレがドン引きする程に泣いてしまうとは不覚である。
「QUEEN」というと私は「グレイテスト・ヒッツ」くらいしか聴いたことがなくて、それもロックとクラシックの融合というものにピンとこず、数回程度で聴くのをやめてしまっている。「ボヘミアン・ラプソディ」を観てからこれは「QUEEN」を聴きなおさなければと、そのときは思っていたのだがあれから4年、未だに聴きなおすことはしてない。
さて、ここまで散々「フレディ・マーキュリー」について語ってきたが、今回は「QUEEN」ではなく「KING」のほうの「フレディ」、「フレディ・キング」についてお話したいと思う。今回聴いてみたのはシェルターというレーベルに移籍してから最初のLPとなる「ゲッティング・レディ」である。フレキンさんは以前「シングス」(第17回参照)というLPを聴いたけれど、それからは10年ほど経ってからのLPとなる。
収録曲には「ダスト・マイ・ブルース」や「ファイブ・ロング・イヤーズ」など、ブルースの定番と言える曲が多く収録されている。なかでも「ジミー・ロジャース」の「ウォーキング・バイ・マイ・セルフ」はジミーさん好きの私には嬉しい選曲だ。どのカバー曲もじっくりと、ロック・テイスト溢れるアレンジで聴かせてくれる。
オリジナル曲(と言ってもフレキンさんよりも、プロデューサーの「レオン・ラッセル」と「ドン・ニックス」の作品が多いみたい)は上記カバー曲よりもさらにロックでファンキーな作りだ。そのためか「シングス」のときって愉快なモダン・ブルースという感じがしていたけれど、このLPではブルースよりもロックを強く感じるフレキンさんである。
それはブルース・ファンからすると物足りないのかもしれないけれど、私にはフレキンさんの個性がより際立っいて、これはこれでありなんじゃないかと思っている。というのも「シングス」ってカッコいいんだけれども、モダン・ブルースの佳作という感じがして、聴き終わった後にあまり印象に残らなかったからだ。フレキンさんってどんな感じだったかなって思い出そうとすると、「B・B・キング」を思い出してしまうような感じ。まあ、どちらが好きかっていうのはまた別の話になるけれども。個人的には咥えタバコのフレキンさんの渋めのジャケット(この辺も愉快そうなフレキンさんのジャケットだった「シングス」とはかなりテイストが違う)も含めて、カッコよいロック感溢れるブルースLPで楽しめました。
ちなみにこのLP、A面にはロックテイストなブルースのカバー曲が多く収録されていて、B面にはファンキーなオリジナルの曲が多く収録されている。そのためA面を聴いた印象でどっちつかずな感じに受け取られちゃうかもしれない。いっそのことA面とB面をそっくりそのまま入れ替えちゃったほうが、とっつきも良くなって面白いんじゃないかなと考えたりした。まあ、これは私のかなり個人的な感想です。
さて、最後になるが「ワリド・ライフ・ブルース」という曲について。この曲って「ビッグ・メイシオ」が作ったブルースの定番曲だと思っていたのだけれど、なぜかジャケット裏には「BIG MACO」との記載がある。「ビッグ・マコ」?「BIG MACEO」の間違いかと思いライナーノーツを確認すると、「BIG MACO」とあるのは、「ウィリー・ディクソン」のことみたいに書いてある。また新しい名前が出てきちゃった。「ウィリー・ディクソン」といったらチェス・レコードの名物プロデューサーだったと思うのだが。もしかして私の知っているワリドとは違うワリドなのかしら。
フレキンさん
ろく(ロック)でもなくない
ブルースマン
季語はブルース。