見出し画像

【第72回】エディ・テイラー/アイ・フィール・ソー・バッド

「エディ・テイラー」といえば「ジミー・リード」のバックでギターを弾いていた人としてとても有名だ。「ジョン・リー・フッカー」のバックを務めていたこともあるらしく、職人気質のセッション・ギタリストというイメージの強い人である。そんなエディさんの名盤として名高い「アイ・フィール・ソー・バッド」を聴いてみた。
レコード屋さんで見つけたとき「初めてのエディさんだ」と興奮して購入したのだが、実は「エルモア・ジェイムス」とのカップリング盤「サウス・サイド・ブルース(以下「SSB」)」で体験済みであった。そして軽快でカッコいいブルースを演っていたのを思い出した。「SSB」はエディさんの初期(1950年代中期)のベスト選曲集、この「アイ・フィール・ソー・バッド」は1972年に録音された作品のようだ。このLPが初のソロLPってことだから、ずいぶん自分名義の作品を出すまでに時間のかかった人なんだなぁ。
中身の方はこれまた「SSB」同様、軽快なブルースを聴かせてくれるカッコいいLPである。ジミーさんのときはあんなにのんびりとしたブルースを演っていたのだが、ソロではまた全然違う顔を見せてくれるのだ。
そしてエディさんはサポート・ギタリストとして名を馳せた人なので、ギターにも注目して聴いてみたのだが、確かにカッコよいギターを弾いている。上手いというよりは、とても味のあるギターという感じだ。と、思っていたのだが実はこの人、ジミーさんのサポートをしていたときは、ギターでウォーキング・ベースを弾いていたらしい。私からするとそもそもウォーキング・ベースってなんじゃらほいという話なのだが、ともかくベースのパートをギターで弾いているということなのかしら。
そんなわけで私が味のあるギターだぜと思っていたのは、違う誰かの(クレジット上では「フィリップ・ウォーカー」という人)ギターの可能性がある。私にはエディさんの弾いてるギターの音を判別できるようなスキルはないので、とりあえずそこは置いといて、シンプルにカッコいいLPだなということだけを楽しむことにした。
さて、ここからは余談になるが、エディさんとジミーさんって幼馴染らしい。といってもずっと二人で音楽活動をしてきたわけではなく、ジミーさんがレコーディングをするときに、レコード会社が連れてきたギタリストがたまたまエディさんだったということだ。それを聞いたとき出来すぎた話だなぁと思ったのと同時に、再会したときによく幼馴染だと気づけたなぁということだった。
私は以前、会社が潰れて1ヶ月くらい経ったときに、全然関係のない街でそのときの会社の人にバッタリ出会い話しかけられたことがある。そのとき私は(部署が全く違ったとはいえ)誰なのかサッパリ思い出すことができなかった。勘を頼りに「小学生のときの〜、、、じゃなくて〜」から探り始めて、会社に行き着くまでの長い長い詮索タイムになった。その方にはなんか申し訳ないことをしてしまったなぁとは思ってはいるが、と同時に覚えていたとしても、お互いに気まずい空気しか流れないくらいの仲なんだから話しかけるんじゃないわよ、とも思ってしまった。
そんな感じなので、もし私だったら一緒に仕事をしていても、幼馴染だなんて一生気づけないんじゃないかと思っている。

ブルースを
お前と奏でた
思エディよ

季語はブルース。

いいなと思ったら応援しよう!