【第121回】スピッツ／クリスピー
今回はスピッツさん通算4枚目のアルバム「クリスピー」について書いてみた。私はスピッツさんのファンではあるけれど、あまり好きとは言えない、思い入れのないアルバムもあって、そういうアルバムはあまり書くことが思いつかなかったりする。「クリスピー」はそういう思い入れのないアルバムの1つである。「クリスピー」好きな方ごめんなさい。これは好きキライの話でして、アルバムの良い悪いということではありませんので、ご勘弁いただければと。
というわけで毎回さらーっと聴いてしまう「クリスピー」だけど、今回感想文を書くために、腰を据えて聴いてみて、曲を以下の6つの分類に分けてみた。これもかなり個人的な分類なのでご了承を。
・ご機嫌ポップ・ソング
・しゃれおつポップ・ソング
・しんみりバラード・ソング
・壮大な世界観ソング
・ゲームミュージックみたいなソング
・これだからスピッツはやめられないソング
まずは「ご機嫌ポップ・ソング」から。ここには「裸のままで」「ドルフィン・ラブ」「クリスピー」の3曲が分類される。この3曲は聴いていて、とりあえず無条件で楽しい曲だ。いろんな音がたくさん詰まっていてとにかく賑やか。「ドルフィン・ラブ」の「イルカの君は僕に冷たい」や「トカゲのしっぽまだまだ死ねない」、「クリスピー」の「クリスピーはもらった」みたいな、意味なんか深く考えなくても良いんだぜみたいな歌詞からして楽しい。「裸のままで」は片思いを叫んでるような歌かしら。恋って楽しいね、みたいな感じだ。この3曲はライブで演ったら盛り上がりそうだけれど、いろんな楽器の音がするので再現するのが大変そうだよね。あとこれらの曲にはバックで踊る可愛いダンサーさん達も準備したいところだ。
そしてこれはしゃれおつだなぁと思ったのが「夏が終わる」である。この曲も結構いろんな音が詰まっていて、特にストリングスになるのかな、それが曲全体の雰囲気を作っている。ポップではあるけれど、夏が過ぎ去っていくもの悲しい雰囲気も漂よわせている。
「しんみりバラード・ソング」に分類されるのは「君が思い出になる前に」「夢じゃない」「君だけを」の3曲だ。この3曲の中ではまず「君が思い出になる前に」の歌詞が悲しすぎる。「君が思い出になる前に、もう一度笑ってみせて」なんて切なすぎるでしょ。思い出になる前に笑顔を見せられても、辛くなってしまうだけなんですけどって思ってしまう私である。そして「夢じゃない」と「君だけを」は切ないというよりは、優しい感じのバラードだ。スピッツさんは歌詞の中に曲名が出てこない事があるけれど、このしんみり枠3曲についてはサビで曲名を連呼しているので、スピッツさんにしては珍しく曲と曲名がリンクしやすい。結構ストレートにリスナーに歌を届けようとしたのかしら。
「壮大な世界観ソング」に分類されるのは「黒い翼」だ。聴いているとなんか荘厳な雰囲気のするゆったりとした曲である。まあ「もっと気高く」なんて歌っているしね。そして最後は皆さんで大合唱。正直言うとあまり聴きたいと思うような曲ではない。
「ゲームミュージックみたいなソング」には「多摩川」が当てはまる。とっても悲しそうなメロディーなんだけれども、どうしても「ファイナルファンタジー」を思い出す曲だ。なんか廃れた街で流れていそうで、伴奏も歌メロもゲームミュージックにピッタリだと思いませんか。ちなみに私は「ファイナルファンタジー」はⅠ〜Ⅴまでしかやってないので、もちろんピコピコ音で再現して欲しい。ちなみにこれもそれほど聴きたいと思う曲ではない。
最後に「これだからスピッツはやめられないソング」は「タイムトラベラー」だ。感想文を書くために改めて聴きなおして、こんな良い曲があったのか、危ないところだったぜとなった曲である。屋根裏部屋で母親の若い頃の写真を見つけて、想いを巡らすというストーリーがステキな曲だ。「君と似ていたママに」とか「君のことを誰よりも大事に思ってた」といった歌詞がホントにたまらん。母親がすでに亡くなっていたら、とか想像したら涙が止まらなくなってしまった。そして曲もとてもポップで、母親が優しく見守っている感じがして良いし。文句なしにこのアルバムで1番のお気に入りソングである。
といった感じで「クリスピー」を聴きなおして見たけれど、やはり最初に思っていた印象から大きく変わることはなかったかな。「夢じゃない」「君だけを」「黒い翼」「多摩川」あたりが退屈に感じてしまうのよね。そしてそれらを超えて、聴きたいと思えるるほど吸引力のある曲もなくて。そんなわけで積極的に聴こう思えるようなアルバムではなかった。ただ今回「タイムトラベラー」を発見できたのはホントに良かった。最近歳とったせいなのかな、恋愛を歌った曲よりも、母性とかのほうが心の琴線に触れることが多くなった気がする。
スピッツも
人それぞれで
好きずきー（クリスピー）
季語はスピッツ。